転生したらネグレクトされてました2.5
お兄ちゃん視点です。
僕はいつもひとりぼっちだった。
お父さんがお家に帰らなくなってから、お母さんは「新しいお父さんを見つけに行くのよ」と1人でお外に行くようになった。
ぼくはいつもお家でお留守番。
お日様が出ているうちは良いけど、少しずつ暗くなっていくお家に1人でいるのはとても怖くて、何度かお母さんに一緒に連れて行ってって頼んだけど、ダメだった。
お母さんの顔が鬼みたいになって、すごく怒られた。
あなたの為にお父さんを探してるのに、邪魔しないでよ!って言われて、すごく悲しくなった。
ぼくのお父さんは1人だけなのに。
しばらくして、お母さんは男の人を連れて帰ってきた。
それから一緒に暮らしたけど、男の人はすぐ居なくなった。
ある時は、男の人が来る時はかくれんぼする様に言われた。
出てきたらダメよ、というお母さんはいつかの様な怖い顔をしていて、僕は暗い押入れの中で怖くてジッとしていた。
それからも、何人もの男の人がやってきてはいなくなった。
その度にお母さんはすごく泣いて僕はヨシヨシしてあげた。そうすると、お母さんはありがとうと笑ってくれるから、僕もなんだかうれしくなるんだ。
それから、お母さんは何日かしたらまた楽しそうに出かけるようになるんだ。
そんな風に時間が過ぎて、ある日から一緒に暮らす様になった男の人は、ぼくに「お父さん」と呼ぶように言った。
すごく優しくて、お母さんもいつものにこにこしてて、ぼくはとても嬉しかった。
しばらくして、お母さんは「あなたはお兄ちゃんになるのよ」とこっそり教えてくれた。
「お父さんにはまだひみつよ」と。
それからしばらくして、お母さんのお腹が大きくなってきた頃、『お父さん』はまたいなくなった。
お父さんには、他にも家族がいて、僕たちとはもう暮らせないんだって。
お父さんがいなくなって、お母さんはお家でずっと泣いていた。ぼくは、お母さんをずっとヨシヨシしてた。
そうしているうちに、お母さんは妹を産んだ。
妹はとても小さくて、自分のことは何にもできなくて、でもとっても可愛かった。
お母さんがお出かけしても、これからは1人じゃ無いんだと嬉しかった。
ぼくはお兄ちゃんで、なんでもできるんだから、しっかりと妹を守ってあげるんだ。
ギュッと抱きしめたら、小さくて温かくて優しい匂いがしてなんだか幸せな気分になった僕は、ジッと見つめてくる小さな瞳ににっこりと笑いかけた。
妹は小さな手で僕の頬を触るとにっこりと笑い返してくれた。
僕は妹が大好きだ。
読んでくださりありがとうございました。