エピローグ
とうとうエピローグ!!
・・・早くね? とか言った人、前に出てください、土下座します(笑)
すいません<(_ _)>
一応番外編などが続く予定ですが、かなり遅くなると思います(ホントダメダメです・・・)orz
『ホラ! そっち行ったわよ!』
『うるせー! 言われなくても分かってんだよ!』
『二人とも、口を動かすより手を動かしてください』
耳に嵌め込む形の無線機から聞こえてくるのは、三人のいつものやり取り。ほぼ挨拶みたいになっているので、誰も気にしない。
「みんな相変わらず元気だなぁ」
俺は苦笑交じりに呟く。
あれから五年。もうすぐ二十歳になる俺は、みんなのリーダーとして指示を出していた。
黒いコートに黒いズボン。黒髪黒眼の黒づくめ。その姿は夢で見た未来の俺にそっくりそのまま。
今いる場所はとあるビルの屋上。逃げる超能力者の男を追って、命音が音を飛ばし、強司が身体強化で追い詰め、稔がフォロー。それを上から見下ろして三人を誘導しているのだ。双眼鏡などなくとも能力を使えば良く見える。視力を良くすれば一発だ。
『捕まえた~!』
命音と強司の楽しそうな声が聞こえてくる。
俺はふわりと身体を浮かせ、三人がいる場所へと飛んだ。
「お疲れ」
「ホントよ~! こいつ逃げ足だけは速いんだからサ!」
「お前が遅いだけだろ」
「何ですってぇ~!」
二人の言い合いは華麗にスルー。
俺は男を念力で抑え込んでいる稔に目配せをした。途端に念力が解け、男の身体が自由になる。そのまま逃げようとしたところで、俺は持っていた縄を男に向けて放り投げた。イメージしたのは意思がある蛇。縄は男をグルグル縛り、バランスが崩れた男はドサリと倒れた。
「任務完了だ。とっとと連れて行こう」
終わりを告げると、ピタリと言い合いを止める命音と強司。この辺、仲良い二人だと思うのだが、二人は強く否定する。
そろそろ周りに野次馬が集まりだし、警官も駆けてくる。
俺は警察手帳を取り出し、制服を着た警官(お巡りさんだ)に見せた。途端にビシッと音がしそうな勢いで敬礼する巡査。
「こいつは連れて行く。野次馬の方を頼むよ」
言いながら微笑めば、巡査は頬を赤くしながら「ハイッ!!」と元気よく答えてくれた。野次馬の方からほう・・・と感嘆の溜息まで聞こえたがスルーだ。
男を連れて秘密組織(いまだにこの名称・・・)に戻ると、村田氏に報告。五年経っても何も変わってないように見える、化け物か? って言いたくなるオッサンだ。
この後男には組織への協力か能力封印かを選ばせる。封印は、昔はサイキックリングをはめるだけだったが、今は俺の能力で消失させる事を言う。こんな力、持ちたくなかった! って人の方が多いから、最近はほとんど封印ばっかだな。
「歩夢!」
結局男の能力は封印し、罪を償えとばかりに刑務所送りにした後。戻ってきた俺を呼んだのは変人こと渡部篤郎。滅茶苦茶久しぶりに登場だな~。
中学二年の時、こいつには全部打ち明けた。こいつなら俺を嫌う事はないだろうと思って。そしたら「俺も一緒に働きたい!!」って言いだしたんだ。ビックリだったぜ。別に超能力者ってワケじゃないから、普通に一般人として働きたい、つー事だったんだが・・・行動力は無駄にある奴だからな。まあそれなりに頑張ってるよ。聞き込みとか書類整理とかな。
後もう一人、全部打ち明けた人物がいる。それが・・・
「歩夢君」
中学だった時、学校一の美女の名を競ってた(俺はそんなつもりねーぞ)鈴原麗華だ。
あの襲われた事件をきっかけに、とても仲が良くなった俺達。だからすぐに能力について打ち明けたんだが。これまた麗華ちゃんも変わってて、
「凄い! もっと見たい! あたしも一緒に働けばいつでも見られるよね!?」
と興奮しきりでした。
いや~、俺の周りはホント変な人だらけだと再実感したヨ・・・。
麗華(ちなみに呼び捨てなのは部下になるんだからそう呼べと言われたからデス)はトトト・・・と俺の傍まで来ると、腕に腕を絡ませて胸を押しつけるようにギュッと抱き付いてきた。
「お帰りなさい」
「あ、ああ。ただいま」
麗華は五年も経って身体の方も成長し、胸が命音ぐらいあんじゃねーかと思えるほどになってマス。おまけにもともと美少女だったので、今ではすんげえ美人です。母さんとも張り合えるぞ、うん。
「あ~! 何してんのサ!」
そこへ割り込む命音。麗華が掴んでいる腕とは逆の腕に抱き付いてくる。アレだな、両手に花だな。感触超気持ち良いし。ただ・・・
「あら命音サン。お仕事でお疲れでしょう? さっさとお休みになられてはどうです?」
「ハン、アレぐらいで疲れるワケないでしょ。アンタこそ仕事があるんじゃないのサ。とっとと戻りなさいよ」
俺を間に火花を散らすのはやめてほしい・・・。思わず嘆息していると。
「こら~!」
今度は梨花ちゃんが登場デス。
「歩夢お兄ちゃんは私の旦那様なんだから! 触っちゃ駄目!」
そう言いながら唯一空いている胴体へ抱き付く。
最近は梨花ちゃんも年相応に成長してきている。大きい目はそのままで、とても可愛い。
両手に花どころか、全身に花と言えるかもな。
動く事が出来ずに、ギャイギャイ言い争っている三人を静観する。ん? 止めないのかって? 無理に決まってるだろ。
『あなた(アユミン・お兄ちゃん)は黙ってて!』
と返されるのがオチですから。
「ホントモテモテだな、歩夢・・・」
後ろでボソリと呟いた篤郎に助けて光線(ただの視線)を放つが、あっさりスルーされた。後デ覚エテロ。
「あ~! 何してんだよ!」
次に聞こえたのは男の声。見なくてもそれが誰か分かるだろ?
「歩夢はオレの―――」
『引っ込んでろ』
「・・・ハイ」
三人の女から怒りを込めた目(殺気付き)で睨まれ、さすがの強司もすごすごと引き下がった。
確か強司は稔と聞き込みに行ってたハズだ。稔はどこに・・・あ、いた。
「・・・そのお茶、わざわざ持ってきたのか」
「あなた方のやり取りは面白いので、のんびり見物しようかと」
見世物じゃねえぇぇぇぇぇぇ!! 何年経っても変わらんな、こいつは!
深く深~く溜息を吐きながら、俺は天井を仰ぎ見る。
俺が結婚できるのはいつになる事やら。
ま、でも、こんな生活もアリかな。
結局はそう思う俺だった。
読んでいただいた方々に感謝!!