黒歴史は掘り返すべきでは無い
タイトルが全てを物語っています。
黒歴史に心抉られる類似作→見切り品買って帰宅途中に転移し聖女になった。 https://ncode.syosetu.com/n0102lp/
黒歴史。
それはまだまだ今よりも若い頃、情熱と暴走のままに突き進んだ結果、未来では思い出すと恥ずかしくなったり、人に言われたら叫んでしまいたくなるあれこれのこと。
人によっては「えー、別にいーじゃん」とかなるだろうけれど、他人はどうでも良い。要は「自分」が羞恥にまみれて雄叫びを上げてローリングしたくなる事なのだから。
私がそれを今思っているのは、私がいる今ここが、その黒歴史で生み出した世界だからだ。
若い頃の私は携帯サイト全盛期にどっぷりその世界にハマっていた。特に夢小説はお気に入りで、自己投影型の私は当然本名を入力した。
スポーツ漫画ならマネージャーになっていたし、戦国時代ならオリジナルの武将か奥さんになっていたし、忍者になったり海賊になったりそりゃあ好きな世界にどっぷりハマって、キャラに愛を囁かれたり逆ハーで皆に愛されたりしたよね。
そして読み手から書き手になってこんな風に愛されたいなぁ~とか思って書いていたら何故かどシリアスになって、気付いたら死んでたりして、私にはラブラブキラキラ世界は無理だと泣きながら、再び夢の世界に飛び込んだよね。
私の前世はこの世界ではない所で活躍していたり、魔法があってオリジナル魔法を考えたり。魔法陣もオリジナル言語で作ったり。フリーハンドで綺麗な円を書けなくてコンパス使ったよね。中心にはもれなく穴が空いてた。
魔法使い物のアニメを見ては呪文は完璧に覚えて、歴史は苦手なのに特定の時期だけは何故か得意になったり。
英単語覚えられないのにキャラのフルネームは覚えられたり。
数学の公式はすぐ忘れるのにキャラの誕生日は覚えていたり。
ちょっとムフフなページは血眼で探して、パソコンのサイトならTabキー連打したり。
サイトのトップページにはまず正方形に切り取られた素材サイトからダウンロードした小綺麗な空の写真。背景は白かクリーム系で、写真の下あたりに「きっと私は忘れない」とかなんとかのポエミーな文章で、文字色は一文字ずつ変えてグラデーションぽく見せて。
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みたいな感じのシンプル系、センター揃えにしてオサレ感を出して。オシャレじゃないの、オサレなの。
ちなみに、200×40のバナーを左上にしてその下に横並びでこのメニュー表記もやったよ。空白の美を大事にしてたのかは思い出したら血を吐くので許して。
いわゆる二次創作をしていたけど、一次創作にも手を出していた私は、「私の考えた最強の男」的な感じの男達に愛される、今考えると頭が痛くなるような「可愛くてモテモテで性格も良くてみんなに愛されてるけど、それに気付いてないどんかんで天然な女の子」をヒロインにした作品を書いていた。
どシリアス好きだからヒロインが危険な目にあったり、男達がヤンデレになったりしたり、ちょっとえっちな展開になったり。
日本ぽい世界観だけどこんなやついるかー!てきな苗字とか名前つけたりして。
漢字三文字苗字+漢字二文字名前で、なんかもうキラキラしてたり、何ならホストに居そうな名前にしてたよね。
金持ち学校で貧乏人なのにイケメン男子に愛されるとか、それどこのお花よりも男の子的なあれよ、とか思わないでもないけれど、影響されるに決まってるじゃんか。
それはそれとして、まあそういう話を書いてた私も月日が経過するとそれも落ち着いて創作の世界からは離れたわけよ。
サイトを消すこともなく。
作者失踪状態でフェードアウトしたわけ。
サーバーのサービス終了と共にサイトは消えたはずだし、もう過去の事として記憶の片隅に追いやり、時折思い出しては羞恥に叫ぶこともあった。
友人と話していて、お互いに黒歴史を掘り返しては呻いたりしながらももうかつて生み出した作品はデジタルの海の中に消えて、記憶からも薄れていた。
のに。
目が覚めた私はまず理解が出来なかった。
それなりにおばさんになりながらも、独身で生きる覚悟決めて日々を満喫していた私は、間違いなく自室で寝た。明日も仕事めんどくさーい。会社爆発しないかなぁ。とか思いながら布団に入って少しして寝たはず。
起きたらとち狂った世界にいた。
まず、知らん部屋で寝ていた。鏡を見たらずっと見てきた顔とは違う顔で若くなってた。家族らしき人物の顔があやふやでホラー。なんなら家の中もぐっちゃぐちゃ。
制服はくっきりハッキリしてるのに、何か全体的にぼやけてる。
学校とやらに行かなきゃいけなくて、推定父親(顔がボヤけてて分かりにくい)が連れて行ってくれた。
生徒もほとんどがぼやけてんのに一部は鮮明な程にハッキリしていて。
そやつらを呼んだ名前に聞き覚えがあって。
私が考えた創作小説のキャラじゃねぇか!!!
