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幸せな小話①

久しぶりに読み返したら、なんだか楽しくなってこっそり投稿。

①レンチン



「おやしゃ〜い、おやしゃ〜い」

ある日、台所で、何かゴソゴソしているゆあを見つけた。

なにしてるんだろう?


「ゆあ?」

声をかけると、びくりっとする小さな後ろ姿。

肩越しに覗きこめば、手元にはゴロゴロと野菜が転がっていて、それをラップでぐるぐる巻きにしてたみたい。


1歳になったゆあは歩けるようになり、気がつけば不思議な行動をしている事が増えた。

今回も、その1つかな?


と、横の電子レンジがチンッと軽やかな音を立てた。

「なにあっためてたの?」

「にんにんさん」

開けてみるとゴロンと転がる丸ままの人参。


母さんがこの間久しぶりにカレーを作ってくれた残り、かな?

いそいそと手を伸ばしたゆあを止めようとした時には遅かった。

「あっちゅ〜〜!!」

悲鳴をあげて、飛び上がってる。

そりゃ、そうだよね。


「見せて」

小さな手を捕まえれば、赤くなってた。

こういう時は………、確かこの間テレビでしてたなぁ。


お風呂場に連れていってお水をかけて、冷凍庫に入ってた冷たいやつを握らせたらキョトンとしてた。

「あいあと〜」

ぺこりと頭を下げつつも不思議そうな顔で、冷たいやつをにぎにぎしているので、熱いの触って怪我したら、こうするのだと教えてあげる。


「に〜に、なんで〜〜?」

「?テレビで言ってた」

「……………しょっかぁ〜〜。しゅごいねぇ〜〜」

なんだか変な顔をされたんだけど、なんだろう?


「で、ゆあは何したかったの?」

「こえ、たべゆの〜〜」

レンジの中を指さされ、取り出す。


「にんじん、だね」

「ん。つい、こえ〜〜」

今度は丸ごとのじゃが芋が投入される。


「に〜に、はしゃみ、きゆ」

皿に入れられた人参を指さされる。

「小さく切りたいの?」

「ん」


その後、じゃが芋と玉ねぎ、ブロッコリーが同じようにされて混ぜられた。

「に〜に、どっち?」

そしてゆあの手にはマヨネーズとドレッシング。


ドレッシングは酸っぱいから苦手なのでマヨネーズを指差せば、野菜がいっぱいの皿の中に大量に投入され、大きなスプーンで混ぜられた。


「あい、どーじょ」


出来上がったのはかなり歪なサラダ?だった。

あんまり、野菜って食べた事ないんだけど………。

けど、ゆあと2人で作ったから、なんだか美味しく感じた。


「おいし〜〜?」

コテン、と首を傾げて聞いてくるゆあがかわいい。

頷けば、ニコニコと笑顔になってさらに可愛かった。


けど。


「ゆあ、野菜の食べ方、よく知ってたね?」

「ん。………おんにゃのこはしってゆのよ?」

不思議に思って聞いてみたら、そう返事が返ってきた。

そっかぁ。女の子ってすごいなぁ。




*****************



(あっぶな。兄が素直でセーフ!しばらくはこの返していこう!)

内心ドキドキ。

しかし、うまく納得してくれたようなので、家事全般を教える時は全てこの返して誤魔化してました。

そりゃ、その時は良くても、後で不審に思いますよね(笑








②お菓子作り



「結愛ちゃん〜〜。こっちいらっしゃい」

「あ〜〜い」

家事もひと段落したので、大人しく1人遊びしていた結愛ちゃんを台所に呼べば、嬉しそうに走ってきました。


今から、約束通りオヤツを作るんです。

シブシブ学校に行った莉央君も、結愛ちゃんの手作りならきっと喜んでくれるはず。


私達大人が不甲斐なかったせいで辛い生活をしていた莉央君は、まだ少し私達のことを警戒していて。

少しさみしいけど、結愛ちゃんが間に入って橋渡ししてくれるから、少しずつ家族になれている気がするんです。


本当に、2人ともとても良い子達。


支えあうように生きてきた分、疎外感を感じて寂しいと娘がこぼしているけど、それは、しょうがないと思うの。


でも、時間をかけてゆっくりゆっくり、ね。


足台を持ってきて、何か言われる前に手を洗う結愛ちゃんの小さな背中を見つめながら、そっと自分に言い聞かせます。


「おばーちゃん、むしゅんでくだしゃい」

花柄のエプロンは何かとお手伝いしたがる結愛ちゃんのために私が作ったもので。

後ろでリボンを結ぶのはまだ出来ないから、こうして背中を向けてねだってくるのです。


その姿が可愛くて嬉しくて。

本当は1人でできるボタンタイプのものやスポンと被るだけの物もあるけど、次も絶対後ろで結ぶタイプにしようとコッソリと心に誓いました。


「じゃあ、まずは材料を計りましょう」

初心者にも優しいマフィンを作ります。

難しそうなら、最後の飾り付けだけでもさせれば良いと思っていたんですけど。


「まぁ、上手ね。結愛ちゃん」

少々ぎこちなくあるものの、材料をキッチリ計り、教えられる順番通りに混ぜていく。

理解力も行動力もとても3つの子供とは思えないくらい。

うちの孫は天才じゃないかしら!


「まじぇまじぇたのしい!」

ニッコリ笑う頬に飛び跳ねた生地がちょっぴりついているのはご愛嬌。と、いうか、それすらも可愛いです!

うちの孫が天使すぎて辛いです。


コレは、写真を撮らなければ!

確か、ココをこうして………。

「結愛ちゃん、こっち向いて〜〜」

「なぁ〜〜に?」

にこにこ笑顔を1枚。

真剣な顔で混ぜているところを1枚。


アァ、動画の取り方を教えてもらっておくべきでした。

動く結愛ちゃんも残したいです!

今夜、主人に聞いておきましょう。

機械の操作は苦手だけど、可愛い結愛ちゃんを残すためなら、きっと出来るはずです!


混ぜてカップに入れて焼き上げたマフィンは綺麗に膨らみました。

結愛ちゃんの希望でミックスナッツ入りやドライフルーツ、チョコチップ入りなんかも作りました。


携帯でどうにか娘と主人に写真を送ると自分たちの分も残してて!と速攻でメールが来たので、予定の倍以上作っちゃいました。


マフィンにチョコペンで結愛ちゃんが描いた絵がとっても可愛くて、思わず全部の写真を撮りましたよ。

コレ、編集ってどうすれば良いのかしら?

コレも、要勉強、ですね!



流石に疲れたみたいで、全部終わった後はお昼ご飯を食べるのも途中でコテンと寝ちゃいました。

そういえば、小さい子って食べながら寝ちゃうことありましたね〜〜。

昔のことを思い出して懐かしかったです。


思わず写真を連写しちゃいましたよ。

スプーン持ったままこっくりこっくりしてるんですもの。

本当に可愛くて、にやけちゃいました。

やっぱり、動画の撮り方を覚えるのは緊急課題ですね!






その後、お婆ちゃんが写真に目覚めてその分野だけやたら詳しくなったのはご愛嬌。


マフィンはみんなで美味しく食べました。



読んでくださり(見つけてくださり?)ありがとうございました。

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