お久しぶり、なのです②
待ち合わせ場所にはすでに美花ちゃんが待っていました。
トレードマークの黒髪のポニーテールは相変わらずつやつやと綺麗です。
昔からしっかり者のお姉さんタイプでしたが、その方向へとすくすく成長。
現在空手少女の称号まで得た『お姉様』へと進化しました。
私より10センチ近く高い身長は、スッと背筋の伸びた背中にすらりと長い手足でバランスが良く、スキニージーンズとタンクトップ、7部袖のパーカーを羽織っただけのシンプルな服装なのに、とってもかっこいいです。
切れ長の涼しげな瞳が私を見つけて優しく細められる様子なんて、同じ年なのにお姉様と呼んでお慕いしたい魅力満載です。
むしろ『オスカル様』とお呼びしたい!
自転車押してなければ飛びついてましたよ。
「おはようございます。お待たせしました!」
元気いっぱい挨拶すれば笑顔が返ってきます。
「久しぶり。元気そうでよかった」
手が伸びてきて頭を撫でられます。
帽子越しの優しい感触になんだかニヤニヤが止まりません。
「じゃ、行こうか」
しばらく撫でてくれた後、美花ちゃんに笑顔で促されました。
そうですね。
時間は有限。
私の門限は5時なのです。
颯爽と先を走る美花ちゃんを追いかけます。
ちゃんと一列に並んでますよ〜。
横並びは他の方の邪魔になるのでしません。
本当はお喋りしたいんですけど、ね。
着くまでの我慢です。
中身アラサーの大人ですからね〜。
あ、今世合わせたらアラフォーでした………。なんか遠くを見たい気分になりました。
なんでしょうね。目から水がでてきそうです。
気づいてしまった現実に密かに打ちのめされているうちに公園到着です。
「ゆあ、疲れた?スピード速かった?」
どうも変な顔してたみたいで美花ちゃんに心配されてしまいました。
「大丈夫ですよ〜。早く中に入りましょう」
慌てて駐輪場に自転車を止めるとお弁当の入ったバスケットを持ち上げます。
「あぁ、持つよ」
「重たいですよ?」
すかさず美花ちゃんが私からバスケットを取り上げてしまいました。
「本当だ。朝から大変だったんじゃない?」
片手で軽々と持ち上げた美花ちゃん、凄いです。力持ちですねぇ。
お弁当の他に水筒やシートなんかも入れてたのでかなり重たいはずなんですけど。
「作り始めたら楽しくなっちゃって。余ったら持って帰るので、好きなものだけ食べてくださいね」
はしゃいだ事がばれたみたいで少し恥ずかしくなりながらそう言えば、美花ちゃんが「楽しみ」と笑ってくれました。
嬉しくなって空いている美花ちゃんの手に飛び付けば、笑いながら手をつないでくれます。
パーフェクト!
パーフェクトですよ。
男の子だったら絶対好きになってましたよ。フラグ立ちまくりです。
優しくて強くて気遣いまで出来るとか!
しかもコレでまだ8歳です。
私の周辺、出来過ぎ率高すぎじゃないでしょうか?
内心で萌えまくってるうちにエスコートされて、気づけば木陰にレジャーシートがひかれていました。
大きな木なので太陽が動いても適度に日陰がキープできそうなベストポディションですね。
一応目隠しに荷物の上に薄手のブランケットをかけて貴重品の入ったポシェットを持って準備万端。
「何処からいきますか?!」
「そ、だねぇ。自転車こいで身体動かしたばっかりだし、最初にウサギでも触りに行く?」
「うさぎ!触りたいです」
もう何回か来たことのある場所なので園内マップはバッチリです。
まだ時間が早い為、人の少ない園内を美花ちゃんとお喋りしながらのんびり歩きます。
会えたのはひと月ぶりくらいなので話したい事が沢山なんです。
電話はしてたんですけど、顔を見て直接話せるのってやっぱり違いますよね。
電話だとやっぱり時間も気になりますしね!
新しいクラスの事や新しいお友達の事。
綺麗に咲いている花壇の花に目を細めながら話せば、美花ちゃんは絶妙な相槌と共に聞いてくれます。
美花ちゃんも、空手の事や幼稚園時代のお友達の事を教えてくれます。
学区内の幼稚園だったので半分くらいは同じ小学校に行ってるんですよね。
そうしてたどり着いたミニ動物園。
ウサギやモルモット、ニワトリ。さらにヤギやミニブタなんかも触れます。
「仔ウサギ!仔ウサギがいますよ、美花ちゃん!!」
「本当だ!ちっちゃい!!」
さすがにふれあいコーナーにはいませんが、うさぎのスーペースに仔ウサギがちょこちょこと遊んでいます。
ふわふわの毛玉のような仔ウサギが大人に混じって3羽。
美花ちゃんと2人で脅かさないように小声ではしゃぎ合っていると、後ろからクスクス笑う声がしました。
振り返ると飼育員の服を着たお姉さんが笑っています。
チョット恥ずかしくなって赤くなってしまいました。
「いま、産まれて1ヶ月くらいなのよ」
もじもじしてたら優しく話しかけてくれました。
そして、なんとサプライズ!
「他に人も居ないし、内緒でチョットだけ抱っこしてみる?」
なんと!
早起きして良かったです!!
美花ちゃんと2人座った膝の上に仔ウサギを1匹ずつ乗せてもらいソゥッと触ってみます。
私の掌でも載せてしまいそうなくらい小さなうさぎはふわふわでほんのり温かくて………美花ちゃんと2人で声もなく悶えてしまいました。
そんな私達をお姉さんが優しい目で見ています。
まだ赤ちゃんだからあんまり触ると疲れちゃうとのことで2分くらいでしたが、充分幸せでした。
お願いして写真も撮ってもらいました。
帰ったら兄に見せてあげましょう。
その後もたっぷり動物達と触れ合って写真もいっぱい撮りっこしました。
ミニブタさんにグイグイ額を押し付けられて押し倒された時はビックリしましたが、スリスリしてくるのがとっても可愛かったです。
お姉さんが慌てて助け起こしてくれました。
そのうち人が増えてきたので、ミニ動物園から移動する事にしました。
他にも触りたい人が居るんですから、場所を譲らないとですよね。
飼育員のお姉さんが居たので、お礼とまた来る約束をしてサヨナラしました。
伝はできたので、また早めに来てお得体験を狙うのです。ニヤリ。
読んでくださり、ありがとうございました。
「小動物と戯れる美少女キタァ〜〜!!」
と心の中でお姉さんは萌えまくっていた事でしょう。
そして写真を撮りまくる2人を羨みつつ、コッソリ心に焼き付けたはず(笑)
また来る約束をして貰って浮かれまくり、とかですね〜。
いや、私だったらそうなるかと。
……変質者じゃないよ。眼福って大事ですよね。
イエスロリータノータッチ!