表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/22

捜査とツーショットと・・・

短いです。

 一言で言うと、普通でした。


 いや、目の前の状況がね。土居氏が運転している車はパトカーではなく普通の乗用車。土居氏も制服から私服に着替えているので、普通の優しそうなおじさんだ(あれ? あんまり変わってなくない?)。


 僕は着替える必要はないのでそのままだ。


 何でも、いかにも警官です! なんて格好でいると、少し警戒されてしまうらしい。僕を連れているから、親子だと思われるだろうな。


 色々と考え込んでいると、土居氏は視線を前方に向けたまま声をかけてきた。


「難しい顔をしているけど、どうかしたかい?」

「あ、いえ、別に・・・」

「遠慮しなくて良いよ。私達はパートナーだからね」


 互いによく知っている方が動きやすい、と言われて、じゃあお言葉に甘えましょう。


「土居さんは超能力者じゃないですよね? 超能力者のパートナーって普通は同じ超能力者がなるもんじゃないんですか?」

「ああ、確かに超能力者同士ならすぐに分かりあえるかもしれないね。でもそれだと私達能力を持たない者との間に隙間が生じやすくなってしまう。お互いに協力し合っていく事がこの組織の存在理由なのに、それじゃあ元も子もないだろう? 力があるからとか関係なしに信頼関係を築いていく。それが村田さんの目的だね」


 なるほど。村田氏らしい。と感心していると。


「私は君のような可愛い子のパートナーになれた事を嬉しく思うけどね」


 思わずズッコケた。まあシートベルトしてるから前のめりになっただけだケド。


「か、可愛い・・・子・・・?」


 口元を引き攣らせながら土居氏を見上げると、本当に嬉しそうに笑ってやがりました。


「娘が可愛い物好きでね。その影響か、私も可愛い物を見ると嬉しくなるんだよ。あ、後でカメラを撮っていいかい? デジカメを持ち歩いているんだ。娘に見せてやりたくてね」


 土居氏、親バカ決定。


 車を近くの駐車場に止め、僕達はある公園の近くに来ていた。そこは車一台がやっと通れそうなほど狭い道で、僕が通う学校からも近い。


「一週間ほど前、ある少女が公園で遺体として発見された。彼女は暴行を受けた後、頭を殴られて殺されている。年齢は十五歳。その四日後、また少女が公園で襲われた。彼女は重傷を負っていたものの一命は取り留めている。年齢は十三歳。彼女の証言で犯人はこの道で少女達を襲い、公園に連れ込んで暴行に及んだらしい事が分かっている。覆面をしていた為に顔は分からないそうだ。服装は黒のシャツにジーパン、中肉中背ぐらいの男だとあるが・・・」


 土居氏の説明に、僕はテレビで見たニュースを思い出していた。


 今朝、朝食をとっている時(例によってサンドイッチ)父がニュースを見ていたので、何とはなしに見ていたのだ。内容は土居氏が語った事とほぼ同じ。ただ二人の少女は僕と年が近い上に、二人目の少女は学校が同じだった為に、よく覚えていた。


 彼女達の事を思って顔を顰めていると、土居氏はハッとしたように口を閉じた。


「すまない。いきなり経験のない君にこんな話をしてしまって・・・」

「いえ、仕事なんですから、ちゃんと向き合って行かないと」


 そう言うと、土居氏が感心したように眉を上げる。


「大人でもなかなか割り切れないものだが、君は落ち着いているね」

「そうでもないですよ。まだ実感が湧かないだけです」


 僕はまだ子供だという自覚はある(そこ! ホントにあるのか、とか言わない!)。だから大人の話にはついていけないだろうし、ニュースを見ても他人事として捉えてしまう。落ち着いているのではなく、理解していない、と言った方が正確だろう。まあ、この辺は父さんの受け売りだけどな(父さんの仕事は編集長。その前は何と戦場カメラマンだった)。


「それで、他に手掛かりとかなかったんですか?」

「犯人の血液型はA型だと分かっているが、それ以外はまだ何も分かっていない」


 あれか、セーエキを調べたってやつか。なんかR15とか指定されそうな話だよな。


 などと考えていると。


「歩夢君?」


 愛らしい声が僕の耳に届いた。この声は!


「麗華ちゃん?」


 振り向くとやはり我が校のアイドル麗華ちゃん。今日は私服なのでいつもより可愛さ二割増な気がするぜ!


「こんなところでどうしたの?」


 いや~、訊かれても答えにくいなぁ。まさか先程の話をして怖がらせるのもなぁ・・・。


「可愛いねぇ。お友達かい?」


 土居氏よ、フォローは嬉しいがそこは恋人と言ってもらえんだろうか・・・。無理ですかそーですか。


「あ、あの・・・鈴原と申します・・・」


 土居氏が誰か分からないので少し人見知りの麗華ちゃん。かわええ~。


「こんにちは、土居です。一応警官だよ。見えないかもしれないけど」


 言いながら警察手帳を見せる土居氏。自分から言うとは、気にしているのか、警官らしくないと。


「あ、ハイ。よろしくお願いします・・・」


 警官だと知ってちょっとホッとした様子の麗華ちゃん。この反応、もしかして事件の事を知ってるのか?


「麗華ちゃんは一人で何してたの?」

「お買い物。お母さんに頼まれちゃって」


 砂糖を買いに行くの、と苦笑。どうやら知らないようだ。知ってたら一人でこんなところ歩かないよな。


「もし急ぐのでなければ、写真を撮らせてもらえないかい? 娘が可愛い物が大好きでね。できればツーショットで」


 土居氏、グッジョブ!


 心の中でサムズアップです。


 戸惑いながらも応じてくれた麗華ちゃんに感謝~!! でも土居氏の次の言葉にあえなく撃沈。


「やっぱり可愛い女の子が二人もいると華やかだねぇ」


 おいいいぃぃぃぃ!!


「僕は男だっつーの!!」


 その後は土居氏の謝罪を受け入れるまでかなりの時間を要しました・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