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エルフ娘のぶらり旅    作者: 車・轍
3/11

3話

夜が明けて私は村長に村を出ることを伝えた。


「エルフ様、差し出がましいですが、この村ではエルフ様に迷惑をかけるような者はいませんがエルフ様は稀有な存在なので長い耳を見られますと、問題がありますので隠された方が賢明かと...。」


エルフの存在はやはり人間社会では滅多に見ない所かユニコーンやシーサーペントのような存在のようで存在が広まると騒動の元らしい。

エルフ信仰があるこの村みたいに目立っても危害があることはないが他でも同じとは限らないので用心する事に越したことはないだろう。


「では村の皆さん!またいつか会いましょう!」


私は村の人々が手を振るのを2,3回振り返って手を振りながら歩いた。村の人々は総出で声援を送りながら私を送り出してくれた村人の群衆の中にニーナの姿があり手を振っていた。


村から離れた私が次向かうのは村長から聞いた一番近い街に向かっている。

村と違って石造りの街並みが見ることが出来るので楽しみである。


町に行ったらお金を両替しなければならない、実のところ村にお世話になったお礼としてお気持ち程度にお金を渡そうとしたら私が里から持ってきた人間社会のお金は相当、昔のお金らしく、金銀で作られているので使えなくはないが一般には流通してないため目立つ可能性があるためにやめた方が良いと聞いた。


そこで私は村長の紹介で村の出身の美術商の紹介状を貰った。両替商ではなく美術商なのは私の持っている金貨、銀貨銅貨は昔に覇権を制した大国の貨幣らしく金や銀の純度が高く今では貨幣に施されるデザインによって美術品としての側面が強いらしく美術品として売った方が価値があるらしい。


しかし、国として発行していたのならそれなりの量があるはずなので希少価値があるのか?と思ったが、国が分裂する際にそれぞれの国が財政を整える為に貨幣を溶かして純度を下げた独自の貨幣を大量に発行したため分裂前の国の貨幣がほとんど残っていないとのこと。


街につくまで夜を越して朝になってから太陽が真上まで上がるまで歩いた時だった。

街の外には衛兵が3人、門の前に立っていた。私の前を歩いていた人が軽く話して通過していく中、私が衛兵の隣を通り過ぎようとする時、衛兵は私の前に手を出して私の動きを制止した。


「すみませんが。不定期検門にご協力してください。背負ってる鞄を開けて貰ってもいいですか?」


「はい。」


私は背負ってる鞄を下ろして開けて見せた。衛兵は上にある物を一目見て閉じる許可を出した。


「最後に帽子を外してもらうか?」


「すみませんね。一応顔をはっきりと確認しないといけないので。」


私は耳を隠すために髪で耳を隠すように覆って帽子を深く被っていた。その為に怪しまれているようだ。

髪が捲れないように帽子を外して顔を上げた。


「よし!通ってよし、ご協力感謝します。」


前を通っていた人よりは確認されたが比較的に容易に門を通ることが出来た。

門をくぐると街並みが見えてきた、村と違って全体的に石を使っている家が多く2,3階建の建物も多く見える。大通りには人が多く出ていた。村や里でも人が少ない為、通りに多くの人が歩いている光景は初めて見る光景であった。


なんだか目が回るような感覚に陥る。


人の多さに酔いながら村長に渡されたメモにより、大通りに沿って行けば街、唯一の美術商の看板が見えるらしい。

少し歩いていくと美術商の看板が見えてきた扉は他の建物より重厚で荘厳な装飾がされていて儲かっているらしい。

扉を開けるとそこらに美術品があるわけではなかった見えるのはカウンターのみで商品はどうやら奥にあるらしい。

店主は壮年の男性で私を見ると微笑みを顔に貼っていた。


「お客様、御用はなんでしょうか?」


「あの紹介があって来ました。これを。」


村長から書いていただいた紹介状を店主に見せると


村長からの紹介状を手渡した。


「あの村長からの紹介ですか。いつもなら一般の人との取引はお断りしているのだけど紹介があるなら。」


どうやら高価な美術品を取引する上で現金の授受が後日になることが多いらしく信頼がないと取引が難しいので本人もしくは誰かの紹介、本人の使いの人としか取引をしないらしい。


