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[ 161 ] ロゼと市内散策

 ロゼさんと西側の街は元々あった街で、新しくできた東側とのいざこざがあるという話をしながら街を歩いた。


「そういえば、レオラとの戦いで使ってた装備は何?」

「これですか?」


 スッとケープのすそをめくって見せてくれた。腕には籠手のような物が装備されていて、手の甲にはぺったんこの紅い宝石が、そして手の甲から肘にかけて魔石が四つほど埋め込まれている。


「ロイエさんと別れた後、ハリルベルさんやアルノマール市長と修行する中で、やはり女の私にはハリルベルさんやガンツさんほどの筋力も望めず、魔法力のセンスもありませんでした」


 元々商人だし、冒険者として経験や力を培って来た二人に勝つのは無理があるけど、冒険者になると決めてからは苦労と苦難の連続だった事は容易に想像出来る。


「そこで、昔からやっていた魔石研究を戦闘に使えないかと思いまして、ナッシュのキーゼル親方に相談したところ、この紅い宝石を頂きました」


 左手には黄色い宝石、右手には紅い宝石、両足には白い宝石。これらが魔法と同じ効果を宿しているのかな。


「親方が?」

「ええ、ロイエさんが二番坑道でリーラヴァイパーを討伐した場所で発掘されたのですが、ある日突然坑道内で炎が出たらしいです」

「それがこの紅い宝石?」

「ええ、回収されなかった魔石に反応して火が出たらしく、魔石の研究を行っていた私のところに持ち込まれました」


 確かに魔石は無価値というのがこの世界の常識で、誰も拾ったりしないから放置されてたのか……。それが採掘された紅い宝石に反応してヴェルアを……。


「他の宝石もナッシュに?」

「いえ、白い宝石はバルカン村とハイネル村のスライムがいた洞窟で、黄色い宝石はフォレストの地下で見つけました。わたくしはそれらを加工して、この魔石装具を完成させたのです」


 魔石装具……。この宝石が大量に見つかったらすごいことになるな。でもカルネオールもそうだけど、この世界に存在する特殊な石は存在する個数自体が少ないみたいだ。


「この宝石は、僕らの持つ魔力では使えないのかな? 魔力ランタンみたいに」

「ダメでした。どうやら既に属性の付いた魔力ではなく、魔石のような無属性の魔力が必要みたいです」

「なるほど……。それは面白い現象だね。ちなみにどうやって魔法を発動させているの?」

「魔石装具の仕組みは、強い衝撃を与えるとここ魔石のロックが外れて宝石に触れ、魔法が発動する仕組みになっています」


 確かにこれなら戦いの中でも使いやすい。自身の氷魔法に加えて、フリューネル二回、ヴェルア一回、ザントシルド一回、魔石の補充が必要とはいえ自由に繰り出せるのは、魔法戦においてものすごいアドバンテージだ。


「フリューネルが使えるのは魅力的だね。僕の重力魔法で軽くすれば空中を走れそう」

「あ、それは無理です。先ほども言った様に強い衝撃が必要なので、ジオグランツで無重力になったロイエさんでは、強く地面を蹴ることが出来ないからです。ふわっと浮いてしまいます」


 確かに……。かと言ってインパクトしてからジオグランツを発動してたんじゃ意味がない……。この魔石装具は僕の魔法とは相性が悪いみたいだ。


「ここが役所だよ。まぁそんなに来ることもないけど」


 歩いていると役所の前を通りかかった。この街に永住したり、商売をするならお世話になるけど、根無草の僕ら冒険者にはあまり用がない。


「あ、わたくし市長に用がありますの。行っても良いですか?」

「もちろん」


 そうか、ロゼは元々商人だ。何かしら用があっても不思議ではない。


「どんな用事ですか?」

「アルノマールさんからのお手紙ですわ」

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