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転生したらネグレクトされてました5.5

兄視点です。

よろしくお願いします。

ゆあはすくすく成長してる。

1歳になる前に歩き出して、1歳頃には少しだけど喋れる様になった。

僕の妹はとってもすごい。


いつもニコニコして、ご飯も上手に食べるし、お片づけだってちゃんと出来る。

大人しくしてて欲しい時はちゃんとジッとしてくれるから、すごく助かる。

特に、静かにしなきゃいけない時はいっぱいあるからね。




ある日、ゆあがテレビの料理番組を見て「食べたい」って言い出した。

火を使う事は禁止されてるけど、それは電子レンジで作れるものだったから、どうにか真似して完成させる事が出来た。

テレビの中の料理とは比べ物にならないくらい不恰好な物だったけど、ゆあは手を叩いて喜んでくれて、全部食べると何度も美味しいといって笑ってくれた。


僕は、すごく嬉しくなって、それ以来、あまり興味がなかった料理番組を真剣に見る様になった。

ゆあはまだ小さいから、ちゃんとしたご飯を食べた方が良い。

そう思って、お母さんがいる時にお願いして何度かガスレンジを使わせてもらい、問題ない事をアピールして、使用許可をもぎ取った。


以来、出来るだけご飯を作る様にしている。

って言っても、簡単なお味噌汁や卵焼きなんかだけど、ね。

ゆあに言われて、適当に切った野菜をレンジでチンしてドレッシングで簡単サラダもよく食べるものの1つだ。


不思議なことに、野菜をいっぱい食べる様になってから、体がキツくて動きたくないって事が減ったし 、頭がぼぅっとして眠たくなる事も無くなった。

ゆあは「えいようがたりてなかったのよ」って言ってた。どんな意味だろう?




だけど、平和な日々は、ある日お母さんが連れてきた男の人が、一緒に暮らしだすことで終わりになった。

お母さんが家にいる時は、ニコニコと優しい顔をしていた男は、お母さんがお仕事に行く様になると僕達に意地悪をするようになった。


今までもよくある事だったので、またかと思っただけだったけど、僕はともかく、こんなに小さなゆあまで叩こうとしたからビックリした。


僕から見ても男の手は大きくて恐ろしく見えるのに、ゆあはもっと怖いだろう。

あわててゆあを庇って殴られた僕を見て、ゆあは大泣きした。だけど、こんな時泣いてしまえば大抵もっとひどい事が起こるんだ。

僕は泣き出したゆあを抱きしめて急いで外にでた。

外に出てしまえば、男は追ってこない。

大人が子供をいじめる事はいけない事だから、大抵みんな秘密にしたがるんだ。


それから、ゆあはお母さんが仕事でいない日は僕の手を引いて外に行こうというようになった。「にー、いたいのヤなの」とベソをかくゆあがかわいそうで言うとおりにしたけど、それは、しちゃいけない選択だった。

どんどんたまったイライラはある日爆発するって、知っていたのに。


男は、ついに爆発した。

お母さんに続いて外に出ようとした時、突然部屋から出てきた男は、ゆあをつかんで放り投げ蹴りつけようとした。


急いで、男とゆあの間に入り込み、ゆあを体の下に庇う。

しっかりと抱きしめて自分も出来るだけ体を小さく丸めて、男の暴力に耐える。

痛みというより、衝撃。

泣きじゃくるゆあに出来るだけ攻撃が当たらないように庇うけど、僕の体じゃ、ゆあをしっかりと隠してあげる事ができなくて、はみ出している部分にたまに当たってしまう。


ごめん、ゆあ。

僕がもっと大きかったら良かったのに。

だんだん体の感覚がなくなってきて、頭がぼぅっとする。


もうダメだ、って思った時、お母さんの声がして、暴力がやんだ。

霞む目に、コッチを睨んでいるお母さんが見える。良かった。帰ってきてくれたんだ。

ほっとしたら、スゥと目の前が暗くなって何もわからなくなった。




次に目が覚めたら病院にいた。

すぐ横に涙の跡が残るゆあの顔があってビックリしたけど、スヤスヤと寝ているだけみたいだったのでほっとした。

頭を撫でてあげようとしたら、身体中が痛くて動く事ができなかった。


しばらくするとお母さんがきて、泣きそうな顔で笑って「目が覚めて良かった」といった。

あれから2日、僕は眠っていたらしい。

お母さんの声で目を覚ましたゆあが、起きている僕を見て泣き出した。

おどろく僕に「うれしくて泣いてるのよ」とお母さんが教えてくれた。


本当はダメなのに、ゆあは眠っている僕から絶対に離れようとしなかったらしい。

離すとずっと泣きじゃくって暴れ、あげくにひきつけを起こした

ゆあも、男にひっぱられた腕がひどい事になっているのに。


いまも、元気な方の手でしっかりと僕の服を掴んで離そうとしない。

ずっと一緒だったから、側に居ないと怖いんだって。

ゆあは、甘えん坊だなぁって思うけど、それだけ僕のことが好きってことみたいで、なんだか嬉しいような、胸のところが温かいような不思議な気持ちになった。






そういえば、僕におじいちゃんとおばあちゃんがいることが分かった。

今度から一緒に暮らすんだって。

優しそうな人達だけど、大人は家の中と外では違うから、しばらくは要注意だ。


今回はちょっと失敗してゆあに怪我させちゃったけど、今度はちゃんと守ってみせる。

僕はお兄ちゃんで、ゆあは大切な妹だからね。



大好きだよ、ゆあ。






ネグレクト編はこれにて終了です。

読んでくださりありがとうございました。

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