「この貨幣の買取をしてほしくて...。」


「これは...。ちょっと待ってください。」


そう言うと店主はカウンターの下から本を取り出してページをめくっていた。


「...あった!これだ!なんてこった...。お客様、これは大変な物です。この貨幣は古代の大国、トネル帝国の貨幣ですね。それも数の少ない最盛期は物流が活発になり金や銀の含有量も減り、貨幣のデザインも劣っているのでこの時期の貨幣が価値が高いのです。」


「どのくらいになりますか...?」


「そうですね。こういった物は収集家が多いので一枚だけでも高値が付きます。金、銀、銅と組みであると単体の時より高値が付きます。どのくらいお持ちですか?」


「今あるのは、これだけです。」


手持ちにあるだけを渡した。鞄にまだ大量にあるがどうやら大変な価格が付きそうなのでこれ以上、持ち運ぶ量が増えても持ち運べないので次の機会にしよう。


「こんなに...。こんな量は収集家の家でも見ることができないぞ...。」


店主は目を開いて貨幣の入った袋をジッと覗いて、しばし考え口を開いた。


「この量となりますと買取が難しいのですが収集家への売買の仲介として、仲介料を貰う形で買い取りはどうですか?」


手持ちの量ですら買取が難しいらしい、時間はかかりそうだが仲介してもらった方が確実だろうし今の私にはこの人にしか頼りにできないのだから。


「仲介をよろしくお願いします。ですがわたしに支払われるお金を仲介が終わるまでこの町で寝泊まりできるほどの金額を渡してもらえますか?このお金の他には手持ちがないので。」


「構いませんが...。このお金の他には手持ちがないって、村長からの紹介状といってお客様は一体何者なんですか?」


「え?あぁそういえば名乗っていませんでしたね。」


私は帽子を外して自己紹介をした。


「森から来ました。エルフのラミーアと申します。


「えっエルフ!?エルフなんて老人のお話のだけのものじゃ...なかったのか。」


「驚いていますけど村の人よりは動揺して無いですね。」


「まぁ、村の閉鎖感が嫌で村から出てきたのでそれほど村の考えに染まりきっていないもので...。しかし、実物をこの目に見た限りにはできる限りのことはします。」


どうやらエルフを見たことによって無かった信心が沸いて来たようだ。

少しの間、店の中で待っていると店主が戻ってきた。


「お待たせしました。これが前払い分です。」


「ありがとうございます。ところで宿泊する宿をまだ決めていないのでどこか、良い宿はありませんか?」


「それならこの通りの突き当りにある宿はこの町でも評判の宿だよ。夫婦でやってる宿でね評判だけど夜には下の食堂にはあまり下りない方が良いです。絡まれる危険性があるので。」


「忠告ありがとうございます。」


お礼をいってお金を受け取り店を出ようとすると店主が再び声をかけてきた。


「待ってください。言い忘れましたが宿に泊まる際に宿代と一緒に夜の飲む人たちにふるまう用のお金を払った方が良いですよ。」


なぜなのか聞き返す前に店主は店の奥に入っていってしまった。少し気になったが宿の部屋を確保しに行った。通りを歩いていくと宿が見えてきた、大きさも立派な宿で部屋の数も中々有りそうだった。


「すみません、泊まりたいのですが。」


「いらっしゃい!何泊泊まるんだい?」


宿を経営をしている夫婦の奥さんが受付をしているようでいかにもという感じの人で本などでよく言うこの店の名物女将というやつなんだろう。


「しばらくの間、お世話になると思うので1週間ごとに更新することでいいですか?」


「はい。わかったよ、希望があれば追加料金で朝昼夜と食事があるけどどうする?」


「お願いします。できれば部屋に届けてもらってもいいですか?その分多く払いますので。」


「時々、そういった宿泊客もいるからね。サービスでいいよ。」


「あとそれと夜の皆さんへのお代をこれでお願いします。」


「あれ、あなた若いのに気前がいいのね!」


私がお金を払うと言うと随分驚く様子だった。美術商の店主の言い方だと当たり前だと思ったのだけど...。

私は、宿泊者名簿に名前を書いたらすぐに部屋に上がって一息をついた。








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