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[ 003 ] 回復魔法

「きゃああぁーっ!」

「ぐぁああっ!」


 いつもの悪夢を見ながら寝ていると、本当に廊下から叫び声が聞こえて慌ててベットから飛び起きた。僕は急いでドアを開けて廊下へ出ると、月明かりの差し込む中、至る所にメイドや執事が血まみれで倒れているのを見つけた……。


「一体何が……」


「うわぁあぁ!!」


 その時、中庭の方から兄さんの悲痛な叫び声が聞こえた。無我夢中になり、自分でも信じられないほどの速さで中庭に辿り着くと、月明かりの下で黒い鎧を纏った二人の男が……兄さんの腕に剣を突き刺していた。


「兄さん!!」

「ロイエ……逃げ……ろ」


 僕は走りながら、兄さんに向けて思いっきり回復魔法を発動させる。遠くの対象に対して使うのは初めてで、いつもより魔力がごっそり無くなる感覚はあったものの無事に癒しは届いた。みるみるうちに兄さんの怪我が回復していく。


 その様子見を見て狼狽える黒鎧の男達。


「傷が……!」

「ひゃっはー! 本物の回復術師だ!」


 僕は余所見をしている細身の鎧男へ突撃して転ばせると、それに合わせて兄さんも太った鎧男の足を蹴り飛ばし転ばせる。


「兄さんに手を出すと許さないぞ!」

「バカッ! ロイエ! 逃げるぞ!」


 兄さんが僕の手を取って強引に走り出した瞬間、兄の手が力無くするりと抜け落ちた。


「兄さん?」


 見ると前方には、新たな黒い鎧の男が立ち塞がり、兄さんのお腹に拳がめり込んでいた。


「がはっ」

「兄さん! ……ぅ」


 兄さんに回復魔法をと思う間もなく、背後から現れた別の黒鎧の右ストレートが僕の脇腹に容赦なく叩き込まれた。息が出来ないほどの衝撃で、意識が薄れていく。回復しなければと思うが体が動かない……。


「兄ぃ……さん……」


 遠くの方で兄さんの叫んでる声が聞こえるが、どんどんとその声は小さくなり聞こえなくなり、僕の意識はブラックアウトした。

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