表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

199/262

[ 193 ] 宿泊施設

 ロゼが宿泊したままキープしている高級宿が下の街にあると事で、僕らはやってきた。


 宿は西門のすぐそばにあり、さすが高級宿というだけあって外見は綺麗だった。宿入ると広いエントランスに豪華な照明器具が僕らを照らし、高級感を漂わせていた。


「いらっしゃいませ。おや? ロゼ様、おかえりなさいませ」

「こんにちは、ヨーレンスさん」


 ロゼの顔見知りらしい白髭のおじいさんは僕らに丁寧にお辞儀をした。整った洋服と佇まいから、彼がこの宿でそれなりの地位の人物だとわかる。


「宿泊を一名追加でお願いしますわ」

「……申し訳ございません。ただいま、満室となっていまして」


 この街で一番高級なこの宿が満席? 特にイベントをやってる様子もないし、街に人が溢れてる様子も無いが……。

 

「もしかして、例の事故の影響ですか?」

「ええ、その影響でこの辺り一体の宿は全て埋まってしまっている状況でして……」

「困りましたわね」


「あの、事故ってなんですか?」


 今日見た感じでは、フォレストの中で事故らしい事故は起きてないようだが。


「ここから西に進むとアクアリウムの街があるのはご存知ですよね?」

「うん、橋を渡った先にあるとか……。あ」


 ルヴィドさんが、フォレストとアクアリウムの途中の橋が崩落しているという話をしていた気がする。


「橋の崩落か……」

「そうです。フォレストとアクアリウムの間には深い谷に大きな橋がかけてあって、自然に壊れるような物じゃないのですが……」


 星食いの仕業ってのは、考えられるな。目的はわからないけど……。


「木材の加工が得意なハイネル村の皆様と、ナッシュからも応援がかけつけてるんですが、そのために宿泊施設をフォレストが提供してる形なのです」

「そうだったんですね」

「渓谷の橋はアクアリウムよりフォレストからの方が近いですから」


 その橋が直らないとルヴィドさん達はこっちに来れないのか……。橋が直らない限りこちらにはこれないから、万が一の場合再度アクアリウムからデザントへ船で移動して……というルートになって、大幅に時間ロスだ。


「そんなわけでして、当宿は満室になっております」

「そうですか……。困りましたわね」

「どうしようかな。あ、昔みたいにハリルベルの部屋って相部屋は無理?」

「無理というか……シルフィの家に泊まってるんだ……俺」


 ハリルベルは恥ずかしそうにもじもじとしてる。確か猛烈アタックを受けたんだったな。シルフィ、あの大人しい外見からは想像もつかない行動力だ……。


「あ、それでしたらロイエさん、私の部屋に泊まるのはどうでしょうか?」

「ん?! 待て待て待て。ロゼとロイエって、そういうこと?」

「まぁ……。そういう、ことかな」

「ほぉーん! やることやってんじゃん! 子供だ子供だと思ってたらー。ひゅーひゅー」

「どういう事ピヨ?!」

「で? どこまでやったんだ? ん? 誰にも言わないから言ってみなって」

「は、ハリルベル……」


 は、恥ずかしい……。

 誰かハリルベルの口を閉ざしてくれ……っ!


「もー! ピヨにもわかるように説明するピヨ!」

「グヒヒ。いやだからな、ロゼとロイ「グリーゼル!」


 ニヤニヤ顔で話していたハリルベルを、ロゼがカチコチに凍らせた。その様子を見てピヨが青ざめた。


「ハ、ハリルベル……凍ったピヨ!」

「ピヨちゃん?」

「ピッ?! な……なにピヨ、ロゼ……」

「こうなりたくなかったら、静かに……ね?」


 口を翼で覆うと、コクンコクンと壊れたおもちゃのように頷くピヨの体はガクガクと震えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