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能力とスレンダー美女と・・・

ちょっとシリアス入ってきてるような・・・。

コメディーはどこだ~。

 上村に案内されてやってきたのは、とてつもなく広い部屋だった。周りは白い壁で囲まれており、ちょっとやそっとの衝撃では壊れない仕様だという。ここで超能力の訓練を行うらしい(普通の人は入れないんだって)。


 ここまで来る間に、僕は上村から色々な話を聞いていた。


 まずこの組織は出来てまだそう時間が経っていないらしい。一年くらいだって言ってたな。それなのに犯罪を犯して捕まえた超能力者は四人にものぼるというから驚きだ。


 あの村田のオッサン、結構優秀なんだと。


 んで捕まえた超能力者達は、組織に協力するか能力を封じて刑務所入りするかを選ばせるらしい。


 封じる事が出来るのか、と驚きの声を挙げると、上村は優しく答えてくれた。


 なんでもサイキックリングなる物があるのだと。腕輪の形をしており、能力を使おうとすると軽い電流が流れるらしい。軽いと言っても痛みはハンパないしヘタすれば失神する恐れもある。


 ホントヤベーよな、それ。


 ってかあんたサドか? って訊きたくなるくらいのその爽やかな顔やめて。


 超能力者を逮捕する時にも大活躍らしいそのリング。


 見してもらったらメッチャ綺麗な銀色でした。アクセサリーだって言っても信じられるくらい、凝った彫刻だったしな~。欲しいなと思ったのは内緒で。


 あ、そうそう。捕まえたのは四人だって言ってたケド、そのうち三人は更生中、らしいそーです。何かあまりにもガラが悪過ぎて、協力してもらうどころじゃねー、ってワケですよ。


 残る一人は力を封じて普通に戻る事を選んだらしい。罪自体、軽いもんだったらしくすぐに釈放されたんだと。今は普通に暮らしているらしい。


 最後に、上村は僕に「ありがとう」と礼を言ってきた。上司が唐突なら部下も唐突になるのか? って本気で考えたヨ。


 僕が首を傾げると、クスリと笑った上村が頭を撫でてきた。いや、だから説明プリーズ! それと子供扱いやめ!


「超能力者を捕まえる、なんて言葉で言うのは簡単だ。でも実際に行動するとなると危険な事はたくさんある。それは頭の良い君なら分かっている事だと思う。だから、組織に協力してくれる事に感謝しているんだ」


 それでありがとう、か。でもフツー、上村が言う事じゃないような気がするんだが・・・。


「村田さんも感謝してるよ。多分俺よりも。あの人、本当は俺達を危険には巻き込みたくないって思ってるから」


 ・・・そうは見えなかった気がするのは気のせいか。そうか気のせいか。


 僕の心の呟きを、表情から読んだらしく上村はクスクスと笑う。


「誤解されやすいからねぇ。ああ見えて誰よりも超能力者の事を考えているんだよ。だからせめて俺達が怪我をしないように、気を遣いすぎるほど気をつけてる。サイキックリングもその為に作られたからね」


 まあ逮捕の時には役に立つかもだケド・・・


「警視とほぼ同じ権限が与えられるっていうのも、異例な事だよ。だって俺達はまだ若い。子供にそんな権限与えるなんて、普通は正気を疑うよ?」


 ・・・物腰が柔らかいから気付かなかったケド、上村って結構ズバズバ言うよね~。やっぱサド決定?


「まあ、そんな無茶しちゃうほど優しいんだって事は覚えておいてあげてよ」


 そう言う上村は村田氏を尊敬しているらしい。


 ん~・・・何か親に対する親愛の情、みたいな感じかな?


 そこで僕は彼に訊いてみた。


「何で村田さんはそこまで超能力者を気にかけるんだ? 彼は超能力者じゃないんだろ?」


 すると上村は悲しそうに表情を歪めた。


「村田さんの娘さんが超能力者なんだ」


 ほえ? あの人子供いたの? 若く見えるのに。


「今は八歳くらいかな。村田さん、早くに結婚してるから」


 なるほど。ヤンパパ(笑)だな。


「でも娘さんは今、意識不明で入院してる」

「え・・・」

「五歳の時からずっとだよ。原因は能力の暴走。まあ小さかったから、上手くコントロールできなくて・・・。それまでも娘さんの為にずっと頑張ってたんだけど、意識不明になってから一層張り詰めるようなって。娘さんみたいな事が二度と起きないように、村田さんは俺達を気にかけてるんだ」

「・・・・・・」


 そんな事があったのか・・・。


 正直、少し村田氏を舐めてた。若いっていうのもあったケド、僕を見る目が子供を見る目だったから。


 確かに僕はまだ子供だし、それは仕方ない。でも中学生って大人びたい年頃じゃん? あんまり子供子供、って言われると反発したくなるんだよね。


 でも村田氏の言う子供っていうのは守りたい対象って意味なんだな。それが分かっただけでも、訊いてよかったと思う。


「さて、じゃあまずは身体検査と行こうか」


 上村はそう言って壁のパネルを操作した。すると壁の一部が開いて、小さな部屋みたいなものが出現した。


「中に入って、中央に立ってくれる? それだけで周りのセンサーが身体を調べて、モニターに情報が映されるから。痛みも何もないから心配しなくて良いよ」


 分かりやすく説明してくれるのは嬉しいんだけど・・・何か子供扱いされてるようで複雑だ・・・。


 村田氏の子供扱いは許せる。だが上村の子供扱いは・・・(歳は一つ離れてるだけだぜ?)