と叫びそうになるのを堪えた。そして何故世界がこんなにもぼやけてるのか分かった。
小説で描写出来てないからだよ!なんとなくふわっとしか書いてないものはふわっとした世界になっていた。
やめろやめろやめろ。私の描写力を実写化すんな。
キャラの描写ははっきりしてるのに、モブは適当な描写してんのリアルすぎてやめろ。文章力と語彙力の欠如を突きつけられてこの時点で泣きそうだった。
もうほとんど覚えていない小説だけど、私は間違いなくモブだ。ヒロインにした子は多分「髪の毛は腰までの長さでふわふわとしている。目は大きくまつ毛は長く、鼻はすっと通っていてくちびるはぷるぷるとした可愛い女の子」のはず。その当時の好みがそんな感じだったはず。
鏡で見る限り至って普通の私はヒロインではない。ヒロインなら家の中もくっきりはっきりしてると今なら言える。
顔がわかる無駄にキラキラしている男子達は今思えば高校生とは思えない外見だわ。これは大学生か社会人……!大人びたのが好きでも年相応って大事だわ。
そのキラキラ男子が塊になって移動して一人の女の子を取り囲んでる。
イタタタタタタ。
逆ハー要素だよね!分かってる!今ならわかるよ。
「今日も可愛いな」
「荷物持つよー!へへ、重いもの持たせたくないもん」
とかなんとかかんとか。
イタタタタタ。
愛され逆ハーでビジュ良し系だよねこれ。
ちなみに思い出したけど、創作BLも書いてたんだよ、私。そっちはスパダリ×平凡主人公で男子校だからこっちの世界に来たのかな!?そっちはそっちできっっついの覚えてるけど。
NLは王道愛されで、BLはアンチ王道学園にしてたはず……忘れたかった!忘れさせて!どうして黒歴史を体感させるの!
これは夢なのでは?と頬をつねった。え、痛い。
夢でいてよ!え、待って、私はこのとち狂った世界で生きていかなきゃいけないの?は?嘘だよね?
この一週間後、NL世界とBL世界は面倒だから同じ世界観にして、キャラの兄弟とかの共通点を作っていたことを思い出した私は自室で絶叫した。
なお、この私にとって地獄みたいな世界に来たのは、偶々地上を見ていた神様とやらが「会社爆発させたいほど辛いなら、かつて自分が楽しそうに作っていた世界に連れて行ってあげよう。たまには人間に寄り添ってみてやっても良いか」と人の心を理解してないで連れて来たそうだ。
神様的なそれは善意だったわけで。
地獄への道は善意で舗装されている、を実感することになるとは思ってもなかったよね。
黒歴史系第二弾。
今回は被弾者少なめではないでしょうか。
私は記憶を掘り起こして瀕死になりながら書きました。
まあ、でも、呪文とかのあたりは今もやってんなぁと思いました。
つまり、創作している以上、黒歴史は続くんやろな、と思いました。




