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俺は高校を卒後し、大学生となった。
大学は地元から高速道路を使っても、車で十時間はかかるところだ。
そして俺が住んでいた下宿の近くに、空き地があった。
雑草が生え放題の。ある日、空き地の前を通ると、空き地から誰かに呼ばれたような気がした。
声が聞こえたわけではないが、確信をもってそう思ったのだ。
――またかよ
そのまま通り過ぎようとしたが、気になって仕方がない。
俺は空き地に入った。
そしてやはりいた。
白いワンピース、赤いリボン、大きくあけた口に見開いた眼。
推定年齢十歳の女の子が転がっていたのだ。
また同じ女の子の死体だ。
俺は空き地から出ると、そのまま下宿に帰った。
次の日、ニュースで流れた。
例の空き地で女の子の死体が見つかったのだ。
空き地の近所に住む、実在する十歳の女の子の死体が。
――まさか!
俺が最初に女の子の死体を見たのは遠く離れた地元で、十年前のことだ。
それなのにその十年後に、
この地で実際に生きていた十歳の女の子の死体が見つかるなんて。
いったいどういうことだ。
俺がそう考えながらニュースを見ていると、映像が変わった。
それは防犯カメラがとらえた、現場の空き地から立ち去る不審な人物の姿だ。
その人物は、俺だった。
終