 そう思いながら僕は小部屋に入った。


 形としては正方形。大きさはレントゲン室くらいか? 入った事ないから良く分からんケド(笑)。身長が高い人が入れば、窮屈に感じそうなほど狭い部屋だ(どうせ僕は余裕だけどな、フン!)。


 中央に立って待ってるだけなので、スピーカー越しに上村と話を続けた。


 そこでどうでもいい事ではあるが気になっていた事を訊いてみた。


「村田さんがいた部屋の扉、なんか戦隊ものの秘密基地みたいな感じだったケド、アレ意味あんの?」


 すると上村は一言、


「村田さんの趣味」


 ・・・尊敬という言葉がガラガラと音を立てて崩れていくような気がした。




 健康問題ナシ。身体に異常はない。あえて言えば身長が平均より低い事が懸念事項。


 今述べたの、僕じゃないヨ? モニターを見ながら上村が読み上げたのだよ? コンプレックス刺激マックスなそんな事、自分で読み上げられるワケナイヨ~?


 ・・・この装置作った奴出てきやがれ!!


 などと怒りに滾っている僕ですが、ちゃんと自重しましたからネ? 僕は大人、大人、大人、大人、大人、大人・・・


「じゃあ次は君の能力についてだね。本来ならこの装置である程度は調べられるんだけど・・・どうしたの?」


 上村の訝しげな声でハッと我に返る僕。無意識のうちに口に出して呟いていたようだ。


 コホン、と誤魔化すように咳払い一つ。


「何でもない。モニターを見る限り能力については表示されてないみたいだケド・・・?」

「そうなんだよ。本来ならあそこに能力の種類や強さを表示するはずなんだけど・・・」


 そう言って上村が指差したのはモニターの右上。そこには何も書かれていなかった。


「もしかしたら今までにない新しい能力なのかもしれないな」


 ナヌ?


 思わず深く思考している上村の顔を見上げる。


 僕の問いかけるような目に、彼はゆっくり答えてくれた。


「超能力者って、日本だけでなく世界中にいるんだよ。アメリカなんてもっと昔から似たような組織が出来てるくらい。この装置には今までの超能力者達の情報がインプットされていて、そこからだいたいの能力を示してくれるんだ。俺の場合は『念力、中』と『テレパシー、弱』だね」


 中とか弱は強さの事だ。


「それが表示されないという事は、今までに例のない能力、という事になる」


 ん~・・・つまり僕の能力について全く分からない、というワケか。


「それでどうやって能力について調べるの?」

「日常生活で何か心当たりがないか教えてくれる? 推測ではあるけど、それで分かる事もあるから」


 推測か・・・何とも頼りないなぁ・・・。


「昨日大男を投げ飛ばしていた時、力を感じたんだけど」


 う・・・それについては黙秘したい・・・。兄友の事なんて思い出したくないヨ~。


「えっと・・・心当たりと言えば・・・夢かなぁ」

「夢?」

「夜寝ると夢を見るでしょ? 僕は夢の中なら何でもできるんだ。空を飛ぶ事も出来るし、水の上を歩く事も出来る。剣士だと思えば軽々と剣を扱えるし、空手や柔道、クンフーでもプロ並みに戦えるようになる」


 ・・・なんか『子供の夢』ってカンジ? まあその通りなんだけども。


 ってなワケで、僕は今まであった事を上村に話した。剣士並みの腕を持つ事も、柔道についても、そして最近違和感がある事も。


「違和感?」


 顎に手を当ててウーンと唸っていた上村は、最後の僕の言葉に喰いついてきた。


「うん。初めは持久走で走ってる時に、『空を飛べたら』って思ったんだ。そしたら身体が軽くなった。それと昨日の・・・大男・・・を投げ飛ばした時も・・・」


 ああ~、尻すぼみになってしまう~・・・。だってマジで嫌なんだもん!


「そうか・・・もしかしたら・・・」


 ん? 上村、何を納得してんだ? ちゃんと僕にも教えてくれよ。


「たぶん、君の能力は―――」

「ミノルン、たっだいま~!」


 上村の声を遮る高くて明るい声と同時に、僕の後頭部に凄く柔らかい感触が。な、なんか気持ちいいな~。


 そして気付けば後ろから抱き付かれる体勢に。あれ?


「命音・・・騒がしいですよ。それに歩夢君が硬直しているじゃないですか」


 上村が謎の人物から僕を助け出してくれた。・・・ちょっと惜しい気がしないでもない。


 それはともかく。僕は突然乱入してきた人物を見上げた。


 ・・・美人だ。それが初めに思い浮かんだ言葉。そして・・・身長。


 見た目年上ってのは分かるよ、うん。でもこの人・・・高過ぎない? 僕より一回り大きいよ・・・?


 横幅は細い。スレンダーだ。ただ、思わず肩凝らない? って言いたくなるほどの胸が・・・。視線そこに固定していい? あ、ダメ? ダメですか、そーですか。


 あと髪が長い。黒くて艶やかな髪が腰くらいある。綺麗だなぁ。


 ポカンと見惚れていると、彼女はニッコリと笑って手を差し出してきた。あ、握手ね。


 手を握り返すと、彼女の顔がニヤリと黒く・・・へ?


「えい!」

「うわっぷ!?」


 グイッと引っ張られた。おまけに胸に頭を押し付けられた(!)。


「可愛い! お持ち帰りしたい! これちょうだい!!」


 何か上の方でのたまってますが、僕の方はそれどころではない。く、苦しい~!


 息が出来ません! いや、柔らかくて気持ちいいんですヨ? でも窒息しそうなんです! 放してほしくないんだけど、放してえぇぇぇ~!!


 再び上村に助けられました(泣)

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