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ピカピカの一年生③

みなさんこんにちは。目の前には上級生の男の子が3人。壁の様に立ち塞がれて困惑気味のゆあです。


制服のズボンが長い事で、上級生なんだろう事は分かります(男の子は5年生になると短パンから長ズボンに変わります)

しかし、最近の子は大きいですね。

みんな160以上はあるんじゃないでしょうか?

私が平均より小柄な為、なおさら大きく感じます。


何が言いたいかというと、あの日以来、知らない大人の男の人がチョット怖くてですね。

相手は子供と言い聞かせても、これだけ体格差のある相手に、しかと複数で立ちはだかれてしまうと……。


(うぅ……こわいよぅ)

本能的な恐怖が押し寄せてきます。

回れ右して逃げたいのですが、上級生で私の名前を知ってるって事は、兄の知り合いの可能性が高いです。

失礼な事をする訳にはいきません。


「で、ゆあちゃん?」

どうにか理性で恐怖をねじ伏せていると、もう一度確認する様に名前を呼ばれました。

……声は出ませんね。しょうがないので、どうにかこくんと頷いて返事をします。


「あんまり似てないなぁ」

「共通項はどっちも美形って事くらい?」

「そうだね。片や和風。片や洋風」

途端に、一斉に好き勝手言いだしました。

だって片親違いますもん!でも、本当に兄妹ですもん!


なんだか否定された様な気持ちに、本格的に泣きたくなってきました。

普段はそんな事で傷ついたりしないのに、恐怖で脆くなってるみたいです。


「………何してるんですか、貴方達は」

涙が滲んできたその時、背後から声がかかりました。

「に〜に!」

反射的に、くるんとひっくり返ると兄の体にぽふん、と抱きつきました。

どうも、自分が考えていたよりずっと怖かったみたいで体が小さく震えてきました。


「ゆあ?」

兄の心配そうな声が降ってきますが、絶対今変な顔してます。

顔上げたくなくて、兄の体にしがみ付いたままフルフルと首を横に振りました。


「………本当に、何をしてたんですか」

兄の声がいつもより少し低く、なんだかヒンヤリとしていました。が、ようやく安全地帯へと逃げ込んだ私にはそんな事に構っている心の余裕はありません。


「誤解だよ、莉央。君の自慢の妹さんを見たくてただ待ってた


「知らない上級生達に立ち塞がれて見下ろされてるだけで、普通怖いでしょう。やってる事は変質者と大差ありませんよ」

「へ、変質者……」

兄の言葉に何か崩れ落ちる気配がしました。

気になってそろりと横目で伺えば、真ん中の男の子ががっくりと膝をつき項垂れています。

さすがに小学生相手に変質者呼ばわりは厳しいんじゃないでしょうか、兄。


「ふ……ふふふ。そうだな、初対面の女性に対して僕達の態度は確かにそう言われてもしょうがないほど、不躾なものだったな。幼いレディーを怯えさせるなど、僕らしくもない」

なんでしょう。

フォローしようかと思ったら、ぶつぶつつぶやきつつゆらりと立ち上がってきました。

怖さ倍増ですよ。目が座ってますよ?


人間怖すぎると目が離せないって本当でした。

目をそらしたら飛びかかってくるんじゃないかと思っちゃうんですよね。

兄にしがみ付いたまま、顔だけそちらに向けて固まっている私に少年はゆっくりと近づいてきました。


頭の上から兄のため息が降ってきます。

「ゆあ、大丈夫だよ。噛み付いたりしないし、飛びかかっても来ないから」

「僕は狂犬か何かか!」

少年がムッとした様に兄に言い返してますが、まぁ、そうですよね。


「フォローしてあげたのに」

肩をすくめて見せてますけど、目が笑ってますよ?

