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桜咲く幼稚園は……②

ブラック兄は降臨しませんよ、まだ……。

よろしくお願いします。

みなさん、こんにちは。

本日幼稚園で大泣きの挙句ヒステリー起こして退場した、ゆあです。

うぅ……、幼稚園行きたく無いよぅ。


お布団でグズグズしていたら、小学校から兄が帰ってきました。

どうも、母さんから事情を聞いたみたいで、布団ミノムシと化している私に出てくるようにとポンポン叩いて促されました。


「ゆあ、ゆあ。心配だから顔見せて?気絶したんだろ?大丈夫?」

優しい声に励まされて、モソモソとお布団の中から這い出すとぎゅっと抱きしめられました。


「呼んでくれたのに、すぐ駆けつけてあげられなくてごめんね。怖かったね」

優しい声と共に頭をナデナデされて、止まったはずの涙がまた溢れてきました。


いくら幼児といえども、この体、涙腺弱すぎじゃないでしょうか?

そして、学校に行ってた兄が駆けつけられないのは当然なのです。兄は悪く無いのです。


グリグリと頭を擦りつければクスリと笑われました。

「それでも、ゆあが泣いてるなら駆けつけてあげたかったんだよ」


あっま〜い!甘いです。どこのたらしですか?誰にそんなセリフ教わったんですか?またテレビ?いつの間にトレンディドラマまで網羅したの?!




………失礼。取り乱しました。

あまりの兄の王子っぷりに涙も吹っ飛びましたよ。

絶対顔が赤い為、意地でも顔はあげませんが、兄の腕の中で思わずジタバタ暴れちゃいました。


小学生男子なんて、もっとおバカな生き物だと思ってました。

下ネタ満載でゲームと漫画に目覚め、友達と馬鹿騒ぎして笑っているイメージでしたよ?


兄が規格外なんでしょうか?

でも、兄のお友達の児玉君も似たような感じなんですけどね(あ、児玉君とは兄を最初にイジメ?てた人です。今では和解して、お家に遊びに来るくらい仲良しです)

類は友を呼ぶんですか?


まぁ、お陰で涙は見事に引っ込みました。

が、大事な問題を思い出しました。


「に〜ににもりゃったリボン、取りゃれちゃったの。ごめんなしゃい」

しょんぼりと謝れば、下げた視界の目の端で兄の目がキラリと光った気がしました。


「そう。大丈夫。きっと戻ってくるよ」

優しく微笑んで慰めてくれる兄になぜかぞくりとしたものが背中を這い上がりました。

はて?


「うん。ゆあ、ちゃんと返してって言ってくりゅの。たからもにょなんだもん!」

拳を握りしめ、力強く宣言します。


そうです。

やられっぱなしでいるゆあでは無いですよ。

兄に貰った大切なリボン、絶対に取り返してみせます。




次の日、です。

やっぱり幼稚園、行きたくありません。

だって、絶対みんなに変な子認定された気がするし。


モソモソと朝ごはんを食べていると、既に朝の準備終了した兄がブラシ片手に後ろに立ちました。


慣れた手つきで優しく髪をとかれ、まとめられていきます。本日は高い位置に結ばれたツインテール。

「ウサギさんみたいで可愛い」と周りに好評で、ピョンピョン揺れる感触が楽しくて私も大好きです。


落ち込んでいる私に「元気出して」と言ってくれてるみたい。

嬉しくなって兄を振り返れば、ニッコリと笑い返されました。


「仕上げはコレ」

そう言って見せられたのは赤に白いハートの生地で作られたお花の飾りゴム。

真ん中にはキラキラ光るビーズがつけられていてとっても可愛いです。


「昨日急いで作ったからあんまり上手じゃ無いんだけどね」

「ににが作ったの?しゅごい!かわいい!!」

照れたような兄の目は少し赤くて、夜更かししたんでしょうか?

嬉しくて飛びつけば、しっかりと抱きしめられて頭を撫でられました。


「ずっとは一緒にいれないからね。お守り、だよ」

髪にお花をつけてくれながらそう言って笑う兄は、本当に凄いです。

だって、さっきまでの憂鬱な気持ちがどこかに飛んでいっちゃいました。



もう。もうっ!

お兄ちゃん、大好きです!!



読んでくださりありがとうございました。


兄ちゃんが〜夜なべ〜をして〜。

兄がついに裁縫スキルまで手に入れた。


今回の先生はテレビじゃなくてお婆ちゃん。

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