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夢も現実も男3人彼女さがし  作者: きつねあるき
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《続編》第1部~奇妙な再会の後に 第1章~疲労で萎えたお見合いパーティー ~続編開始~

 夢の中とはいえ、これ以上ないくらいモテまくったと思ったら、最後はあんな落とされ方をするとは…。


 それでも、架空の事ではありましたが、うちら3人の中で初のカップルが誕生(たんじょう)した時は、正直とても(うれ)しい気持ちでした。


 何故ならば、今までは(えん)もゆかりもない人達のカップリングを、延々と見せつけられていただけだったからです。


 それに、カップリングで番号を呼ばれた時の感動と、参加者の皆さんの前でドギマギしながらキスをする事は(あこが)れでもありました。


 通常、睡眠時に夢を見ていたとしても、朝起きたと同時に(ほとん)どの事を忘れてしまいます。


 しかし、絵美佳(えみか)さんと耀(ひかる)さんの顔だけは、どういう訳かハッキリと覚えていたのです。


 それでも、所詮は夢の中での()れ事なんだと思って、気にしないようにしていました。


 それなのに、翌朝の出勤途中で、不気味な感じの絵美佳さんと(おぼ)しき人と再会するとは…。


 これには、何か意味があるのだろうか?


 僕らは、実際にカップルになった事はないし、女性から(うら)みを買われる事はしていない(はず)でした。


 夢の中だと、絵美佳さんは誠司君とカップルになったのに、現実ではぼくの前に現れたのかが不思議でした。


 それは、まあ、ぼくの夢の中での出来事なんだから、その残像(ざんぞう)を見る事もあるのかな…?


 実際には、夢で見た絵美佳さんが現実に現れたのではなく、信号待ちをしていた若い女性の顔の部分だけがそう見えたのでしょう。


 そうでなければ、あまりにも不可解な出来事だったと言えるでしょう。


「何か、最近疲れているのかな…」


 ぼくは、刺激の強い目薬を2滴ずつ点眼しました。


 夢はその人の願望を反映するといいますが、うちら3人の場合は明らかにお見合いパーティーで彼女をつくる事でした。


 しかし、現実は思った以上に(きび)しく、通勤カバンの中には過去のプロフィールシートが()まる一方でした。


「そんなもの、すぐに捨ててしまえばいいじゃないか!」


 皆さんは、そう思われるかも知れません。


 しかし、そこには大した情報量ではないにしても、若い女性の名前と職業くらいは書いてあったからでした。


 それが、何とも可愛らしい字を書く人がいたので、捨て(がた)(ところ)がありました。


 ただ、こんな物を取っておいても意味がないので、ストックが5枚以上になった時に(まと)めて捨てていました。


 実君も、プロフィールシートを溜めるタイプでしたが、彼の場合は目的が違っていました。


 それは、女性の名前を片っ端から覚えて、2度目の再会の時にクサいセリフを言う為でした。


 しかし、世の中狭いようで広いのか、同じ人と再会する事なんてほとんどありませんでした。


 それに、仮に再会を果たしたとしても、前回のパーティーでお互いに当人を選んでいない訳だから、実君の努力も徒労に終わりました。


 数々のお見合いパーティーでは、ただただ高い参加費を支払っただけで終わる事が殆どでした。


 それにしても、あのお見合い回転寿司のシステムは何とかならないものなのかな…。


 男女50対50のお見合いパーティーで、1人1分ずつ話しただけで、ロスタイム無しでも50分以上掛かります…。


 それに、男性は外側の円を1人ずつ横に進んで行くので、移動時間を入れるとそれだけで確実に1時間以上になります。


 日頃から、余程キッチリ疲れが取れている人ならまだしも、多くの人はお見合い回転寿司をしただけでクタクタになってしまいます…。


 お見合い回転寿司が終わる頃には、声はガラガラ、顔は(あぶら)ぎっていて、人によってはかなり腋汗(わきあせ)をかいてしまいます。


 それでも、1人1人に笑顔で話し掛け、どんな些細(ささい)な共通点でも見つけられないかと必死で接していました。


 主催者にもよりますが、お見合い回転寿司は厳格に1人1回で終わるケースと、参加者が申告しない限り続く場合があります。


 後者の場合、不覚にも2周目に突入しますが、必ず途中で誰かが申告してくれます。


「すいませ~ん、2周目に入りましたけど~」


「それは大変失礼しました…」


「まだ、話している途中ですけど終わりにしますか?」


「それでは、今話している方とだけは続けて下さいね」


 まあ、こんな感じになります。


 ただ、2周目に当たった方が、お目当てのお相手だった場合は、2度おいしいと思う事もありました。


 お見合い回転寿司では、必ず1人1分間のお話が出来る反面、そのプロセスが段々と面倒になってきました。


 1分間トークでは、すぐ近くにいる女性の自己紹介が聞こえているにも(かかわ)らず、1人ずつ横にずれた時に、全く同じ自己紹介を延々としなければならないのが苦痛でした。


