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進級しました。④~陸斗視点~

春休みの最後に突然曾お爺さまに巻き込まれ滝行に連れていかれた。

ご丁寧にも北陸のまだ雪の残る山奥で、「小さなお子様は……」と止めるお坊様を(曾お爺さまが)振り切って大人に混じり決行した結果見事に風邪を引いた。


そこまでは、予想範囲内だったのだけど、そこから曾お爺さまはさらに暴走した。

「年寄り(わし)が元気なのに若者おまえらが体調崩すのは、たるんどる証拠だ!」と今度は専門インストラクターをつけての体力増強プログラムにたたき込まれたのだ。


会社を休ませて参加させられている大人が居るのに(役員職や社長クラスだ)学校が始まってるという訴えが考慮されるはずも無く、当然僕も強制参加だった。

さすがに専門家がついただけあって、プログラムをこなすごとに体が変わっていくのを実感は出来たけど、本当に勘弁して欲しい。


新しいクラスに変わって最初の数日の大切さを、年寄り故に忘れてしまったに違いない。

内心でらしくも無い悪態をついてしまったのは、実質監禁生活の中こっそり連絡を取った洸夜から結愛とクラスが別れてしまい、どうも枷の無くなったクラスの女子が暴走気味だと報告を受けたからに他ならない。


頭も良くて大人びている結愛は、なぜだか人間関係だけがぎこちない。

他人の心の機微に聡いからこそ、どうして良いのか分からなくなるみたいで、そんな結愛を僕たちは煩わせないように大事に守ってきたというのに。


結愛本人は気づいていないようだけど、愛梨を筆頭に僕たちの家はこの学園に通う生徒の中でもトップクラスだ。つまり、嫌な言い方だけど、僕たちの意向に逆らう生徒は少ないって事だ。

良家の出であればあるほど、子供だって家の思惑に縛られる。


どうにか愛梨が守ろうとしてはいるみたいだけど、隣のクラスからだとやっぱり後手に回ってしまうみたいだ。

しかも、片方は明らかに結愛を庇護しようという体制のため、手を出しあぐねているようだ。

さらに、女子の争いに男子が表立って手を出せばさらに激化してしまうのは分かりきったことで、洸夜はもとよりクラスの男子も静観するしか無い状況みたいだ。


せめて自分が居れば弾よけくらいにはなれるのにと歯がみして、本人も喜々として体を鍛えている曾お爺さまに解放を訴えること数回。

様々な理由にそっぽを向いていた相手の興味を引いたのは結局最後に言った「好きな子が困ってる」との一言だった。


面白そうな顔で笑った曾お爺さまに嫌な予感しかしないが、とりあえず、特例で切り上げ解放をもぎ取ったから良しとしよう。

たとえ隣で話を聞いていた曾お爺さまの秘書が哀れむような視線を向けていたとしても、僕は何も気づかなかった。





そうしてようやく登校してみれば、予想以上にクラスの雰囲気は悪かった。

結愛を挟んでの嫌みの応酬とか、なにやってるんだ?

真ん中でおろおろしている結愛がかわいそうで、急いでその場から引き離せば、ほっとした顔の後、僕の体を気遣ってきた。

ごめん。曾お爺さまのわがままに振り回されてただけなんだ。


とりあえずたわいないやりとりで結愛を笑わせることに成功した僕は、ようやくこっちに意識を向けた集団をこっそりにらみつけた。

表だった介入は悪手?

そんなの知ったことか。結愛を苦しめるだけなら女の子の友達なんかいらなくないか?


結愛に見えないようにひっそりと笑った僕は相当黒かったらしく、後にクラスの男子から苦言を受けた。

結愛にばれなきゃ良くない?だめ?おかしいなあ~?

ちなみに愛梨には、「アンタがちゃんとフォローできるなら良いんじゃ無い?やっちまいな~」的な言葉を、洸夜にはあきれたようなため息を頂戴した。


さて、どうやって収めようかな~。






読んでくださり、ありがとうございます。


何ででしょう。

どんどん陸斗君が黒く………。

と、いうか莉央君化している気が(汗)

穏やかな優等生タイプの少年として表立っては通っておりますよ?ええ。

少なくともゆあちゃんはそんな認識……の、はず。


本当に、ドウシテコウナッタ(ー ー;)

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