ピカピカの一年生①
ブクマ3000越えありがとう御座います。
12月3日の活動報告に小話1つおいてます。
本編には関係ないので、おヒマな方は覗いてみてください。
桜咲く4月です。
ついに入学式ですよ!
真新しいランドセルと制服にウキウキです。
制服は紺のセーラーカラー にAラインのワンピースタイプで少しクラシカルな感じが素敵です。レースチラ見せペチコートが付くのがお嬢な感じ、でしょうか。
セーラー帽子もセットになってて可愛いです。
髪はハーフアップにして貰って紺のリボンでシンプルに。レースの飾りがついた白いハイソックスに黒のローファーを履き、こだわりの赤いランドセルを背負えば、いかにもな小学一年生の出来上がりです。
鏡の前でクルリと1回転。
うん。我ながら可愛いです。
リビングに出れば待ち構えていた祖父母が大絶賛してくれました。
入学式の準備があるとかで残念ながら兄は居ません。
なんでも5、6年の代表が入学式に参加して盛り上げてくれるそうです。
では、母と手を繋いでいざ出発!
教室まで送ってもらいお別れすると、自分の席を目指します。
母達は講堂で待機で、子供達は後からみんなで入場するのです。
試験の時と同じように机の上には大きく名前が書いてありました。
が、あの日のようなピリピリした緊張感は何処にもありません。
まぁ、新しい環境に対する緊張感はありますが、概ね良好な感じで、早速隣や前の席の子達と仲良く話している子多数ですね。
私も頑張らねば。
気合を入れて自分の席に向かえばそこには……。
「愛梨ちゃん!陸斗くんに洸夜くんまで!」
なんと、受験の日に仲良くなった子達が勢揃いしてました。
「ゆあちゃん!おはよ!同じクラスだよ」
愛梨ちゃんが弾むような足取りで飛びついてきました。
背中のランドセルの重みと愛梨ちゃんの勢いに負けてよろけましたが、なんとか踏みとどまりました。
愛梨ちゃんが私とあんまり変わらない体型で助かりました。
「みんな同じクラスなの?」
「そうだよ。最後に書いたアンケートに新しいお友達は出来ましたか?って質問あっただろ?それに書いた名前が反映されてるみたい」
どうにか抱きとめた愛梨ちゃんの肩越しに陸斗くんに声をかければニッコリと笑顔が返ってきました。
「ゆあちゃんが潰れちゃうよ?」
それから抱きついたままの愛梨ちゃんをやんわりと引き離してくれます。
愛梨ちゃんが少し拗ねたような顔をしてるけど、確かに潰れそうになっていたので正直助かりました。
「アンケート!書きました」
嬉しくてしっかり3人の名前を書きましたよ。ちゃんとそこを見てクラス決めてくれるなんてなんて素敵な配慮なんでしょう。
他に知り合いなんていない環境で、すごくありがたいです。
て言うか、ここにみんな揃ってるってことはみんなも私の名前を書いてくれたって事ですよね。
気づいた事実に嬉しくなって思わず顔がほころんじゃいます。
「ありがとうございます。これから、よろしくお願いしますね」
心のままに笑ってそう言えば、なぜか3人がぽけっと固まってしまいました。
どうしたんでしょう?
「………あ〜、うん。こっちこそよろしくな」
なんだか困ったような口調で洸夜くんが返してくれました。
はて?なんか変な事言いましたかね?
なんだか微妙な空気が伝染してしまって、ちょっと不安になってきました。眉がヘニョリと下がって情けない顔になりかけた時、愛梨ちゃんが再び飛びついてきました。
「ゆあちゃん、可愛い!!もぅ、だいすき!」
勢いに負けて、今度こそ倒れそうになったところを横から伸びてきた腕が受け止めてくれました。
「だから!潰れるって言ってるだろ!危ないから飛びつくの禁止!」
横から抱きしめるようにして止めてくれたのは陸斗くんでした。
背の高い洸夜くんの隣にいるからあんまり感じなかったけど、こうしてみると陸斗くんも私よりだいぶ大きいんですね。
「ありがとうございます。何度もすみません」
「あ、うん。大丈夫」
背後を仰ぎ見るようにお礼を言えば肩を押されるように体を離されました。
2人分の体重は流石に重かったですかね?
「………り」
「………さい!」
何やら横で愛梨ちゃんとボソボソと内緒話が始まりました。
仲良しですね〜。
「………あの2人は放っておいていいよ。とりあえず、改めてよろしくな」
ようやく自分の席にランドセルを置きながら2人を眺めていると、呆れ顔の洸夜くんに改めてご挨拶をされました。
「はい。よろしくお願いします。最初からお友達と一緒でうれしいです」
笑顔で返せば頭を撫でられました。
洸夜くんは同じ年だけど背が高いからお兄ちゃんみたいですね。
「自覚なし、か。厄介かな?面白そうだからいい、か?」
ボソボソとつぶやかれた言葉は残念ながら自分の考えに突入していた私の耳には入りませんでした。
私立の小学校ってどんな所だろうとドキドキしてたけど、3人が一緒なら楽しく過ごせそうです。
ガンバるぞ、お〜!
読んでくださりありがとうございました。
ゆあちゃんに聞こえなかった2人の会話
「むっつり」
「うるさい!ポンポン抱きつくなよ!ゆあちゃん転んだら大変だろ!」
「ちゃんと加減してるもの。おかげでゆあちゃんに抱きつけて良かったじゃない」
「お前、人見知りじゃなかったのかよ」
「あなたこそ、ずいぶん口が悪いのね〜」
きっとお互いにゆあちゃんを巡る敵認定したかと思われます。
洸夜くんは、傍観者になって楽しむスタンス。でも、無自覚ゆあちゃんスマイルにちょっと危機感を感じています。