11話
銀行を後にした私達はゆっくりするために銀行の近くでお茶を楽しんでいた。
「ミリアは支店長の様子を確かめに行った時、あの像の隣にいた男を見たの?」
ミリアはケーキを食べる手を止めて話始めた。
「あの事ですね。途中でフーリさんが帰ってきたので話が途切れたから...。」
どうやら、私と同じ発言の後に言おうと思っていたらしい。
「そうですね。明らかにあの男の人、私と同じだと思うのだけど...。」
ミリアの歯切れが悪い、私も何が言いたいかなんとなくわかる。
「言いたいことはわかるわ。人形が動いている...。本人に意思が無いようにも見えた。」
「それです!そういう感じ!」
お互いに感じたのは、あの男性自身に意思はなく機会的に事を成しているやうに見えたということだ。
「あの男性の力でこの銀行は成り立っているというのがわかったわね。」
あの精巧な模様が描かれた金札はあの男性の力の副産物なのかも知れない。もしくは確認することが出来ないが銀行の奥には未知の道具があるのかも知れない。
「手元に使えるお金ができたことだし、行きますか。」
お金が手元に手に入ったことにより、市場で欲しかったグラスが買えることにワクワクした。
市場に向い目的の露店の前まで向かった。
「おじさん、お金の用意が出来たから買わせていただきます。」
「あぁ、嬢ちゃんか。あまり無理はするなよ、安い買い物じゃないからな。」
店主のおじさんは老婆心ながらの心配をかけてくれているのか心配そうに言ってくる。
「ご心配なく、確か金貨3枚でしたね。」
私は心配ないことを伝え、一部手元に残していたお金から金貨を3枚取り出し、店主に渡した。
店主は受け取るとマジマジと金貨を眺めて秤に載せた。
「はい。金貨3枚、確かに受け取った!グラスを持っていきな。」
金貨を確認した後、店主はグラスを持ち上げ私に差し出した。
グラスを受け取り、太陽の光をグラスにかざしてみるとグラスが虹色のような模様をだし、まるでそれは銀行内の応接室で見た螺鈿と同じような感じだ。
改めて眺めてみるとなんとも素敵なグラスだと認識できる。
「あぁ。本当に素敵ですね。今回は本当にいい買い物でした。ありがとうございます。」
「構わないよ。また機会があったらまた来てくれよな!」
店主に声をかけて私達は一旦、宿に戻ることにした。
「あのぉ。ラミーア?そのグラス気に入ったのは分かるけどいつまで眺めているつもりなの?」
「後もう少し...。まだ試したいことが。」
あれから宿に帰ってから試しに水を入れてみたところグラスの輝きがまた違った味わいがある事に気づいて眺めていた。
そして今は宿にあったワインを購入して、グラスに注ぎ眺めている。
「はぁ。グラスに赤の色が映えますね。」
思わずため息が出るほどに素晴らしいグラスである。
「あなたにそんな美術趣味があるとは思わなかったわ。」
何かミリアが呆れているような雰囲気を出しているような気がするが気のせいであろう。
「こういった珍品を見る事が出来るのも旅をする醍醐味かもね。」
「私はもっと美味しい食べ物を食べたりしたいな。」
「それもそうね。明日はもっと海側に行って、そういったお店に言ってみましょうか。」
取り敢えず今晩はこのグラスでワインを飲んで楽しむことにします。