 しかし、お見合いパーティーに参加している以上、自分も斜め前にいるお相手も名前と年齢と職業位は把握(はあく)しているのに、聞かなかった(聞こえなかった)ふりをして一から自己紹介をせざるを得ませんでした。


 この状況で、お見合い回転寿司でやらかしてしまう事が以下になります。


 次に話す異性が、自分が掲げた条件に当て()まる方(好みの女性)だったとします。


 更には、隣での会話も聞こえてしまっているので、そっちの方ばっかりに気が取られてしまう事があります。


 当然、目の前にいる女性は面白く思わないでしょう。


 それは、男性にとってはお見合い回転寿司の一幕ではあるものの、個々の女性の繋がりを甘く見てはいけません。


 フリータイムに入る前、男女別に待機している時に、印象の悪い男性の事をあれこれ(しゃべ)っているからです。


 それを、近くで聞いていた女性が共感すると、恋愛対象から除外されてしまう事もあるので、お見合い回転寿司中での余所見(よそみ)(もっ)ての外と言えるでしょう。


 早い話、女性の皆さんは細かい仕草をよく見ているという事です。


 パーティーに参加する以上は、必死になってアプローチするのが常ですが、その反面、あまりに必死過ぎると思われたくない、という葛藤があるかと思います。


 後者の場合だと、一応は恋人さがしをしたんだし、自分の力量ではどう足掻(あが)いても無理だから仕方がないや…、といった気持ちになる事もあるでしょう。


 この時のぼくも、正にそんな気持ちでした。


「ぼくがどんなに頑張ったところで話にならないのなら、後は引き際だけ考えればいいのではないか?」


 そう気持ちが固まったところで、ぼくは誠司君と実君に“もう、お見合いパーティーには出たくない”と伝えました。


 誠司君は、“そのうちいい事もあるから”と(なぐさ)めてくれましたが、実君は“行きたい奴だけが行けばいいんじゃないか”という反応でした。


 その後、誠司君に何度かお見合いパーティーに誘われましたが、カップルになる未来が全く想像出来なかったので、4か月以上お断りしていました。


 その間、ぼくは貯金をしたかったし、もっと簡単な出会いがあるのではないかと、染々(しみじみ)と考えるようになりました。(そんな簡単な出会いはありませんでしたが…)


