第1部、第2章~知らぬ間に改変していたお見合いパーティー
誠司「最近さ~、完全個室の居酒屋が上野に出来たんだけど、今週末の金曜日にいつもの3人で行こうぜ!」
剛史「金曜日の夜ね、別にいいけど今回はお見合いパーティーの誘いじゃないんだね」
誠司「まあな、いろいろと話したい事があるから飲み会にしたんだよ」
剛史「そういえば、実君とも最近会ってけど元気なのかな?」
誠司「さっき電話したら元気だったよ」
剛史「じゃあ、居酒屋の予約は頼んでもいいかな?」
誠司「OK!任せとけ!」
剛史「待ち合わせ時間と場所は?」
誠司「18時30分に上野駅に待ち合わせって事でいいか?」
剛史「いいけど、あの辺は広いからな~」
誠司「じゃあ、前以て待ち合わせ場所の下見をしとくからさ」
剛史「悪いけど、そうしてくれると助かるよ」
誠司「OK!じゃあ、席が取れたら前日迄には連絡するから」
そこで、電話が切れました。
誠司君が、うちらに話したい事って何なのだろう?
何か重要な事でもあるのだろうか?
どこか遠くに引っ越しでもするのだろうか?
いやいや、そんなのはただの考え過ぎでしょう。
そう思い、あとはじっと連絡を待つ事にしました。
そして、飲み会前日の夜に誠司君から連絡がきました。
誠司「明日の18時30分に、JR上野駅広小路口の改札を抜けてから、駅舎を出てすぐの所に集合な」
剛史「OK!下見ありがとうね」
誠司「あの辺なら分かりやすいからな」
剛史「駅舎を出て右と左のどっち側に居ればいいの?」
誠司「別に、どっちでも好きな方でいいよ」
剛史「うん、分かったよ」
誠司「飲み会は、18時45分~2時間で予約してあるから遅れないようにな」
剛史「了解!因みに、会費はどのくらい用意すればいいかな?」
誠司「1人3000円のお手軽コースにしたから、多少追加したとしても4000円前後ってところかな」
剛史「意外とリーズナブルだね」
誠司「だろ!今回の飲み会は、俺の告知が終わる迄あんまり飲まないようにするけど、お前らはガンガン飲んじゃってくれよ!」
剛史「了解!それじゃあ、また明日ね」
そう言って、電話を切りました。
飲み会の当日、待ち合わせの10分以上前に3人が集まりました。
誠司「おう!意外と早かったな」
実「そうでもないよ」
剛史「結局、ぼくが一番遅かったけどね」
誠司「そんな事よりそろそろ行くか!少し位なら早く入店しても大丈夫だろ」
剛史「ゆっくり歩けば、そんなに早くないんじゃない?」
実「そうだな、のんびり行くとするかぁ」
僕らは、歩いて数分の所にある個室完備の居酒屋に向かう事にしました。
誠司「え~と、確かこの先に…、あったあった!ここだよ!」
剛史「へ~、思ったよりいいお店だね」
実「開店したばっかみたいだな」
誠司「まあ、店の感想はその位にして早く入るぞ」
剛史「うん、そうだね…」
出迎えてくれた店員さんに、小ぢんまりとした個室を案内されると、一席空いた所に荷物を置きました。
そして、4人掛けの席に着くや否や、全員が声高に生ビールを注文しました。
すると、3分も掛からないうちに、ビールとお通しがテーブルに並びました。
誠司「え~、ゴッホン!それでは、久々の再会に乾杯!」
実「カンパーイ!」
剛史「カンパーイ!」
やはり、仕事の後の一杯目は最高でした。
ただ、空酒は体に悪いので次の料理が来る迄は、チビチビやる事にしました。
うちら3人が、乾杯のお酒を半分位飲んだところで誠司君が話し始めました。
誠司「あのさ、このところ実と剛史はパーティーに来ないけどさ~、そろそろ活動再開しない?」
剛史「でもさ~、今までだって何の収穫もなかった訳だしさぁ…」
実「そうそう、毎週末に苦しむと週明け仕事にならないんだよなぁ…」
誠司「ふ~ん、それでお前ら休みの日には何をしてんの?」
実「俺は専らウオーキングかな」
剛史「ぼくは、バッティングセンターに行ったりゲーセンに行ったりだよ」
誠司「そうなんだ」
「お待たせしました~」
ここで、冷奴と枝豆と冷やしトマトが運ばれてきました。
誠司「おっ、早いね~」
「ごゆっくりどうぞ~」
僕らは、それをつまみに1杯目のビールを飲み干しました。
誠司「お前ら、2杯目はどうする?」
実「同じので」
