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進級しました。⑦

みなさん、こんにちわ。ただいま目尻に残る涙を拭きながら、教室から逃走中のゆあです。


………人間、羞恥で泣けるんですね。

私、今回初めて知りました。……できれば一生知りたくなかったです。

と、いうか恥ずかしくて死にそうです。


シュウ君が授けてくれた秘策「私のために争わないで作戦」、決行しましたよ!

内容はそのまんま。

私の為に喧嘩しないで〜ってやつですね。


どれだけ自意識過剰なんだ、って突っ込んで笑ってましたが、あれって実際にやるとすごく精神削られます。辛いです。

少なくともまともな神経ではやってられません。


コレ、スベったらすごく痛い子認定されませんか?されますよね!?

ていうか、現時点で私の心がイタイです。

誰か助けて。あの記憶、今すぐ消してください!





「お疲れ様〜」

いつもの裏庭に駆け込み木立の陰でしゃがみ込んで羞恥ややっちまった後悔と戦っていると頭上からのんきな声が降ってきました。


「とってもステキな悲劇のヒロインっぷりだったね〜」

「うわ〜ん!シュウ君のバカァ〜〜!!」

明らかに面白がっている声に思わず殴りかかった私は悪く無い!絶対に悪く無いはずです!!


「まぁまぁ、落ち着いて」

錯乱気味の私の手を捕まえ(えぇい!1回くらい殴らせてください!)のんびり宥めてくるシュウ君に力が抜けます。

再びがっくりと座り込んでしまった私の頭を優しい手が撫でてくれました。


「ウゥ……他人事だと思って………」

「はいはい。笑って悪かったって。でも、ゆあちゃんが身を削った甲斐はあったみたいだよ?」

唸る私にシュウ君は頭を撫でながら教えてくれました。


私が走り去った後、気まずい空気の中和解して、みんなで協力の元私を探す為に動き出したクラスメイト達。

傍観組の少数の女子や男子も、あの場所に残っていた全員が探しているそうです。

で、靴が消えているのを確認して、多分家に帰ったのだろう。明日の朝、改めて謝罪しよう、という事になったそうです。


「………そこまで確認してきたんですか?」

「一応、唆した身としては気になったもので」

殊勝な顔で頷いてますが、絶対に8割がたは面白がってただけだと思います。

被害妄想だと言われそうですが、絶対にそうです。


だいたい、「靴が無い」って、私上履きのままですよ?羞恥で逃げることしか考えてませんでしたからね。

そんな小細工してる余裕なんて無かったんです。


「………で、シュウ君が靴を隠してくれたんですね……」

笑顔で足元に揃えられたローファーにため息しか出てきません。

どれだけ気が回るんですか?


「うまくいって良かったね。やっぱり愛されてるだけだったじゃん」

ぐったりとした顔を隠そうともせず無言で靴を履き替える私にシュウ君はクスクス笑い出しました。


昨日の放課後、シュウ君は自信満々に言い切ったのです。

「今回の騒動は全部ゆあちゃんの気を引きたいが為に起こったんだ」と。


1、2年と少数の人数で囲い込まれていたお姫様が突然壁が居なくなり、声をかけやすい状況になった。

元、同じクラスだった子達は素直に声をかけられたけど、そうで無い子達は、拗らせてしまったんだろう、と。


そんな馬鹿なと否定する私に、大丈夫だからと例の作戦を唆してきたんです。

本来、仲良くしたいだけだったのだから絶対上手くいく。その際涙の1つも見せれば効果的、と。


「………明日から、少しは変わりますかね?」

「劇的に変わるんじゃ無い?少なくとも君を挟んでの喧嘩はなくなると思うよ?」




そうして、笑顔の予言は、確かに良い方へと当たったのでした。

読んでくださり、ありがとうございました。


て、わけで。悶えるゆあちゃんでした。

まぁ、普通はそうなりますよね〜。


そして、影でこっそり確認して楽しんでるシュウ君の曲者感がなんとも(笑)

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