 それと、ただ単にお見合いパーティーでの連戦連敗に、心折れていたのも否めませんでした。


 そんな事情で、いろいろと理由をつけてはお見合いパーティーの不参加を続けていました。


 そうする事によって、段々と気持ちが楽になってきました。


「人は戦いをやめると、こんなにもリラックス出来るもんなんだ」


「思えば、第一印象カードすらまともに(もら)えなかったからな~」


「結局、何回行ったところで、勝利の方程式が見えてこなかったからな…」


「それと、参加女性の多くはお相手の年収ばかりを気にしているけど、貯金についてはあまり興味を示さないのは何故だろう?」


「やはり、ド派手な年収がないと勝負にならないのだろうか?」


「だったら、ぼくなんて到底及ばないや…」


 ぼくが、お見合いパーティーに参加しなくなった頃から、他の男性参加者にも心境の変化がみられるようになりました。


 それは、男性にとっては料金が高いし、慣れない事をして精神的に疲れるし、何度チャレンジしてもカップルになれないわで、段々と現実が分かってくるからです。


 その結果、多くの男性達はお見合いパーティーなんてつまらないと判断したからでしょう。


 反面、モテる男性にとっては、これほど簡単な出会いはないと思いますが、その類いの人達は往々にして理想が高いので、意外にもマッチングしない事が多いのです。


 モテる男性は、それなりに自信があるので“とにかく自分の好みの女性だけを落としたい!”と考える様です。


 なので、お眼鏡に(かな)う女性がいなければ、残り時間を暇潰(ひまつぶ)しとして話し続ける事はあっても、決してお相手を選ぶ事はありませんでした。


 逆に、モテない男性は“女性だったら誰でもいい!”という路線を突き進む事になります。


 ただ、人気の無さそうな女性にすら、全く相手にされない事が多々あります。


 それならばと、お見合いパーティーの会場内でも、自分基準で一番不人気だと思う女性に、真っ先にアタックすればチャンスがあるのでは?と、思われるでしょう。


 ただ、それでも手酷(てひど)く断られる事もしょっちゅうなのです。


 それは、お見合いパーティーの(わな)といったところでしょう。


 なまじ、異性の人数がいっぱいいるもんだから、今の人より次の人、次の人より次の次の人…、と、どんどん欲望が広がってしまうのです。


 無論、最低人気と思われるような女性も、同じ様な考えをしていました。


 なので、男性としては安全策で話し掛けたお相手でも、最初だけはスルーされる事も珍しくないのです。


 それでは、モテない男性からの誘いを断った女性はというと、その後、誰からも声を掛けられないといった光景を何度も見ました。


 やはり、事がうまくいきそうな時こそ、次の人に期待してしまうのでしょう。


 その後、人気のない女性は、おいそれとはモテない事に気が付いて、慌てふためいたと思います。


 お相手の容姿に(こだわ)りがない男性は、誰からも話し掛けられずに困っている女性にアプローチをすればチャンスだと思うでしょう。


 しかし、そういう時に限って“最初の男性が一番良かった!”とか言われて、未練タラタラなのです。


 結局、お相手選びで重要なのは、ご自身のストライクゾーンから少しでも外れた異性は追い求めてはいけないという事なのです。


 恋愛に関しては、無理をしてボール球を打ちにいっても、時間とお金の無駄なんだと痛感すると思います。


 モテる女性はというと、それはそれは理想が高くて、そんじょそこらの男性では太刀打ち出来ません。


「何だ…、今日もハズレばかりじゃないのよ!」


 とばかりに、男性達のレベルが低いと見るや否や、途端に不機嫌になります。


 ちなみに、モテる男性と女性の違いはこんな感じになります。


 モテる男性は、メンバーに関係なく最後までパーティーに参加している事が多いです。


 それに対して、モテる女性は会場にいる男性を見限ると、当然の様に途中退室していきます。


 会場係の方々は、禁止とされている途中退室について、男性には厳しく対処しますが女性には甘いので、俗に言ういい女が次々といなくなってしまうのです。


 とにかく、お見合いパーティーでは、そういった思考の人達が絶えません。


 まずは、声を掛けてくれた人とは、10分位は我慢して話し合ってくれるといいのにな、と思っていました。


 しかし、モテない男性に対して、お情けは一切ありませんでした。


 お見合いパーティーを10回出た頃から、ぼくはこれ以上頑張っても無理だと思うようになりました。


 キリのいい10回目に、何とか白星をあげようと頑張っていましたが、(はし)にも棒にもかからないまま呆気(あっけ)なく終わりました。


 次第に、実君もぼくと同じ様な考えをするようになり、週末はのんびりと散策をするのがお気に入りのようでした。


 上記の理由もあって、この時期からお見合いパーティーの男性参加者は急激に減少していきました。


 お見合いパーティーの料金体系は、男性の参加費を多く徴収(ちょうしゅう)するシステムだったので、凋落(ちょうらく)の一途は主催者にとって由々(ゆゆ)しき問題でした。


 すると、危機感を覚えた主催者は、新たに独自のシステムを導入して勝負してくるようになりました。


 例えば、お見合いパーティーの予約の段階で、参加者のプロフィールをある程度聞き出しておくのです。


 そのデータを、運営会社のスタッフが事前にプロフィールシートに入力しておくのです。


 よって、参加者が会場に着いた時には、既に異性のデータが埋まっているプロフィールシートが配られるのです。


 これがあると、従来のように基本情報を只管(ひたすら)伝える手間が省け、いきなり趣味の話から入る事も可能になりました。


 ちなみに、基本情報とは、住所、氏名、年齢、職業です。


 住所に関しては、大まかに○○区とか○○市、または、○○駅の近くとかで伝えるのが一般的ですが、たまに○○県とかかなり広範囲に言ってくる人もいます。


 そういう人は、ふざけているかサクラの可能性が高いので、相手にしない方が無難でしょう。


 このシステムでは、お相手に興味がある場合は有効でした。


しかし、それ以外の方には特に聞きたい情報も浮かばず、沈黙(ちんもく)してしまう事もしばしばありました。


 お見合い回転寿司に関しては、参加者全員と話さずに10人のみにするとかもありました。


 この場合だと、パーティーに参加している皆さんが、体力的にかなり余裕が出来ます。


 しかし、お目当ての異性と話が出来なかったり、当たり外れがハッキリしてしまうので、評価はイマイチでした。


 あとは、フリータイムの前に男女ペアになってゲームをして成功すると景品が(もら)えるとかがありました。


 初対面の男女を短時間でカップルにする為、主にお互いに触れ合うようなゲームが多かったのですが、それを女性側が嫌がるケースがあり、ゲームが中断したり内容を変更する事もありました。


