中学生になりました①
本日2話目です。
みなさん、お久しぶりです。ゆあです!
あれから、平和な日々が続きまして、なんと!この度無事中学生になりました!
エスカレーター式なので、周囲の顔はほぼそのままに。
ただ、中学から人数がドン、と2クラス分増えるため、見知らぬ顔も沢山です。
友達100人計画の新たな犠牲者たちですよ。ふふふ。
「何、不気味な笑いを浮かべてんの?」
窓からぞくぞくとやって来る新入生を眺めてたら、後ろからチョップをかまされました。
いたい。
「酷いです、美花ちゃん」
頭を押さえながら振り返れば呆れ顔のポニーテール美少女。
そうなんです!中学から美花ちゃんも編入してきたのです。
しかも、同じクラスになりました。
もう、これは運命ですよね!
朝、一緒に来てクラス発表の紙の前で飛び上っちゃいましたから。
美花ちゃんはちょっと恥ずかしそうにしてたけど気にしません。
手をつないでぐるぐるしちゃいました。
「で、何考えてたの?」
「新入生、初々しいなぁ〜って見てました」
「…………結愛も新入生だけどね」
正直に答えたら、すっごく呆れた顔されました。なんか心に刺さります。
「そうなんですけど、制服もほとんど変わらないし、新鮮味が薄いんです」
男子はブレザーに変わるんですけど、女子はセーラーカラーのワンピースにボレロのまま。 襟元に入っているラインが1本から2本に増えて、帽子が無くなったくらいですかね?違うところって。
あ、後靴下が黒タイツになったんでした。
少しお姉さんな感じ?
「ここら辺の中学の制服ではダントツに可愛いのに、贅沢だ〜」
「…………まぁ、可愛いですよね」
笑いながら冗談めかして髪を引っ張られて肩を竦めます。
可愛いのは否定しませんよ。ただ、6年間ずっと同じだとやっぱり新鮮味は欠けるのですよ。
で、中学からの編入生さん達のドキドキとキラキラはやっぱり持ち上がり組には無いので、なんだか眩しいなぁ〜と。
美花ちゃんだって、すらりと伸びた肢体に真っ黒ロングのポニーテールが凛々しくて素敵ですしね。
うん。良く、似合ってます。
「大丈夫、結愛ちゃんが1番可愛いから」
くすくす笑う声と共に背中から抱きつかれました。
ふんわり微かにお花の香りがします。
この香りは……。
「愛梨ちゃん。おはようございます」
首を後ろにひねれば、にっこり笑顔の愛梨ちゃんがいました。
黒髪を肩につくかつかないかで真っ直ぐに切り揃えた髪型は相変わらずですが、同じくらいだった身長は随分差がついてしまいました。
今では頭半分くらい違います。
ちびっこ同盟を(勝手に)結んでいたのに裏切られてしまいました。くすん。
一応、私もそれなりに成長してはいるんですけどね……。
理想と現実は遠いです。
母親も別に小柄ではないし、会った事はないけど面食いな母親が低身長な人を選ぶとも思えないんで父親も大きいはずなんですけどね。
遺伝子仕事しろ!ですよ、まったく。
切れ長の瞳を細めて笑うと愛梨ちゃんもお姉さんみたいです。
美花ちゃんが凛々しい武闘派お姉様なら、愛梨ちゃんはさしずめ文系お姉様な感じでしょうか?
図書館でフランス文学(原書)を手に佇んでほしいです。
「…………また変な事、考えてるわね、この子」
「可愛いから良いじゃないですか」
呆れ顔の美花ちゃんに愛梨ちゃんが笑顔で答えてます。
この2人は2年ほど前に私のお家で紹介しました。
タイプは違えどしっかり者同士気があったのか、少し妬けちゃうくらい、今ではとっても仲良しさんなのです。
「今年も愛梨ちゃんと一緒で嬉しいです。また仲良くしてくださいね?」
愛梨ちゃんとは小学校で3・4年で別れただけで後はずっと同じクラスなんです。
中学ではクラスの数も増えるしちょっとドキドキだったんですけど、無事、同じクラスになれました。
「そうね〜。陸人と洸夜は別クラスだし、幸先良いわね」
にっこり笑顔がなんだかいたずら成功した子供みたいになってますよ?