でも、そんな兄達のたわいの無いやり取りで強張っていた体から力が抜けました。

そんな私に兄が笑いながら頭を撫でてくれました。怖くないよ、という様に。


「さっきは失礼したね。怖がらせるつもりは無かったんだよ」

そう言って、今度は膝まづいて目線を合わせた少年がにっこりと笑いました。

改めて見ると、少し目が吊りあがり気味ですがとても整った顔立ちの少年でした。黒髪を少し長めのシンメトリーにカットしていて、襟足は長く伸ばし細い三つ編みになっていました。特徴的な髪型ですが嫌味なく似合ってます。

凛々しい感じで兄とは違った魅力の美形ですね。


「僕は5年の冬乃院輝龍(とうのいんきりゅう)。君のお兄さんとは同じクラスで仲良くさせてもらってるんだよ。

今日は、いつも莉央が自慢しているゆあちゃんにどうしても会ってみたくて押しかけてきてしまったんだよ」

きつめの顔立ちが笑う事で柔らかくなる様子は中々素敵です。

兄で美形に免疫が付いてなかったら赤面間違いなしの威力でしたよ。


「そう。脅かしてごめんね。僕は春日野総馬(かすがのそうま)。お兄ちゃんのお友達だよ」

柔らかそうな栗色の髪をふんわりとセットして少しタレ目の少年がひょこっと横から顔を出し、

「俺は秋澤俊一(あいざわしゅんいち)だ。悪かったな」

黒髪を短めに切り切れ長の少年も同じく膝をつき軽く頭を下げてきました。


……なんで兄の周りはみんな顔面偏差値高いんですかね。

いつもお家に遊びに来る夏樹お兄ちゃんも顔立ち整ってますしね。

類は友を呼ぶんですか?美形祭りですか?


って、思考がそれました。

ダメダメ。

目線を合わせて、自己紹介からやり直してくれた彼らの気遣いを無駄にするわけにはいきません。

兄にしがみ付いたいた手を離して、3人と改めて向き直ります。


「怖がってしまってごめんなさい。倉敷結愛です。兄と仲良くしてくれてありがとうございます」

ぺこりと頭を下げてからにこりと笑えば、笑顔が返ってきました。


「うわぁ、かわいい。コレは自慢するよ」

ワキワキと手を動かして今にも飛びついてきそうな雰囲気の総馬さんを俊一郎さんが止めています。

「触った時点でアウトだと思うぞ」

チラリと私の背後に目をやる様子に首を傾げます。どうしたんでしょうか。

同じ様に目線を上げた総馬君がホールドアップし、輝龍さんが苦笑しています。


「これから、ときどき顔をあわせる事もあるだろうから、よろしくな」

そろりと不器用な仕草で頭を撫でられました。あまり小さな子に慣れていない感じですね。


「はい。兄共々よろしくおねがいします」

とりあえず、あいさつは返しておきましょう。

1年生と5年生じゃそんなに接点も無さそうですけど、ね。




そんな呑気な私の考えを打ち破る様に、彼らとの接点が異常にふえていくのですが、またそれは別のお話。







ちなみにその夜のご飯は、お祝いだからと私の大好物を詰め込んだスペシャルなお子様ランチでした。

うまうまです。




読んでくださりありがとうございました。


1話の長さが相変わらず安定しません……。

1話2000字前後を目指してるんですが。


そして新キャラが増えてきました。

素敵な先輩にドキッとはなかなか行きません(笑)

まぁ、1年生だし、相手はゆあちゃんだし。

というか身近な存在があの兄だと、求めるレベルは高くなりそうですよね……。


兄の友人の名前変更しました。春歌亭→春日野。親切な方に教えていただくまで、意味知りませんでした……orz


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― 新着の感想 ―
[一言] まさか返信いただけるとは! 最新の分を読ませてもらっていたんですが、だいぶ内容を忘れていたのでまた一から読ませてもらってます。
[気になる点] 「誤解だよ、莉央。君の自慢の妹さんを見たくてただ待ってた
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