 他には、カップルになったら占い師が無料で相性診断してくれるのもありました。


当初、占い師は2人いて、カップルが成立するまでは会場の隅で待機させられています。


カップルが2組なら、それぞれの占い師が1組ずつ占っていきますが、1組だったら2人のうち1人はやる事がありません。


それと、カップルになった誰もが占いを希望する訳ではなかったので、そのサービスは次第に廃れていきました。


あとは、男性の高い料金を改定して3000円台の料金で開催する会社も出てきました。


値段を下げる代わりに軽食を排除したのと、ドリンクは持ち込みでお願いしますと案内していました。


そうなると、カップルを諦めた人達が皆さんに背を向けて飲み食いに走る…、という事が出来なくなりました。


ただ、会場近くにある自販機に行く事は許されていたので、男性でも途中で抜け出す事は容易になりました。


 やはり、勝てないレースと分かっていたら、競馬でも次走に備えて流すというのがあります。


 それを、暗黙(あんもく)の了解で男性側にも許していったのは、ある意味驚きでした。


お見合いパーティーの運営会社は、離れつつある参加者を呼び戻す為、競争を激化(げきか)させていました。


 しかし、競争に勝てなかった運営会社は、倒産するところも出てきました。


 旧来のお見合いパーティーでは、受付けで高い参加費を支払ったら開始まで只管待ちます。


 その後、お見合い回転寿司だけは景気よくやるものの、フリータイムは話せる者同士で勝手にやってね…、という感じでした。


 フリータイムで、積極的に話し掛けられない参加者にとっては、とにかくつまらないだけで、時間とお金の無駄もいいところでした。


 それに、話し掛けられない自分に対して自己嫌悪に(おちい)ってしまうのです。


 旧来のパーティーでつまらない思いをした方は、それっきり行かなくなったという話をよく聞きました。


 美形で会話を苦にしない参加者にとっては、いかにサクラを回避(かいひ)出来るかだけが問題点だったと思います。


 昔から出会い系の(たぐい)は、悪い(うわさ)が広まると業績に大きなダメージを受けます。


そうなると、半年以上に渡って鳴かず飛ばずの時期か続くのです。


その多くの理由が、会場に行ってもほとんど女性がいなかったという事でした。


 多くの運営会社は、女性参加者の確保に頭を抱えていました。


 何せ、参加費無料でも女性は集まらなかったからです。


 すると、今度はパーティーに参加すれば食事無料というのを前面に打ち出しました。


ですが、効果は今一つでした…。


 そこで、一部の運営会社は、安定的に女性の参加者を確保する為、サクラを入れる様になりました。


ただ、運営会社とサクラは、“人数合わせ”と“日当を貰う”というだけの関係でした。


なので、真剣にお見合いパーティーに参加している男性にとっては、サクラの存在はバレバレでした。(ほとんどのサクラは、一般女性としての演技が出来なかったので…)


正義感の強い男性は、


「こいつ、どう考えてもサクラだろ!」


と、会場係に詰め寄る事もありましたが、例えサクラでもサクラと認める事はありませんでした。


運営側は、評判が悪くなる事を恐れて、次第にサクラを入れないようになりました。


 それで、サクラを入れなくても済むように、開催日は参加者が特に多く集まる金曜日と土曜日のみのお見合いパーティーが多くなりました。


 そんな事になっていたとは露知(つゆし)らず、ぼくは吞気(のんき)にゲームセンターで遊んでいました。


 その帰りに、ぼくの携帯電話に着信がありました。


 咄嗟(とっさ)に画面を見ると、誠司君からの電話でした。


 ぼくは、即座に携帯電話の開始ボタンを押しました。


 そこで、何の用件かと(たず)ねると、“今回はお見合いパーティーじゃないから安心してよ”と、軽く言ってきました。


 話を聞いてみると、“(たま)には酒でも飲もうぜ”という飲み会のお誘いでした。

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