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[ 126 ] 毒湿地帯

 木の絨毯に全員が乗るのを確認すると、ジオグランツで軽くして全員を無重力状態にした。あとは軽く地面を蹴れば木の絨毯はふわっと舞い上がる。


「わぁ、すげーな」

「ミルト、頼んだ」

「おっけー! フリューネル!」


 ミルトによる風魔法で、木の絨毯は毒沼の上を飛んだ。飛ぶとすぐにわかった。レーラさんとの修行で、ミルトの魔法の使い方もずいぶん成長している。


 以前はフリューネルをただひたすら連続で使って飛んだが、いまはフリューネルで発動した十のエネルギーを一気に全部使うのではなく、二、二、ニと継続的に出す事で、少ない魔力でより長く飛ぶことが出来ている。


「ラッセさん、もしかして怖いですか?」

「怖くありません。何を言ってるのですか朴念仁」

「怖かったら僕のでも誰のでもいいので、洋服の端を掴んでいれば振り落とされることはありませんよ」


 ラッセさんはやはり怖かったのか、僕の洋服の裾をちんまりと摘んできた。いつもの無機質な雰囲気とは違い、とても可愛らしいと思った。


 毒の湿地帯は痩せ細った木が生えているが、どれも葉はなく枯れている。おそらく昔は毒などない場所だったと思う。この毒の発生源は何かと思案しているとルヴィドさんが声を上げた。


「モンスターのようです」


 ルヴィドさんに言われて前方を注視すると、カエルのような毒々しい紫の小型モンスターが無数に跳ねている。


「シュテルンさんあれは?」

「デッドリーフロッグだね、この湿地帯を毒に変えた張本人さ」

「道を開けます。アダサーベン・オルト・ヴェルト!」


 十個の雷の手裏剣が前方へ向けて飛んでいき、次々と毒カエルを感電させ魔石化させていく。


「うぉおおお! かっけー! やるじゃん!」


 空飛ぶ木の板の上でユンガがテンションを上げた。


「俺もやってやらー! なんだっけ? そうだ。ヴァッサー!」


  ユンガの腕からピョロっと水が出ただけだった。やはり普段から魔法を使っていないと、この程度なのか。


「はたー! 魔法ってよくわかんねぇー!」

「ルヴィドさん左からも! 目算二百匹!」


「思ったより数が多いですね……。仕方ありません。クラウンクロイツ・オルト・ヴェルト!」


 千を超える雷の剣が出現し、次々と毒カエルを貫いていく。このカエルの量を見て確信出来たことがある。


「ボスいるかなー?」

「いないと思いますよ」


 ミルトの疑問に即答できたのに根拠がある。


 フィクスブルートから魔力を吸った後に発生する、モンスターの大量発生上にはパターンがある事に僕は気付いた。それは人が近くにたくさん住んでいるかどうかで変わる。


 ボスモンスターが出たのは、ナッシュ採掘所のリーラヴァイパー、フォレストのカルミールベア、どちらも人が多く直前に地震が発生している。


 逆にボスモンスターが出なかったのが、ハイネル村のスライムとバルカン村のサンダーラビット。


 ボスがいる場合は雑魚モンスターは少ない。逆にボスが出ない場合は、雑魚モンスターが数百単位になる。


 わからないのが、ナッシュに流れてきたリンドヴルム数匹、これはフォレストからという話なのでボスがいたのかはわからない。


 それとフォレストに現れたシルバービー。これもボスはいなかったように思える。ただ、あの時地震は発生してなかったのと、ボス不在発生パターンだとしても数が少な過ぎるので、他所から流れてきた可能性はおおいにある。


 ゆえに、現在この毒湿原で生息しているカエルは、人が近くにいない事と、数百単位であることからボスはいない可能性が高い。


「ルヴィドさん、ボスはいないと思うので温存しなくても大丈夫だと思います」

「わかりました」


 次々とデッドリーフロッグを撃破しながら、僕らはどんどん湿地帯の奥へと進む。

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