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閑話:転生者たちの宴~二人バージョン

なんかたくさんの方に読んでいただいてて、嬉しかったので調子に乗りました……

「前回はひどい目にあいました」

「なんか、うちの兄がすみません」

皆さんこんにちは、結愛です。

ため息をつく芽衣子ちゃんに、半笑いで頭を下げてます。


ただいま、芽衣子ちゃんのお家でお茶してます。

我が家だと、兄が乱入してくる危険がありますからね。

前回、芽衣子ちゃんが荒ぶった原因はいないから大丈夫とは思いますが、念のためです。


何故かわかりませんが、芽衣子ちゃんに対してだけ、兄の距離感がバグっているのですよね〜。

一瞬「そういう事?」と勘ぐってはみたのですが、その割には目の色が違うというか……。

まぁ、前世合わせても彼氏0の私が言うなという感じではあるんですが。

とりあえず、要観察、って事で。


「それにしても、あんなに敦史と仲悪かったですっけ?」

首を傾げる私に、芽衣子ちゃんの眉間に深い渓谷が刻まれました。

「前は言えなかったけど存在自体が気に食わなかったのよね、実は」

心の底からいやそうに、呟く目が座ってますね。

「そこまでですか?」

それほど接点があるようにも見えなかったですが、どこでそんなに嫌われてしまったのでしょう?

ちょっとチャラいところはありましたが、基本、人当たりが良く、誰とでも仲良くやっていたと思うんですけど?


「だって、たまたま生まれたところが隣だったってだけで、当然のようにサーヤの隣に居座って何の努力もなく!

それどころか、女性関係で迷惑ばかりかけて!!

まあ、そのおかげでうちの学校に来てくれたから、その点だけは評価しますけど!

そのおかげでサーヤと友達になれたわけだし?!」


はじかれたように話し出す芽衣子ちゃんの勢いがすごいです。

でもあんまりテーブルバンバン叩いたら、お茶がこぼれちゃいそうですよ?


「サーヤの側にいたいなら、せめて女性関係綺麗にしろと何度も何度も言ったのに。

サーヤとはそんなんじゃないって。

そのくせ、あの男ちゃっかりサーヤの出会いの場とかつぶしてやがりましたからね!?」


そっと芽衣子ちゃんの手元からカップを遠ざけていると、何やら知らなかった新事実が出てきましたよ?


「出会いの場なんてありましたっけ?」

はて?、と首を傾げると、興奮状態の芽衣子ちゃん。

容赦なく敦史の過去の行いを暴露してくださいましたよ。


なんでも芽衣子ちゃんも知ってる共通の友人の女の子が、いつまでも浮いた噂のない私たちを心配して合コンをセッティングしてくれていたそうなのですが、どこから聞きつけてきたのか敦史が計画段階で参戦。

ふたを開けてみれば、男の子は敦史の友人・知人で固められ、しかも話が盛り上がってきたと思えばさりげなく敦史も話題に入り込み、口説く隙を潰していたそうです。


そんなことが続くこと数回。

むしろセッティングしてくれる女の子たちがどんどん彼氏持ちになり、結婚して子持ちになり……。


そういえば、私の周囲の子たち結婚している子多かったんですよね。

一時期、結婚ラッシュでご祝儀大変でした。


「私の参加する合コンは男の子のレベルが高くて楽しいって、褒められることはありましたねえ。そういえば」

「万が一にも変な男が入って問題起きたら不味いと思ってたんだよ、きっと。思わぬ副産物で、みんないい旦那さんゲットしてたし、そこは良いんだけどさ」


しみじみと呟けば、芽衣子ちゃんが不満そうに唇を尖らせました。

なんか荒ぶる芽衣子ちゃんがちょっと面白くなっていました。

唇、摘んでみても良いですかね?


「まあ、敦史の事ですから、単純に心配性拗らせてただけとは思いますけどね」

「そうだとしたら過保護すぎ!あんな壁で囲われたら、乗り越えられる人居ないって」


一応、フォローしてみます。

多分、本当にそんな所だと思うんですが、バッサリ切り捨てられちゃいましたね。


「まぁ、今更めくじら立ててもしょうがないって、分かってるんだけどさ」

ツンっと横を向いてから、遠ざけていたお茶を引き寄せて飲んでいる芽衣子ちゃん。

ソロソロやめないと眉間の皺が残っちゃいますよ〜?


「そうですね。私も芽衣子ちゃんも、新たな命を得てそれぞれ過ごしてきた時間がありますから。あの頃とは別人ですしね、今更です」

「……そう、だね」

私の言葉に芽衣子ちゃんの眉がへにょりと下がりました。


眉間のしわが亡くなったのはいいのですが、そんな悲しそうな顔をさせたかったわけではありません。

向かい合わせに座っていた位置から、ススッと隣へと移動して腕を組みました。


「だから、もう一度始めましょう。芽衣子(・・・)ちゃん」

ニコリと笑いかけると、芽衣子ちゃんの目がハッとしたように見開かれました。

そう。私はずっと芽衣子(・・・)ちゃんって呼び続けてたのです。


それは、今世を頑張って生きている私達のケジメだと思うのです。

だけど、人生を持ち越してまで残る記憶を、蔑ろにしなくても、良いと思うのですよね。


「春はお花見?」

「そう、夏は海に行って」

「秋には紅葉で・・・・・」

「雪見酒、はまだ当分先ですねぇ」


くすくす笑いながら答えると、芽衣子ちゃんが、がバリと抱き着いてきました。

グリグリと肩口に額が押し付けられます。

「雪見酒、出来るようになるまでずっと一緒にいるから、大丈夫」

顔をあげないまま、芽衣子ちゃんが小さくつぶやきました。


その声が少し震えて、肩が湿っぽいのは気づかないふり、です。

私の頬が冷たいのだって気のせいなのです。


「またたくさん遊びましょうね」

「うん。結愛ちゃん大好き」








「昔の事は水に流して、仲良くしてあげてくださいね」

「ソレとコレとは話が別!」

「芽衣子ちゃーん!」



読んでくださり、ありがとうございました。

結愛→「やりたい事は全部やりたい」と積極的に

芽衣子→今世の性格が強めに残り、前より明るいしコミュニティ能力も向上。

ただし、結愛周辺が絡むと挙動不審(笑


敦史君のフォローはまた今度。

一つだけ言うなら、無くさないと分からないものってあるよね、って事で

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