遠足へ行こう!②
ゲームルール説明〜、です。
植物園内にある幾つかのチェックポイントを地図を見ながら探してクイズに答えます。また、動植物園内は幾つかのエリアに分かれていてそれぞれ「笑ったらダメ」や「鬼から逃げろ」などの指示があるらしく、それに違反したらアウト。そこでゲーム終了だそうです。
スタートからゴールまでの時間と質問の正解率で勝負を競うそうです。
ウォークラリー+αって感じですね。
うん。楽しそう。
というわけで。
現在配られた地図を持ってスタート地点で待機中の、ゆあです。
一気に行くと人が一箇所に固まっちゃう恐れがあるので、随時スタートなんですよね。ちゃんと記録の人がスタート時間を書いておいてくれるので公平です。
3年生からなので、ちょっと待つことになるのですが、用意された壇上で手品やジャグリングが行われていて楽しいです。
コレも児童がやっているんですが、なかなか本格的で上手です。
どうも、芸能の一族がいてセミプロで活動してる子達らしいです。
手品のタネ探しに夢中になっていると、私たちの班が呼ばれました。
ちなみに1年生は班の名前に動物が付くのですが、私たちはウサギ班で、ウサギのぬいぐるみリュックが渡されました。
中にはお役立ちグッズが入っているそうです(地図とかメモ用紙、引率者お助け回答券などなど)。
ライオンやキリンなんかもいてかなり可愛かったですが、このリュックも手作りだそう。すごいです。
終わったら、記念にもらって良いそうなので、うちに里子に来ることになりました。
にこにことウサギリュック(目の紅い白兎で首には紅いチェックのリボンを付けています)を背負っていたら兄から、今度同じウサギの髪ゴムを作ってもらえる事になりました。
嬉しさついでに愛梨ちゃんのもお願いしてみました。お友達とお揃い、って、良いですよね〜。
もちろん兄は頷いてくれましたとも。
愛梨ちゃんと一緒の日に使おうと約束しました。
「じゃあ、予定通り1番から回っていこう」
陸斗くんの言葉に、もう一度4人で地図を覗き込み場所を確認して歩き出します。
ちなみに兄はその様子を一歩後ろから笑顔で眺めているだけで何も言いません。
あくまで補佐なので、アドバイスを求められない限りは口出しできないことになっているのです。
ポテポテと歩きながら、おしゃべりを楽しみます。
どうも、うちの班はみんな、上位入賞を狙うよりゲームを楽しむに重きを置いているため、誰も急ごうとしません。
けして私がトロいから合わせてくれている訳ではありません!(と、思いたいです)
「そういえば、ゆあちゃんとお兄ちゃんって似てないんだね〜」
洸夜君の言葉にちょっと考えます。確かに、兄と私、ぱっと見ではどこも似ていないんですよね〜。共通点はどっちも整った容姿って位で、それも和風と洋風に分かれてますからねぇ。
ま、隠すほどのことでも無いのでサッサとバラしときましょう。
「お父さんが違うの〜」
「そうなんだ」
あっさりと納得されました。
ここで大人だとなんとなく邪推したり気まずくなったりするんですが、子供は素直に与えられた情報を受け入れます。
おかげで暗くなりません。
「どっちもお父さん似だから、母さんがたまに「私の遺伝子どこいった〜」ってつぶやいてるよ〜」
「………いでんし?」
「似てる所って意味みたい」
「そうなんだ〜」
なんか後ろから兄が笑いをかみ殺してる気配がするけど無視です。
「僕もお父さんに似てるって言われるよ」
「俺は母さんだな」
おや、洸夜君はお母さん似ですか?
綺麗系の方なんでしょうね。
そんなこんなを会話しているうちに第1チェックポイントに着きました。
地図の端にあるチェックポイントリストに置いてあったハンコを押します。
コレは複数のグループが協力しない様、ちゃんとチェックポイントを自分達で回ったとの証明らしいです。
確かに、2組で手を組んで、問題を教え合えば回る場所が半分ですみます。けど、そんなズルする人居るんですかね?
「で、問題はなぁに?」
みんなで立て看板に貼られている問題に目を向けます。
『この植物の名前は何でしょう。花言葉も調べてみよう』
………うん。植物園ですからね。こんな問題、来ますよね。
というか、逆に普通すぎてビックリです。
「知ってますか?」
とりあえず、みんなに確認。ですが、首を横に振られてしまいました。
ですよね〜。私も知りません。
チラリと後ろに立っている兄を見ますが……まだ第1問目です。
3枚しかないお助けチケットを使うのは時期尚早な気もしますし………。
さて、どうしましょう。
「ゆあちゃん。ウサギさん……」
愛梨ちゃんが私の手を引き、ウサギリュックを指差しました。
「「「あ、そっか」」」
見事、残り3人でハモりましたよ。
便利グッズが入っているウサギリュック。
中に小型のタブレットが入ってたんですよね。アプリに植物図鑑がありました。
「………なんか、ちゃんと学習っぽくなってるんだね」
「ですね」
感心した様につぶやく陸斗君に頷きながら、植物図鑑を開き、指定された植物の特徴を入力していきます。
「あ、ありました」
「どれどれ。ねこやなぎ?」
覗き込んだ洸夜君が首を傾げています。
「お花がねこの尻尾みたいに見えるから、らしいですよ?」
添付されていた写真を見せたら納得されました。
可愛いですよね。
残念ながら花の時期とはずれている為、実物は見れませんでした。来年、来てみるのも良いかもですね〜。
「花言葉は「努力は報われる」だって。だから頑張れって事かな?」
反対側から覗き込んだ陸斗君が画面の文字を指差して笑いました。
なるほど。
1番最初の問題にぴったりですね。
「では、お言葉を励みに頑張りましょう!」
元気よく拳を振り上げて出発です。
次は、どんな問題ですかね〜。
読んでくださりありがとうございました。
ネコヤナギの花、可愛いですよね。
思わず触ってしまっては、花が痛むと怒られていたのも良い思い出です。