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人形遊びは卒業です〜終幕〜

目がさめると病院のベッドの上でした。

なんだか、そろそろこの天井も見慣れてきた感じがして、イヤな感じです。

いつもと違ったのは、目がさめるとベッドの周りに家族が勢揃いしてた事、でしょうか。

祖父母に母、勿論兄の姿もありました。


8つの目が自分をじっと見下ろしてる図、というのは正直ビビりましたよ。

思わず固まってしまうと傍の兄が「ゆあ」と名前を呼んできました。


「僕の事、分かる?」

「はい。に〜にです」

こくんと頷けば、にっこりと笑顔が返ってきました。


そこからはカオスです。


喜色満面……というか、泣き笑い状態の家族が一斉に話しかけ、抱きつかれたり頭を撫でられたり……もみくちゃ状態に若干目回しましたが、漸く戻ってこれたんだと、気づけば私も笑いながら泣いていました。


大泣きして寝落ちした私は精神的に疲れていたのか半日ほど目を覚まさなかったそうです。


寝ている間に一応脳波撮ったりの検査はしたそうですが問題はなく、疲れているんだろうとそっと見守っていてくれたみたいです。


一応、最後に簡単な問診を受けて、今日は帰って良い事になりました。

今後、何度か警察の質問に答える必要があるみたいですが、まだ私が小さい事を考慮して、警察署では無く、自宅などで家族と共にお話をする形でよいそうです。




で、現在自宅に篭ってゴロゴロ生活してます。

といっても1人では無く、当然のように兄が一緒にいます。

今までも、いつも一緒だったので別にそれは良いのですが、なんだかいつもより距離が近いです。

今も、お膝に抱っこ状態で絵本を読んでもらっています。重く無いんでしょうか?


どうも、兄も精神的に不安定になってるみたいで、私の姿が少しでも見えなくなると不安で落ち着かないらしいです。

お家の中から出る事なんて無いのに、困ったものです。


まぁ、かくゆう私は見事に暗闇がダメになりました。

薄闇すらも落ち着かず、電気が付いていないと眠れません。

外も不安の対象になっていて、玄関のチャイムが鳴ると、勝手にす身体がビクッとしてしまいます。


知らない男の人も犯人を思い出す為か、近づかれるだけで身体が強張ってしまう状態で、事情聴取は年輩の女性警官に自宅でお願いする事になってしまいました。


まぁ、コレはもう少ししたらカウンセリングを受けに行く事になりそうです。

こんな事で引きこもりになるのも、犯人に負けたみたいで癪ですからね。




事件は、マスコミが連日事件を取り上げ面白おかしく騒ぎ立てていましたが、2週間もするとだいぶ落ち着きました。

幸い、自宅ばれしなかったのかマスコミが押しかけてくる事は無かった為、私は良く分からないんですけどね。


心配症の家族がテレビも見せてくれなかった為、事件のその後は家族が教えてくれる以上の情報は持ってなかったのです。

多分そこらのワイドショー大好きなおばさまたちの方が情報通だったんではないでしょうか?




気になっていたサエちゃん達ですが。


サエちゃん事、本名鈴木麻里奈ちゃんは、無事に家族の元へと帰ることが出来ました。


彼女は、約1年の年月をあそこで過ごしていたらしく、現在幼児退行の様な状態になって、母親から離れられないそうです。


行方不明から1年近くが経ち諦めかけていた家族は、それでも生きて戻ってきてくれたと、そんな麻里奈ちゃんを全力で受け止め、慈しんでいるそう。


きっと、そんな家族の元ならどんなトラウマだって乗り越えられるはずです。

だって、私がそうだから。


お互いの家族で話し合いが持たれ、今は、あの日々を思い出させないほうが良いだろうと、会うのは控える事になりました。


もう少し落ち着いて、麻里奈ちゃんが会っても良いと思えたら、いつか会える日が来るかもしれないそうです。


そして白い髪に紅い目の少女ユキメちゃんは、少し複雑で、どうも警察の方で保護され施設に入ったそうです。


母さん達が言いづらそうにしていたので詳しくは聞けませんでしたが、これから、幸せになれれば良いのになぁって思いました。





そんなこんなで、一月もすればだいぶ周囲も私の心も落ち着いてきて、ゆっくりですが元の生活に戻りはじめました。

最も、未だ1人で外には出れませんし、幼稚園もお休みしてます。と、いうか、復帰のメドは今の所立っていません。


とりあえず、兄は渋々学校に行く様にはなりましたし、母もバイトに復活して、昼間は祖母と2人、静かな生活になりました。





「なんか、夢だったみたいですねぇ」


暖かな陽だまりの中でオヤツを食べていると、本当にそんな気になってくるんです。

まぁ、とびっきりの悪夢でしたけどね。

もう、2度と経験したくありません。

やっぱり平和が1番です。


「早く、幼稚園行きたいなぁ」

美花ちゃんが昨日遊びに来て、幼稚園のみんなからのお手紙や折り紙を持ってきてくれました。


正直、外に出るのはまだ怖いけど、お友達が待っててくれると思えば頑張れる気がします。

やっと、ぼっちから脱出できたのに、こんな事でまた1人に逆戻りとか絶対イヤです。


目標は今年中に幼稚園復帰、ですよ。

ファイト、おー!!


読んでくださり、ありがとうございました。


人形遊び、ここで一区切りです。


ゆあちゃんも他の子達も、トラウマの克服なんかでこれからも、大変だと思いますが、ゆあちゃんの言葉ですが「家族が支えてくれるから大丈夫」だと思います。

護ってくれる絶対的な存在ってすごく大切で強い支えになってくれるものです。


まぁ、ゆあちゃんに関しては本人以外と図太く逞しいのであまり心配はしてませんけど、ね。兄もいる事ですし(笑)

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 勝手にす身体がビクッとしてしまいます。
[一言] 今、ちょうどお人形遊びのところまで読み終わったところです。 読みながら思い出したのは、我が子が今、中高生なのですが生まれる数年前だったか、1人でトイレに行った子がリュックサックに詰められ殺さ…
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