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エルフ娘のぶらり旅    作者: 車・轍
10/11

10話

ミリアを見送った後に手持ちぶたさになった私は暇つぶしに部屋の中を見回ることにした。


さすが金の集まる銀行なだけあって調度品も前に取引した貴族の部屋にも負けない豪華さであったが貴族の応接間と違って港の近くのためか統一された印象はなく各地方の調度品が飾られている印象を受ける。

ある調度品は真っ白で恐らく何かの牙を加工して作られたものだと思う。そして、その隣を見ると白いと思ったが虹色が薄らと見える、これは噂に聞く螺鈿と呼ばれる貝を加工して作られた物だろう、牙、貝と来て隣のは何だろうか深い緑色のようで虹色が光に反射して見える不思議な物があった。

ありとあらゆる地方から集められているせいか調度品によっては何で作られているかわからない物が多くあった。


私が暇つぶしをしているとミリアが帰ってきた。


「ミリア、お帰りなさい」


「ラミーア~、見てきたよ。」


「どうだった?」


「えーと。奥の部屋に行くと大きな像があってその前でフーリさんが像に話しかけている感じで、像の周りの蝋燭を補充しながら点灯している感じでたぶん、そろそろ戻ってくると思うけど?」


聞いている限り邪教の儀式にしか聞こえてこない。

 

「でも私と同じ…」


ミリアが何かを言った直後に支店長が部屋に入ってきた。


「お待たせしました。準備が整いましたので移動を願います。」


支店長は一通り言い終わった後にこちらの様子を見て笑顔になりながら話しかけてきた。


「あぁその調度品をご覧になっていたのですか。どうですか?この部屋の調度品は私が選んで買い揃えたものばかりでして、この町はご存じの通り大きな港町なので珍しい調度品が集まってくるのですよ。」


支店長はだいぶ熱が入ってるようで少し声が大きくなっていた。


「こういった調度品がお好きなんですか?」


「お恥ずかしながら、私の少ない趣味の一つでして支店長に就任してからまず行った仕事がこの応接間の調度品の整備でして...。」


どうやらこのまとまりのない調度品は港町なことと、支店長の趣味が合わさった結果のようであった。


私は儀式に行く準備があることを伝え支店長と移動を開始した。


「支店長さん、このような儀式というものはどこでも行われるようなことなんでしょうか?」


「そうですね、他では行われていないです。なので一般の方は儀式と聞いて驚く方がほとんどなのですが、よく利用される商人や貴族の方たちは当銀行についてよくご存じなので驚くことはないですね。」


どうやら別に秘密の儀式というわけでもなさそうだが、口座を作る人が限られてくるため知られている層に限りがあるようだ。


儀式を行う部屋までの廊下は薄暗いわけでもなくとても明るく怪しい雰囲気はなく少し残念な気分


「着きましたよ。この部屋です。」


支店長が扉を開き中に入ることを促した。

部屋の中はミリアから聞いた通り部屋の奥には大きな石像が鎮座しており、周りは蝋燭で照らされていた。

私がまじまじと石像を眺めているとミリアが横に来て石像の奥の方を指さしていた。

石像の奥をよく見ると人が立っている。しかし、部屋が薄暗いため良く見えない。


「ではこの像の前に立って宣誓して貰います。」


支店長は像の前まで来ており像の前まで来るように促していた。

像の前まで来ると像の後ろの人の顔が視認出来た。

男だった。その男は私の目の前の像の男であった。


ミリアが自分と同じと言った意味が分かった気がする。おそらく今から行われる儀式とやらもこの男に関わるものだろう。


支店長は私が準備できたことを確認すると、大声で宣言し始めた。


大仰な言葉を使っているが要は銀行として客の信頼を裏切らずそれはお互いの信頼が続く限りという内容であった。

支店長は宣言し終わると耳打ちしてきた。


「ここで「私はこの銀行に害をなさないことをここに宣誓する。」と言ってください。」


私は支店長に言われたとおりに宣誓を言い終えると像の隣にいた男性は私と支店長に向けて手をかざした。

手からは金色の光が漂い支店長と私の周りを漂っていたかと思うと光は像の方向に向かって行き、像自信が光っているように見えた。


「大丈夫のようですね...。」


「大丈夫ってどういうことですか?」


「この像はですね。信頼足らないお客様の場合は赤色になぜか光り、信頼足るお客様と判断されますと金色に光るという不思議な像なんです。」


この言い方だと支店長には像の隣の男が見えず光だけが見えていないようだ。


「この儀式じたい、この銀行の初期のころから伝わるものでしてこの儀式のおかげで今までお客様からのトラブルは一度もなかったのです。」


「この像の参考になった人とか居るのですか?」


「この像の人はですね、この銀行の創立者のモンド氏だと私共には伝わっています。なにぶん絵など他には姿がわかるものが残っていませんので...。」


どうやらこの男は創設者だったのか。こうやって死しても銀行を守り続けているのだろうか?

像の男は儀式の終わった私達には興味がなくなったというように像の横に俯きながら佇んでいた。

ミリアと私は儀式が終わった後に応接間でお金を受け取り、余分な分は銀行に預け、他の支店でもお金を引き出すための手形を受け取った。


すべての用事を終わりにした私達は銀行を後にした。

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