剛史「じゃあ、ぼくも同じで」
誠司君は店員さんを呼び出しました。
「はい、ただいま参りま~す」
誠司「追加で、生ビール3つね!」
「はい、少々お待ちを~」
実「そう言うお前は休日に何をしてるんだよ?」
誠司「実はさ、俺はまだ1人でお見合いパーティーに行っているんだよね」
実「マジか!よく1人で行く気になれたよな」
誠司「それはまあ、あれだよ…」
実「あれって言うと?」
誠司「俺は、最初の頃と違って、気兼ねなく女の子と話せるようになったからだよ」
剛史「それはそうだけどさ~」
誠司「なのに、それを生かさないで止めちゃうのは勿体ないと思ってさ」
ここで、追加のビールが運ばれてきました。
「へい、ビールお待ち!」
そのタイミングで、刺身盛り合わせとシーザーサラダとキムチともつ煮込みが運ばれてきました。
それから、少し遅れて取り皿を差し出してきました。
「焼き物と揚げ物はもうしばらくお待ち下さい」
剛史「急がないから大丈夫ですよ」
「すいませんね~、そんじゃ失礼します」
誠司「とりあえず、サラダを取り分けようぜ」
剛史「それはぼくがやるよ」
ぼくは、手早く小皿にサラダを盛り付けました。
実「でも、パーティーに行ったらそれなりにお金は飛ぶだろ!」
誠司「そうなんだけどさ~、ここで諦めるのはちと早いんじゃないかな?」
剛史「だってさぁ、何の手応えもないまま10連敗したら、さすがに懲りるでしょ」
誠司「そんな事言ったら、俺なんて18連敗中だよ」
実「マジかよ!プロ野球の弱小球団だって、そこまでは連敗しないじゃん!」
誠司「なんだろうね…、あと少し何がが足りないんだろうけど、それが分からないんだよ…」
剛史「だから、ぼくはキリのいいところで見切りをつけたんだよ」
実「そういや、俺も3か月以上は行ってないや…」
剛史「じゃあ、実君も10戦10敗なの?」
実「いやいや、実を言うとな、俺もあれから2回だけパーティーに行ったんだよ」
誠司「何だ、パーティーに行くんなら誘ってくれれば良かったのに…」
剛史「1人で行ったの?」
実「いや、会社の後輩と2人でだよ」
誠司「それで、結果はどうだったんだよ?」
実「それがさ、俺は1回だけ渋谷の会場でカップルになったんだよね」
誠司「何だよ!どんな手を使ったんだよ?」
実「どんなって、その時は夢中だったから、何が決め手だったのかは自分でも分からないよ」
剛史「でも、カップルにはなったんでしょ?」
実「まあな、だから俺は1勝11敗だよ」
誠司「マジかよ!」
剛史「それで、付き合ったりはしたの?」
実「それがよ~、会社の後輩がカップルになれなかったもんだから、来週も行こうって散々誘われてさ~」
剛史「また、パーティーに行ったんだね」
実「そうなんだけどさ~、場所を変えて西新宿の会場に行ったんだけどさ~」
誠司「何だよ、もうちょい早く話せよ!」
実「それがさ~、俺と先週カップルになったばっかの女性と鉢合わせしちゃってさ~」
誠司「マジかよ…、そこで会うってどんな確率だよ」
剛史「それで、どうなったの?」
実「結局、彼女とは気まずい雰囲気になっちゃってそれっきりだよ」
剛史「でも、それはお互い様なんじゃないの?」
誠司「そうだよ!そんなの“今日は後輩のサポートに来ました”って言っとけばそれでお仕舞いだよ!」
実「まあ、確かにな…、惜しい事をしたよなぁ…」
誠司「いい勉強にはなったんじゃないか?」
実「本当…、まさかだよな~」
剛史「そういえば、パーティーでカップルになると、それを足掛かりにして、もっと好ましい人と出会いたいっていう願望が湧くっていうからね」
誠司「要は、相手が1人だといつ別れるか心配だから、保険を掛けたいってやつだろ」
実「結局、思う事は男も女も同じだよな…」
誠司「そうそう、初めのうちはお互いに信頼が無いんだから、尻尾を掴み合っている位が丁度いいんだよ」
実「そうかもな…」
剛史「ところで、誠司君が最近行ったパーティーはどうだったの?」
実「そうそう、俺もそれが聞きたいよ」
誠司「そう焦るなよ、今日2人を呼んだのはその事を話す為なんだからさ」
実「ああ、そうだったな」
誠司「今までのお見合いパーティーは、金だけ取られてつまらないのが定番だっただろ」
剛史「そうだね、カップル率も悪かったよね」
