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夏のバカンスは南の島で①

さて、あいかわずの夜凪の見切り発車です(笑

どこに辿り着くかは未定

皆さまこんにちわ。結愛です。

思いもよらない昔馴染みと再び再会することができて、びっくりしつつも嬉しい日々です。

長年秘密にしていた前世の記憶も、無事兄にカミングアウト出来て心の重しも取れ、気分は晴れ晴れ、なのですよ。


心配していた『乙女ゲームの中問題』もいつの間にか解決しそうですしね。

というか、始まる前からいろいろ破綻していましたし、さほど心配もしていなかったのですが、まあ、そこは置いておいて。


結局、私は何もしないまま流されてここまで来てしまったなあ、って思うのです。


『紗彩』が死んでしまったのは、本当に不可抗力で避けようのない不幸ではあったのですが、今回二人に再会して……。

残す方よりも、残された方がつらいよねって、思いました。


だって、私が死んでしまった後も当然残されたみんなの人生は続いているわけで。

その日々の中、亡くしてしまった痛みと戦わなくてはならないんです。


『紗彩』が死んでからどれくらいの時間が経過したかもわからないし、何なら世界線すら違うので、昔の家族がどうしていたのか知るすべはありません。


二人に聞く気もないです。


だって、本来知ることのできない情報である以上、自分から調べるのはダメだと思うんですよね。


だけど、私の知っている家族なら、きっとそれを乗り越えて強く生きて行っていると思います。

幸せに笑っていてくれると、そう信じているのです。




……なんか、脱線しました。

だから、何が言いたいかというとですね。


困難は、克服するためにあるし、なんとなく生きていくのではなく立ち向かわなければならないと、そう思うのです。


もちろん、今までだって自分なりに頑張ってきたつもりですが、能動的というよりは、襲い掛かってくる死亡フラグをその都度乗り越え、倒してきた日々だったと思うんです。


自覚もありますが、事なかれ主義ですから。

夢は、おばあちゃんになって縁側で日向ぼっこしながらお茶を飲むことですからね。


だけど、日向ぼっこするのは、まだ何十年先の未来であり、そこに至るまでにもう少し自分で動いてみたいな~~って、そう思ったのですよ。うん。





「その第一歩、のつもりだったんですけどね・・・・・」


来年には私も兄は受験の年で。

私はそのまま高等部に持ち上がりの予定なので受験らしい受験はないのですが、兄はどうも外部に出ようとしているようなのですよね。


となれば、ゆっくり遊べるのは今年の夏が最大のチャンスだと思って、夏の旅行を持ち掛けたんです。


最初は、家族旅行とも思ったんですけど、母親の仕事が激務化していて時間が取れず。

おじいちゃんとおばあちゃんは、なんでも数十年ぶりの同窓会があるからそっちに行きたいと断られ。


兄と二人でまったりどこか行こうかな?と思っていたら、どこから話がもれたのか美香ちゃんや愛梨ちゃんが自分たちも一緒に行きたいと手をあげ、さらにアドルフォさんやレオまで仲間外れはずるいと騒ぎだし……。


そんな感じで、気がつけば大人数の団体旅行になってたんです。

ところが皆さん、良家ご子息ご令嬢な訳で、セキュリティーの関係上そこらの民宿はもちろん、下手なホテルに泊まるわけにもいかず。


かといって、夏休みまで2か月切った時期に、そんなホテルが空いているわけもなく。

悩んでいたら、当然のように申し出がありました。

どことは言いませんが、複数箇所から。


「じゃ、ウチの別荘使う?」




「なんか思ってたものとだいぶ違うのですが……?」

巨大クルーザーの甲板で、手すりにもたれ1人空を見上げて呟いてみます。


辺りは見渡す限りの水平線。

空は抜けるような青空で日差しがまぶしいです。

でも、潮風が気持ちいいので、そんなに暑さは感じません。

私の気持ちは若干澱んでますけどね。


「結愛ちゃん、干乾しになっちゃうからこっちおいでよ~」

呼ばれて振り向けば広い甲板に用意された日よけのシェラフの中で手招きする麗しき御一行様。


うん、なんの乙女ゲームのスチルかな?


全てのボタンが外されて、はだけたアロハシャツから覗く胸筋や腹筋が素敵だね、アドルフォさん。


「夏のバカンスといったらこれ!」とはしゃいだアドルフォさんの巻き添えで、男性陣はみんなアロハシャツ姿です。

その中で「付き合ってられない」と一人だけ自前のシャツを貫いた兄は、薄いブルーのシャツがストイックで素敵です。

一つだけあけられた襟元のボタンに、涼しげな色気を判じますね。


ちなみにお兄ちゃん属性な夏樹君と洸夜君は馬が合ったようで意気投合の挙句、船の操縦に興味があると操舵室で船長さんに張り付いています。

あれはあれで楽しそうでした。


「何か見える?」

そこに、鮮やかなオレンジの花のワンピースを着た愛梨ちゃんと、色違いで青い花のワンピース姿の美香ちゃんが船内から姿を現し、手を振ってきます。うん、可愛い。

ちなみに私もお揃いでピンクです。



事案「子供プレゼンほっこり家族旅行が、なんでか貸し切り巨大クルーザーでいく豪華プライベートビーチ付き南の島の別荘ご招待になりました」件について。


移動手段も宿泊場所も、気づけば全て手配完了されておりました。

指定された日時に、お家まで車が迎えにきて、あれよあれよという間に、港から出港してましたよ。


本当に。本当に!どうしてこうなった、ですよ。



「私が頑張るはずだったのに……」


みんなと旅行に行けるのはもちろん楽しみなのですが、最初のスタートが自発性を磨こうだっただけに何とも複雑です。

これでは、いつもと変わりません。


そこら辺の事情も私の気持ちも当然のように把握している兄が、いつの間にか隣に来て、苦笑しながらもポンポンと頭を撫でてくれました。


「こうなったら楽しんだもの勝ちだよ、結愛。秋にでも家族旅行をやり直そう」

「………はい。次は頑張ります」

コクリと頷けば優しい笑顔が返ってきます。


「ほら、みんな待ってるよ」

改めて顔をあげれば、こちらを見ているみんなの顔。

少し心配そうな顔をしている人も数人……。


これはいけませんね、頭を切り替えていきましょう。

じゃないと、純粋に「楽しませてあげよう」って気持ちで、準備してくださった人に失礼ですよね。


こうなったら、普通なら味わえないセレブ旅をしっかり満喫しちゃいましょう!



「ジュースもいいけど、アイスも食べたいです」

兄と手をつないで向かう先、汗をかいたグラスが夏の光に鮮やかにきらめきました。


こうして、楽しい夏のバカンスは始まったのです。





読んでくださりありがとうございます。

突然夏を先取りです(笑

いや、夜凪の更新スピードなら、きっと夏が追いついてするはず!


一応、前回が5月末くらいのイメージだったので、時系列的には間違ってない、はず……?


そんな諸々の言い訳をつけつつ、本編再開します。

気長にお付き合いいただけると幸いです(^^)


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