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夏のバカンスは南の島で⑥

お久しぶりです!


「結構悲鳴が響きますねぇ」

さて、始まりました肝試し。


出発は廃病院の前って事でみんなで移動したんですけど、四角いコンクリート製の三階建てで、壁にうっそりと蔦が這ってる廃病院は夜の効果も相まってなんだかおどろおどろしい雰囲気でした。


窓の中は真っ暗です。

誘導灯があるって言ってましたけど、どうしてるのでしょう?


ちなみに、入り口前には待機場としてタープがはられ、人数分の椅子とテーブルが用意されている上にスタッフさんが飲み物を提供するために控えているので怖さ半減なのですけどね。


ええ。上流階級の皆さんを出発まで突っ立て待機なんてさせるわけ、ないですよね。

特にホストのアドルフォさんはずっとここで待っているわけですから。

 

出発直前のわちゃわちゃで笑顔が戻ってた芽衣子ちゃんは、廃病院の雰囲気にのまれてかそちらを見ながら固まってますね。


怖いのに目が離せないんですよね、分かります。

待機場でゆったり椅子に腰かけてくつろぐアドルフォさんに突っ込む余裕もなさそうです。


「そろそろ始めようか」というアドルフォさんの鶴の一声に一瞬で青ざめ、泣きそうな顔で兄に引きずられて行った芽衣子ちゃんの最初の悲鳴が上がったのは一分後でした。


その後も聞こえてきますが、徐々に声が遠ざかっていくので順調に前に進んではいるのでしょう。


それを聞きながらのん気に「本当に怖がりなんだね~」なんて話しながら自分たちの順番をのんびりまってました。

飲み物のほかにアイスやフルーツもあって至れり尽くせりです。

BGMが芽衣子ちゃんの悲鳴でしたけど。


で、充分間が空いたと判断された15分後、二組目の美香ちゃん&洸夜君チームがスタッフさんに声をかけられ、出発してから待機組の雰囲気が変わりました。


「……あれ?意外」

芽衣子ちゃんとは違う、少し控えめの悲鳴が聞こえてきたのです。


「美香ちゃん、暗いのとか平気って言ってましたよね?」

はて?と首を傾げる間にも、悲鳴は二重奏になって響きます。


「うん。習い事も一人で行き来してるって言ってたし。女の子が夜の一人歩きとか、危ないよね」

「いや、美香ちゃん空手の有段者でしょ?物理的に怖いものなしじゃん」

別ベクトルで心配顔な愛梨ちゃんに、すかさず突っ込む陸人君。


「そんなの分からないでしょう?女の子には危険がいっぱいなの~~」

頬を膨らませて文句を言っている愛梨ちゃんにほっこりしていると、新し悲鳴……というか驚いたような声がかすかに聞こえました。


「今の、洸夜君?」

「……だな」

いつの間にか芽衣子ちゃんの悲鳴が聞こえなくなって静かになってたからこそ聞こえたんでしょうけど、それは確かに男性の声でした。


不思議そうな顔を見合わせて、口を開こうとしたら、スタッフさんが先に声をかけてきました。


三組目は愛梨ちゃんと夏樹さん。


愛梨ちゃんはどこか不安そうな顔でこちらをチラチラと振り返りながら出発していきました。


「……アドルフォさん、これ絶対()()()()()()()()()()()()()()()なんて程度じゃないですよね?」

 その背中を見送りながら、アドルフォさんを振り向くといつの間にかその前には小さなノートパソコンが据えられていました。


「あ、こっち来ちゃだめだよ?ネタバレになっちゃうから」

 ニンマリとほほ笑むアドルフォさん。


「やっぱりですか」

 モニター体験だって言ってましたね、そういえば。

 隣で陸人君が目を丸くしてますが、薄暗い病院を歩くだけで終わるわけありませんよねぇ。


「そういえば、いつの間にかレオもいませんね」

「レオはゴール地点の方からもろもろの微調整してるよ」

「微調整……」

 よく見ると片耳にイヤフォン装着してますよ、アドルフォさん。


「どうします?」

「どうするって言われても……」

思わず陸人君と顔を見合わせます。

バックミュージックは増えた愛梨ちゃんの悲鳴でなかなかにシュールですが。


「どうもこうも。地方のお祭りのお化け屋敷だと思ってたのが、本格的に作りこまれた最新式だったってことだよね?」

「まぁ、そうですねぇ」

肩を竦める陸人君に同意です。

ここまで来たら参加しないなんてありえないですよね。そもそも拒否権ありませんし。


「なんだか、むしろワクワクしてきました」

島ひとつを改造してリゾート地にしちゃおうなんて一大プロジェクト監修のお化け屋敷ですよ。

絶対お金かかってるに違いありません。


「そうきたか~~。さすが結愛ちゃん」

大笑いするアドルフォさん。

「さすがにまだプロトタイプだからあんまり期待しないでね」


余裕の様子になんだかイラっとしたのであっかんべーと舌を出して、出発の声をかけてきたスタッフさんの誘導に従います。


「あ~~あ~~~」

「結愛ちゃん、何してるの?」

「発声練習です」

不思議そうな陸人君に胸を張って答えながら、手渡されたレトロなフォルムのカンテラを受け取りました。懐中電灯じゃないのがまた、こだわりを感じさせますね。

流石に火の手は危ないから中身は蝋燭ではないですけど。


さて、発声準備は万端です。

華麗な悲鳴を響かせて見せようじゃないですか!

意気揚々と病院の扉を押した私の後を、半笑いの陸人君が付いてきていました。


なんかすみません。



 


読んくださり、ありがとうございました。


ちび魔女さんに脳みそと時間を乗っ取られて、他の更新ができてません。

申し訳ない。

流石に夏を2回もスルーして、反省のもと少しずつですが進めたい所存です!


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