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第14話 始まりはいつも些細なことから


「……あるぞ」


 うわぁー。そんな目で見ないでくださいダイアンさん。俺はただ「この世界に避妊具(コンドーム)って売ってますか?」って聞いただけじゃないですかー。


「この村には売ってないが、街には売っている。定期便馬車に頼んだら買ってきてくれると思うぞ? 間違いなく噂になるだろうがな。『ノダがナニするために、わざわざ人に頼んでゴムを買ってきてもらった』って。ムギの親父さんに殺されるかもな」


 なぜここでムギちゃんパパが出てくるのか。でも確かにそれは嫌だ。ところで、この世界のゴムはどういうものなんだろう?


「……薄く加工したゴム状の筒を、錬金術でさらに薄くしつつ、伸縮性を持たせながらも強度を維持した物だ」


 ダメ元で聞いてみたが詳しいな、ダイアンさん。でも手作りで使い捨てとか、割高なのでは?


「……ゴムはな、とにかく売れるんだ。錬金術師は、なるのも続けるのも金がかかる。ほとんど全ての錬金術師が安定した収入源としてゴムを売り出してみろ。性能の向上と値段の下降が一気に始まる。もう随分と昔の話だがな。……おおかた、強化魔術の応用で物質を柔らかくして『この世界に存在しないゴムを作って大儲け!』とか考えたんだろうが、あいにくだったな」


 その発想はなかった!!


 俺はただ、この世界に来て以来ずっとお預けを食らっているので、いい加減そろそろ凛菜とイチャコラしたいだけなんだが。強化屋の儲けと便利屋の稼ぎで村長への借金も返済完了したしな、もうそろそろいいだろう。……いいよな?


 ちなみに、かたくなに『いらない』と言われたが、強化屋の儲けの一部はムギちゃんと、子ども達の保護者に渡している。彼らなしにはここまで来られなかったからな、本当はもっと受け取ってほしいくらいだったが。



 さて。


 個人的には、ホール一体型ラブドールにゴムは必須だと思っている。その理由は主に衛生面と清掃面からだ。ラブドールの局部はその用途の都合上、非常にデリケートにできている。なので、清掃が容易な分、ゴムなしでも安心して楽しめるホール分離型が人気のようだ。ホールが破損しても替えが利くしね。


 しかし。それでも俺は、ホール一体型にこだわる! なぜか!?


 ……それはだな。より一層、一体感を味わえるからなんだよおおおォォォッ!!!


 好きな女とひとつになる時間なんだぜ? 分離可能な身体の一部よりも直接、相手の身体に己の一部をドッキングさせる方が、相手とひとつになっている感があるだろうがよおおおォォォッ!?!?!? ※個人の見解です。


 あ。


 ローションも買わなきゃ。当然売ってるよね? ね?



 で。


 街までは片道、馬車で丸1日かかると聞く。徒歩だと何日かかるのだろう……? つーか魔物がいるのに徒歩とか死ねるな。ならばどうするか……馬を買う? 無理、そんな金はないし、乗馬もしたことがない。乗れるのは精々、自転車、原付、自動車だけだ。どれもこの世界にはなさそうな……待てよ? 自転車なら原理がわかるぞ? 適当な材料で素体を組んで、強化魔術で頑丈にして…どうだろうか? この村に鍛冶屋はいないが、何も金属にこだわる必要がない以上、できなくもないのではないか? それに自転車を自作して機動力を確保できれば、大きく行動範囲が広がり、街への移動やゴムの確保以外にも有益なのでは!?


「よしっ! いっちょ作ってみるかっ!!」


 こうして、めちゃくちゃ不純な(あるいはめちゃくちゃ純粋な)動機に基づいて、俺は自転車の自作と街への移動計画を練り始めた。


 ───俺と凛菜がこの世界に転移してきてから、早くも1年が経とうとしていた。




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