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ピカピカの一年生②

みなさんこんにちは。

ただいま入学式の会場に入り行進中のゆあです。


広い講堂には椅子が並び保護者が座る間の花道を男女ペアで手を繋いで歩いていきます。

ちなみに、カメラを構えている保護者は居なくて、代わりにプロの撮影スタッフが随所にスタンバイしております。

後日配布されるそうです。

記念記録も綺麗にって事でしょうか?


1年生の席の後ろに1クラス分程の上級生が座っています。その中に兄の姿を見つけて、なんだ嬉しくなりました。

コッソリと空いている方の手で小さく手を振れば、にっこり笑顔と共に振り返されました。


壇上には立派な桜の生け花が飾られています。先生方に誘導されるままに席に着くと厳かに式が始まりました。

と、言っても主役は飽きっぽい1年生。

校長先生や理事長のお話も大変短く簡潔に終わりました。


そうして、上級生が動き出しました。

なんと学校生活のルールをミュージカル仕立てで説明してくれましたよ。

軽快なリズムで時にコミカルな動きやギャグで笑を取りつつ、大変わかりやすい仕上がりになっていました。


歌も演技もなかなかにクオリティーが高く、相当練習したんだろう事が伺えます。

そういえば、春休みだというのに兄が何度か学校に行っていたのは、コレの練習のためだったのですね。

ちなみに兄は演技には参加せず、袖の方でピアノを弾いていました。

いつの間にピアノ弾けるようになったんですか?

まさか、またテレビ講座ですか?!

(後日聞いてみたところ、学校で友人や先生に教えてもらって暇な時に練習していたとの事でした)



なんだかほっこりした後、式は終わって子供たちは教室に戻りました。

親達はそのまま今後の学校生活についてお話があるそうで、その間私達は私達で、先生から教科書を配られたり自己紹介をしたりしました。

新しい教科書って、なんだかテンション上がりますよね〜。


明日からは、学校の施設探検や説明、1日の流れの確認なんかがあるそうです。

そして、驚いた事に掃除の時間と給食当番がありませんでした。

掃除は子供達が帰った後に業者が入り、給食は専門の給仕さんがいて配膳してくれるそうです。マジか。


更にマナーの勉強のため、月に一度フルコースがふるまわれる日があるそうです。

給食でフルコースとか……。私の常識の範囲外すぎて唖然としましたよ。

てか、前世知識のおかげで和食とフランス料理くらいはなんとかなりますが他は知りませんよ?マズイですかね?

お金持ちの常識、怖いです。


「分からない人もちゃんと先生が教えますから大丈夫ですよ。食事は美味しく楽しく食べるのが1番のマナーですからね。楽しみにしてて下さい」

私の他にもこわばった顔をした人が何人かいたらしく、先生が優しく教えてくださいました。


ちなみに担任の先生は年配の優しそうな女の先生でした。祖母より少し若いくらいでしょうか?他のクラスもベテランっぽい先生ばかりだったので、そういう学校の方針なのかもしれません。

確かに、安心感はありますよね。



そうこうしているうちに、親の方も説明が終わったのか、廊下に保護者の姿が見え始めました。

このまま、迎えに来た親と共に各自帰っていいそうです。


「ゆあちゃん、また明日ね〜」

「はい。また明日〜」

さすがに「ごきげんよう」なんて言う人は居ないみたいですね。生「ごきげんよう」聞いてみたかったんですけど。


近くの席の子が帰っていくのを手を振って見送りながら、大人しく席に着いて待ちます。

が、遅いですね……?

クラスの大半が消えても、まだうちの親は来ません。

どこで迷子になってるんでしょう?

うちの母親だと冗談に聞こえないですね。

祖父母もいるはずだし、流石に大丈夫でしょうけど。


「ゆあ!」

ぽけっと席に座って待っていると、兄の声が耳に飛び込んで来ました。

「に〜………お兄ちゃん!」

危ないです。ボゥとしてました。危うく封印したはずの呼び方を。

「お待たせ。母さん達は、先生とまだお話があるみたいだから、僕が迎えに来たんだ。先に帰ってても良いって」

兄の元にかけよれば、優しい笑顔でむかえられました。


「て訳なので、先生。妹を連れて行っていいですか?」

私の頭を撫でながら先生にお伺いを立てれば、少し考えた後頷いて下さいました。

「まぁ、倉敷君なら大丈夫でしょう。が、充分に気をつけて下さいね」

流石、兄です。

先生からの信頼度もバッチリです。


「先生、さようなら」

きちんと挨拶して、兄と手をつなぎます。

明日からも兄と一緒に登下校するのです。

靴を履き替えるために、いったん兄と分かれます。

上履きを脱いでいると、うつむいた視線に誰かの靴先が入りました。


「倉敷結愛ちゃん?」

名前を呼ばれ顔を上げれば、そこには上級生らしき男の子達が3人、立っていました。

どちら様でしょう。


首をかしげる私に、男の子達はニッコリと笑いました。





読んでくださり、ありがとうございました。

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