実「サクラがいるのもムカつくよな!」
剛史「結局、男にとっては損するだけだらね」
誠司「それがさ、最近ではシステムが変わってきたんだよ」
剛史「へえ~、でもそんなには変わらないでしょ」
誠司「そんな事はないよ!確実に料金は安くなったよ」
実「どのくらい?」
誠司「今迄は、会場がホテルの宴会場だと7000円位で、パーティー会場だと5000~6000円位だっただろ」
剛史「そうだね、それでいくらになったの?」
誠司「どこの会場も、男性の料金が5000円よりは安くなったよ」
実「それでも、4980円とかだろ?」
誠司「まあまあ、話は最後まで聞けって」
実「ああ、分かったよ…」
誠司「だだ、女性は今迄みたいに0円って事はなくなったよ」
剛史「そこら辺は考えたんだね」
実「ちなみに、女性料金っていくら位になったの?」
誠司「1500円~2000円位かな」
剛史「それでもかなり安いと思うけど…」
誠司「そう思うだろ!でも女性って少しでも料金を払うとやる気が全然違うんだよ」
剛史「へ~、それは初耳だよ」
実「やる気が違うって、具体的にはどんな感じなん?」
誠司「行けば分かると思うけど、課金した以上は確実にお相手を物にしよう!っていう意気込みがひしひしと伝わってくるよ」
剛史「へ~、それはそれで興味深いね」
誠司「やっぱり、お金を払ってでも来ている女性は、積極的な方が多いよ」
実「向こうから話し掛けてくる事もあるって事?」
誠司「そりゃあ、あるさ!」
剛史「それで、パーティーの男女比はどんな感じなの?」
誠司「最近だと、男性がごっそり減ったから、男女半々か女性が1~2人位多いよ」
実「それじゃあ、女性も本気になるしかないよな」
誠司「俺が最近行っているお見合いパーティーは、初回の男性料金が4500円なんだけど、2回目は3500円で、3回目以降はずっと2500円の所があるんだよ」
実「マジかよ!そこまで安いのは衝撃だな!」
剛史「でも、スタート時は4500円な訳でしょう?それと、割引には期限があるとかでしょ?」
誠司「そこら辺の話は後でするから」
剛史「うん、分かったよ」
誠司「その主催者が、新宿、渋谷、銀座の会場で同一料金でパーティーを開催しているけど、この中だとお勧めは渋谷かな」
剛史「まあ、あの辺だったら若者が多いからね」
誠司「俺は、そこのパーティーに何回も出ているからずっと2500円なんだよ」
実「マジか!昔の半額じゃん」
誠司「それだけじゃないぜ、今はもうお見合い回転寿司なんてやらないんだよ」
剛史「じゃあ、フリータイムだけって事?」
誠司「いやいや、それは行ってからのお楽しみだよ」
実「他にも何かあるのか?」
誠司「あとは、1回目と2回目のフリータイムの間で、男女ペアで参加するゲームもあるし、以前とは全然違うんだよ」
実「でも、サクラがいるのは相変わらずなんだろう?」
誠司「いや、その辺も最近は徹底されているんだよ」
剛史「え~、本当なの?」
誠司「どうせ、対面ならサクラはバレるし、人件費が割に合わないのか定員に達しないパーティーは前日に中止の連絡が来るんだよ」
実「そこまでするのか…」
誠司「だから、前日はヒヤヒヤするんだよなぁ」
剛史「それはまた随分な変わり様だね」
誠司「そう思うだろ、だけど現実はそんなに甘くないんだよ」
剛史「えっ、どういう事?」
と、ぼくが聞き返すと、誠司君は、
誠司「それがこれから2人に話したかった事なんだよ」
と、言って、残りのお酒をグイっと飲み干しました。
そして、近くにいた店員さんを呼び止めると、ハイボールを注文をしました。
そのタイミングで、ぼくと実君もレモンサワーと青りんごサワーを追加注文しました。
程なくして、注文したお酒が運ばれてきました。
それと同時に、焼き鳥の盛り合わせとポテトフライと鳥の唐揚げとだし巻き卵とサイコロステーキが運ばれてきました。
実「おっ、来た来た~!」
「お待たせしました~、それと空いたグラスお下げしますね」
ここで、一気にテーブルの上が豪勢になりました。
誠司君は、“それを半分以上飲んだら話すから”と言ってきました。
僕らは、料理が載った皿をどんどん回して小皿に取り分けると、冷えたお酒をグイグイとあおりました。




