木星の剣士
木片に頭を打ちつけよろめいた赤双にすかさず攻撃を入れる。
水魔法は単純な攻撃魔法だが、単純な故早い。
戦場においては速さが重要になる。そう『彼女』の師匠も言っていたようだしな。
水の球を複数構えて発射する。
でも、シンプルさ、単調さは大きなデメリットだ。
「【火魔法・炎界】」
洞窟の床が炎に包まれる。
「【氷下】!」
氷の結晶が召喚された瞬間消える。
でも、ほんのわずかな時間そこに存在した氷の結晶は、確かに炎を消してくれた。
さて、ここからどう攻めようか・・・?
すると、上からアマガキとハゲさんとヤンキーと着物男が降ってきた。
え、どういう状況?
◇ ◇ ◇
アマガキが管理者試験に向かった。
私がしっかり管理者としての常識を叩き込んでおいたから、おそらく大丈夫だろう。
それと、この前旅に出たクラウディ、大丈夫かな・・・?
「私は旅に出る。スピリット、これでお別れだ」
彼の最後のセリフを思い出す。でもなぜか寂しくない。
これが、あの呪いの一番恐ろしい所だ。
―――スピリット・バグが32歳の頃。
若くして廻転の管理者になった時の任務の一つ。
ジュピターソードスマンの討伐。
知性ある人型の魔物で、人間の力では歯が立たなかった。
そのジュピターソードスマンが使うのは[呪術]。
読んで字のごとく呪う術だ。
呪術は人間でも使える者は僅かながらいる。
『混沌世界』に所属する無数の管理者、またはそれに準ずる者たちの調査によると、人間にして唯一神αの側近であるガメ・スクリプトは呪術を使うらしい。
呪術は下級、中級、上級に分かれており、下級呪術ですら体得するのに時間を有する。
ジュピターソードスマンの使うのは名前の通り主に中級呪術である刀系呪術。
スピリット・バグが戦う中で見た呪術は、【渚刀・海斬】、【血刀・赤突】、【操刀・擬人式神】。
そしてスピリット・バグは擬人式神による呪い[冷徹]をかけられ「寂しさ」を感じなくなってしまった。
◇ ◇ ◇
参加者が全員集結した。ここからが始まりだ。
「【渚刀・海斬】」
突如鳴り響いたその声。
「【毒魔】!」
これは無効化しないとヤバい。反射的に体が動いていた。
でも。
水色の斬撃は、築造の管理者、バオに袈裟切りをした。
誰も予備動作はしていなかった。
「【血刀・赤突】」
突如現れた血塗られた刀は、赤双の管理者を串刺しにした。
どこだ?どこにいる?
毒魔で無効化出来ないとなると、この攻撃はスキルじゃない。
スキルじゃない攻撃をする不可視の相手に、どうやって勝てばいいんだよ・・・




