↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「お電話ありがとうございます!こちら、怪異討伐・派遣サービスです!」  作者: みよし たもつ|転換期
出向編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/76

case.017「装備更新バージョンアップ」


「今日用意できとんのはこんだけっスわ」


 カウンターに置かれたケース。


 その中にはいくつかの用途不明なものも混じっていたけれど、概ね見たことのあるものばかりだった。

 いや、もちろんこんな場所で出でくるものが僕の知っているそれと同じな訳もないはずなので、厳密には全部初見のアイテムなんだろうけれど。



「ああ、いいじゃん。これとかヒナタくんにあってるんじゃないかな」

「さすがヅキさん。それがいっちゃんええと思って用意したんです」

「ふうん。……ヒナタくん、耳かして」

「あ、はい」


 手に取った金属片を転がして言ったサカヅキさんに促されるままに首を傾けて耳を出す。

 またイヤーカフだろうか。


「あ」

「? どうかしましたか」

「ヒナタくん、あいてないんだ」


 あいてない、とは?


「ピアス」

「ああ~! ……いや、なんとなくタイミング逃してて。別に怖いとかじゃないですけどね」

「ふうん。ねえ」

「了解っス」

「あれ?」


 なんだろう。良くない流れな気がする。

 思わず耳を押さえようと伸ばした手を掴まれ、カウンターに縫い付けられる。


「穴開けんの、怖いわけじゃないんだもんね」

「え」

「持ってきました」

「おう。じゃあ、いいよな」

「え」


 バチンと音が鳴って、耳にジンジンと熱いような痛みが遅れてやってくる。


 まじでやったこの人!


「……ったあ~!?」

「おう。完璧完璧」

「じゃないですよ! 何するんですか!?」

「怖くないんだろ? イヤーカフよりピアスの方が落としにくいし、丁度いいタイミングじゃん」

「……」


 この人、本当に横暴すぎる……! だったらもっとこう、俺様っぽい外見にして欲しい。切実に。


 生理的に涙の滲んだ目で睨むもけろっとした表情。なんなら爽やかさに磨きがかかったようにすら見える。くそ。理不尽の化身め。


「あはは。ヒナタくん、おもしろ~」

「あー……、ご愁傷さん」


 ちくしょう。




「ま、開けたもんはしゃーないし、それの説明するからよお聞いてな。ヒナっち」

「……はい」


「ざっくりいうとそのピアス、怪異に気付かれにくくなる効果があんねん。ゆうても全く気づかれへんわけやなくて、注意をひきにくくなる言うたらええんかな」

「気づかれにくい、ですか」

「せや。ひとりのときでも効果はあるけど、より活かすんやったら多人数の時やな。他の目立つやつに注意いったらヒナっちはスルーや」

「それは、たしかに僕に向いてるかも……」


 基本的に僕はミチカケ先輩とペアで動くわけだし。

 そうでなくとも最初から単独行動ってこともない。もちろん、前回みたいに一人にならないとも限らないわけだけれど……。


「そういう時はこっち」

「あ、オレが言おうと思ってたのに」

「早い者勝ちってことで」

「しゃーないっスね」


 さっと別のアイテムを手に取ったサカヅキさん。


 ……なんだろう、ベルト?巻き尺?

 小さく丸まった帯状のなにか。包帯、ではないだろうな。どう見ても金属だし。


「アームバンドやで。見たことあらへん? 反射板の素材とかでよおあるやつ。ほら、鞄とかにつけとお人もおるやん」

「ああ!」


 たしかに、リュックの持ち手につけてる人見たことあるな。


「まああれは用途がちゃうけどな。そんな感じでおもてくれたらええわ。んで、これはその通りの使用法で……」


 くるくると巻かれたそれを伸ばして、ジャージの上に当てるとくるりと輪になって留まる。


 なるほど、服の上からも使えるのはありがたい。


「で、これの効果は守り」

「守り、というと……。怪異から身を守ってくれる、ってことですか?」

「そうそう。ただこれは消耗品だからねえ、高いし。効果も正直、俺やミチカケちゃんくらいだと避けた方が早いしで特に使ったことないんだよな。だからうちに在庫なかったんだよ」

「はあ。……ちなみに、どのくらいで壊れてどのくらいのお値段かって聞いてもいいです…?」

「うーん、場合によりけりやけど……」

「ひゅっ」


 ちょっと考えたくない金額だった。

 ものすっごい額、というほどではないけれど消耗品にその額は普通に考えて無理。


 え、しかもそれ使い捨ての消耗品なんですよね……? それでその金額……、いや、命はお金に換えられないから……。


 死んだ目になって黙り込む僕に気の毒そうな視線が投げかけられる。反対にサカヅキさんはいつも以上に笑顔。


「大丈夫。壊さない限り請求しないって。ね、ヒナタくん」

「はい、気を付けます……」





「あー、残りは見た通りっちゃ通りなんやけど。これはちょっと特別やな」


 そう言って取り出したのは太めの油性ペンほどの銀色の棒。


「こうやって振って伸ばして」


 立ち上がり、カウンターを出てこちら側に来ると少し離れた場所でその棒を持って勢いよく振り下ろす。

 しゅかん、と音を立てて棒が伸び、1メートルほどの長さになる。そのところどころに小さな穴。


「これだけでも多少の武器にはなんねんけど。ここにこうやって……」


 くるくると回すように何かを取り付けていく。


「これで攻撃力を増す。あるいはこっちのこれをつけて……」


 棘のようなものをつければ、いかにも攻撃力アップといった見た目に。

 タンクのようなものをつければ。


「水鉄砲改、みたいな? マルチタイプの棒やし、引き金的なギミックはむしろ嵩張るから、ぶん回して遠心力で中の液体ばら撒く感じやな」


 あ、これやと水鉄砲改っちゅーかホースか? しくったな。なんてぶつぶつ言いながら棒を元に戻していく。


「……!」

「うんうん、ヒナタくん好きそー」


 正直めっちゃ好きです、こういうの……!


 自分専用の武器。それもいかにもそれっぽいカスタム可能タイプ!

 興奮しきったわくわく顔が隠しきれていないせいか、半ば笑われつつオーナーさんの方へ。


 いやだってこんなの、振ってみたくないわけなくない?!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。