「クラスの数が増えちゃいましたしね〜。でも、3年は成績順になるから少なくともそこではきっとまた同じになりますよ」
「…………それなのよね〜。1、2年のままなら確率的にも同じにならないと思ったのに、余計な事を」
1学年は成績関係なくごちゃ混ぜなんです。
むしろ成績の偏りが出ないように平均的に分けるそうです。
そこで、出来る子が出来ない子を教えて、全体の底上げをするって狙いがあるみたいですね。
ので、いろいろクラス対抗とかしてはお互いのライバル心を煽るみたいです。
これ、一見良い方法に見えるけど、下手したらギスギスしたクラスになるんじゃないかと少し不安なんですけどね。
まぁ、先生方がうまく主導してくれるし、クラスの中心人物になりそうな人格者を数名、あえて配置してるそうなので、今のところ問題が起こった事は無いそうです。
小学校からの持ち上がりで大体の人となりは把握されてますからね。
エスカレーター校ならではって感じです。
で、3年時になるとなんで突然成績順?って感じなんですが、一応受験を視野にいれて、って事みたいです。
国内だけじゃなくて国外に進学を狙う子も出るみたいなので、それの対応もあるみたいですね。
なので、正確には成績の良い子を集めたクラスを1つだけ作って、後はいつも通り縦割り。
でも、まぁ、みんな賢い子たちなので仲の良い子達は必然集まるだろうと。
逆を言うとそれゆえに陸人くん達とクラスが別れちゃったんでしょうけどね。
「…………当然のようにトップクラスに入れると思ってる、あんた達の会話が怖いわ」
遠い目をしてつぶやく美花ちゃん。
それに私は愛梨ちゃんと顔を見合わせました。
「何言ってるんですか?美花ちゃんも一緒ですよ?」
「せっかく同じ学校になったのにクラス別れたらつまらないじゃない?」
「…………私、半分一芸で受かったようなものなんだけど」
美花ちゃんの顔が引きつりました。
そう。
私立の学校ならでわ制度第2弾!(あ、第1弾は特別奨学制度です。私が利用してるやつですね)
一芸に秀でている人物を優遇する制度があって、美花ちゃんはずっとやってた空手でスポーツ特待枠をゲットしたんです。
全国1位取りまくってましたからね!
しかもビジュアルも良いから「空手美少女」って言ってテレビにも取り上げられてかなりの有名人なんです。
自慢のお友達です。
「大丈夫です。入学試験はちゃんとクリアしたんですから。これからもわからないところはサポートしますよ!」
最も、入学試験はちゃんと受けて一定のラインは超えなきゃいけないので、ちゃんとお勉強だって出来るのです。
試験対策、付き合いましたから。
カリュキュラム作って徹底対策。
教えれば教えるだけ吸収してくから、とっても楽しかったです。
「…………私にまたあの地獄を超えろと……」
「まぁ、詰め込み式じゃなくて毎日やってれば、あそこまでひどい事にはならないんじゃないかしら?」
青い顔で震えている美花ちゃんの肩を愛梨ちゃんが慰めるようにポンポンと叩いてますが、気づきません。
美花ちゃん、やればできる子なんです。
ちょっと空手に集中しすぎて脳筋になりかかってただけで。
実際、試験の点数もかなり良いところまで行ってたし。
たぶん、成績順で分けてもトップにギリギリ入れるくらいには。
「油断せずに、頑張りましょうね?」
「…………お〜〜」
にっこり笑顔で手を握ればなんだか力ない声が返ってきました。
大好きなお友達も同じ学校になったし、中学校、とっても楽しみです!
読んでくださり、ありがとうございました。
しばらくお休みしてたシリーズなのに、アップと共にたくさんの方が目を通してくださっているみたいで嬉しい限りです。
………美花ちゃん、頑張りました。
結愛ちゃんは何気に熱血です。
半年のカリュキュラムを組み、ビシバシやったと思われます。
美花「試験前の1ヶ月の記憶が曖昧なんだけど……」
愛梨「………(目をそらしつつ)終わりよければってことで」