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お受験です!④

10人と言われたのに、成り行きで11人グループを作っちゃいました。

が、後悔はしてません。ボッチ反対派なゆあです。




無事にグループになったと判断した先生達が、輪になった子供達の中心に大きな段ボールを運び入れて来ました。


「中に入っているブロックを使って、みんなでできるだけ高く積み上げてください。先生が笛を1回吹いたら終わり5分前。2回吹いたら終了です。では、スタート!」


先生の合図で、子供達がワッと一斉に段ボール箱に群がりました。次々と中から引っ張り出されるのは色や大きさ、形も様々な四角いブロック。


勢いに押されて尻込みしているあいりちゃんの手を引いて、段ボール箱から引っ張り出されているブロックを1つ手に取ってみます。

で、大きさの違うものをもう1つ。

愛梨ちゃんに渡そうとして、違和感に気づきました。


確認の為、なるべく大きさの違うものを選んで、もう一個拾ってみます。

「………これ、重さも違うんだ」

大きなブロックの方が重たいんだろうと思ったら、それより小さなブロックの方が重かったのです。

拾ったブロックを大中小とすると「大→小→中」の順に軽いんですよ。これってなんの罠でしょう。



それぞれに勢いよく積み上げていっては崩している周囲を観察します。

大きさで選んでもダメ、形に惑わされすぎてもアウト。

いろんな形のブロックを持ち上げては降ろし、持ち上げては降ろして考えている私を愛梨ちゃんが不思議そうに眺めています。


「ゆあちゃん、どうしたの?」

バラバラに積み上げるみんなをどうにかまとめようとしていたりくと君もその様子に気づいたみたいで、こっちにやってきました。

「参加しないとだめだよ?」

「コレね、重さがあるの」

不思議そうなりくと君になるべく重さが違うブロックを1つずつ手に持たせます。


「あ、本当だ」

「小さいからって重いものを上に置いたらバランス崩れちゃう。かといって軽いからって大きすぎるの上に乗せてもダメ」

重要なのはバランスです。


でも、ここで私が先頭に立ってもきっと何言ってんだこのチビってなるんです。

子供ってハッタリが大事なんですよ。

て、わけで。



すでにリーダーシップを発揮し始めていたりくと君とこうや君に先頭に立ってみんなを動かしてもらいます。

1度ブロックを重さや形で分けてみれば、色に法則があるのを発見。分かってしまえば、答えは簡単でした。


土台は大きく、てっぺんに行くと細く。

ドンドンみんなで協力して積み上げていきます。

協力プレイって素晴らしいですね。

細長い塔が出来上がったところで、笛が1回鳴りました。


最後のブロックは長四角。

欲張って縦に置くのが理想でしょう。

1番背の高いこうや君に乗せてもらおうと渡そうとすれば、にっこり笑ってなぜか抱き上げられました。

力持ちですね。


「仕上げはゆあちゃんでしょ」

こうや君の言葉に驚いて周りを見れば、なぜかみんながニコニコ笑って頷いています。

「………じゃあ」


ソゥッと慎重に。

最後の1個をそろりと乗せれば、見事なレインボーカラーの塔が出来上がりました。

グループのみんなから、ワッと歓声が上がります。

うん。綺麗ですね。


「みんな、座って」

シィーと口元に指を当てて、あいりちゃんが促しました。

ニコニコ笑顔でそっと周りを示します。

そう。今は試験中でした。

広い体育館の随所に先生達が立っています。

途端に、みんなは澄まし顔で塔の周りを円形に囲み三角座り。

素晴らしい統率ですね。




そうして、笛が鳴った時、私達のグループの塔は1つのブロックを余らせることもなく、1番高くその場にそびえ立っていたのでした。






帰り道。門の所までお迎えに来てくれていた兄と手をつないで帰ります。

「どうだった?」

「給食が美味しかったです!」

思わず反射で答えれば、兄どころか後ろを歩いていた母達まで吹き出しました。


だって、すごく美味しかったんです。

チーズが乗ったハンバーグだったんですけど、かかっているソースが絶品で。

はっきり言って給食のレベルじゃなかったですよ、あれ。

付け合わせのサラダやスープも凄かったです。何品目使われてたんですかね。

好き嫌いないから良かったけど、苦手な野菜がある子も多くて、ちょっと大変そうでした。


「お友達、出来た?」

兄の楽しそうな質問に笑顔で頷きます。

「ゆあったらすごいのよ?将来有望なイケメン君に囲まれてたんだから」

後ろから母の変な合いの手が入りました。

あ、兄の眉間にシワが。


「そう。どんな子達なのかな?」

兄の笑顔がなんだか怖いです。

が、新しいお友達の事を聞かれ、嬉しくて気にしません。

私の今世の目標は、「友達100人」ですからね。


給食の後に昼休みがあったので、その時にしっかり住所まで聞いた為、もし受験に落ちてもこれっきりにはなりませんよ。

私、対策バッチリです。


「あのね、1人はね〜」

帰り道の間ずっと話し続ける私に兄は笑顔を絶やすことなく聞いてくれました。

やっぱりうちの兄は優しくてできた人です!





ちなみに夜ご飯は頑張ったご褒美にお寿司でした。うまうま〜。



読んでくださり、ありがとうございました。


コレで無事受験は終了です。

ゆあちゃんは思いっきり楽しんでましたね。

あの度胸が作者も欲しいです。


そして、兄よ……。

心のメモに書き込む姿が目に映る様です。

きっと、4月には本人確認もするんだろうなぁ……。

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