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夢も現実も男3人彼女さがし  作者: きつねあるき
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第5部、第3章~カップリングか合コンの選択

 フリータイムの最後には、ぼくの前にも実君の前にもお話し待ちの女性の列が出来ていました。


 それだけ、このパーティーには若い男性が少なかったという事なんでしょう。


 今、僕らの目の前にいる女性は、滑り込みセーフで話せる事に喜びを(かく)しきれない様子でした。


 あと1歩のところで話せなかった女性達には未練が残った事でしょう。


 しかし、ここでも誰も帰ろうとはしませんでした。


 それどころか、2番目以降に並んでいる女性達は列に留まっていても何の意味もないのに、何故かその場から離れようとはしませんでした。


 誠司君は、向こうの方に行ってしまったので、どうしているか分かりませんでした。


 そうこうしているうちに、次にぼくとお話しする女性2人が1歩前に近付いて来ました。


 女性6「初めまして、私は4番の名村昌枝(まさえ)です」


 女性7「あっ、私は5番の吉成九美(くみ)です、どうぞよろしくね」(以後、昌枝、九美さんと表記します)


 剛史「こちらこそよろしく、ぼくは20番の鈴木剛史と申します」


 昌枝さんと九美さんは、うちら3人より1つ年下でした。


 2人共スリムな体形で、肩迄伸びた髪の毛が艶々(つやつや)としていました。


 昌枝さんは、全体的に日に焼けていて、南国風の美女といったところでした。


 目と口のパーツが大きめで、活動的で親しみやすい印象でした。


 九美さんは、ほんのりと日焼けをしていて、髪の毛の先が茶色っぽく変色していました。


 顔の輪郭(りんかく)はベース型で直線的なパーツが多く、クールな印象を兼ね備えていました。


 昌枝「ふ~、やっと若い人と話せた~」


 九美「そうそう、さっきまで二回り以上は年上のおじさんと話していたからね~」(一回りとは十二支が一回巡る年数=12年、よって二回りとは24年)


 剛史「そうでしたか、それで何を話していたんですか?」


 昌枝「俺は会社では偉い人なんだ!って事を延々と…」


 九美「あと、俺は大きな家を持ってるから君とだったらすぐに一緒に住んでもいいよ!とかね」


 剛史「それで、何て答えたんですか?」


 九美「確かに貴方の財産は(すご)いんだけど、お父さんと同じ位の年齢の人はちょっとね…、って言って断っちゃったわ」


 昌枝「おじさんは脂汗をかきながらしょんぼりとしてたけどね」


 剛史「そこまで年が離れていると物怖(ものお)じしちゃいますよね」


 九美「年上がダメって訳じゃないけど限度があるのよね…」


 剛史「確かに…、それにしても今日は年齢層が高い男性ばかりですね」


 昌枝「そうなのよ~、今日はどうなっちゃっているのかしら?」


 剛史「ぼくも驚きましたよ」


 九美(不意に髪の毛をかき上げながら)「ねえ、私達ってどう思う?」


 剛史「いや~、こんなにグラマーな方から声を掛けられて(うれ)しいですよ」


 昌枝「あら、お上手ねぇ」


 九美「私達、海に行ったらナンパされまくりだけど、面倒臭いから全部断っているのよね」


 剛史「えっ、何で?そんなにモテるのに…」


 昌枝「どうせ、向こうからしたら遊びでしょ!」


 九美「そうよ、あんなのに引っ掛かったらお終いよ!」


 剛史「けっこう、真面目なんですね」


 九美「こう見えても、花嫁修業中だったりするのよね」


 昌枝「私も少しは花嫁修行をやっているわ!」


 剛史「へ~、そうなんですね」


 九美「そうよ、私と付き合ってくれたら損はさせないんだから!」


 ここまでの話の流れはいい感じで進んでいました。


 そこで、今回も簡単にアドレス交換が出来るんだろうと思い、ぼくの方からこう切り出しました。


 剛史「僕らは3人で来ているんですが、近いうちに合コンでもしませんか?」


 昌枝「ええ、是非とも合コンをしてみたいわ!何なら明日でもいいですよ!」


 剛史「いやいや、早くても来週以降だと思いますよ」


 九美「プっ!何で昌枝はそんなにがっついてんのよ」


 剛史「それと、もしよかったらぼくとアドレスを交換しませんか?」


 と、言うと、九美さんが真顔になって、


 九美「それは、私とカップルになったらいいですよ」


 と、返答してきました。


 剛史「カップリングしなければアドレスは教えてくれないんですか?」


 九美「ええそうよ!遊ばれるだけだったら嫌だもの」


 昌枝「私達見た目がこんなでも、いい加減な付き合いをされて捨てられたくはないのよ」


 剛史「恋愛には真剣なんですね」


 九美「そうよ、分かってくれた?」


 剛史「バッチリね」


 昌枝「私が言うのもなんだけど、九美ちゃんは本当にいい子なのよ!だから、本気で可愛がってあげてよ」


 九美「ちょっと~、お世辞は止めてよ!照れるじゃない!」


 剛史「ははははは~」


 九美さんは、()ずかしそうな仕草をしていました。


 それを、昌枝さんが微笑(ほほえ)みながら見ていました。


 そこでぼくは考えました。


「まあ、ノルマのアドレス3件も取ったしな…」


「ここで九美さんとカップリングしたら、みすみす2件の合コンを逃す事になるんだろうな…」


 そう思いながらも、


 剛史「本当ですか、ぼくで良ければ喜んで!」


 九美「鈴木さんは20番ですよね」


 剛史「え~と、九美さんは何番って書けばいいんだっけ?」


 九美「私は5番だからね、ちゃんと覚えておいてね!」


 剛史「OK!もう覚えたから」


 とまあ、その場は取り(つくろ)う事にしました。


 そこで、フリータイムは終了しました。


「ピ、ピィィィ--!」


「これにてフリータイムは終了で~す」


 会場係の方々は、男女別々に座席の案内をしていきました。


 すると、会場の片隅で待機していた司会者が、ゆっくりとセンターマイクに向かいました。


「え~、皆様お疲れ様でした」


「この後にマッチングカードをお配り致します」


「そこに、カップルになりたいと思う異性の番号をお書き下さい」


「カップリングカードはこれより5分後に回収致します」


「それが終わりましたらカードの集計を致しますので、お席に着いたまましばしお待ち下さいませ」


 ぼくと実君は、このタイミングでやっと誠司君と合流しました。


 誠司君は、(うれ)しそうにこう言ってきました。


 誠司「完璧にやり切ったよ!俺はアドレス5件取ったぜ~」


 実「やるな!今回お前はやたらとモテたな」


 誠司「でさ~、実君はどうよ」


 実「いやあ、それがさあ~、アドレス交換は1件だけだったけど、女性3人組と来週末に合コンの約束をしたよ」


 誠司「えっ、なんで1件だけなんだよ!」


 実「それがさぁ、女性3人組に囲まれちゃって交代の時もその3人のうちの誰かと話していて、その中の1人からの1件だよ」


 剛史「その人の名前と番号は覚えてる?」


 実「ああ、そりゃあ覚えてるさ」


 誠司「それで、何を話していたんだよ」


 実「今、それを話している時間はある?」


 剛史「まだ、カードの回収も終わってないから大丈夫だと思うよ」


 実「じゃあ、話すけどさ~、俺とずっと話していた女性は、59番の桝本澄禾(ますもとすみか)さんと、60番の谷島嘉月(かつき)さんと61番の祝山一栞(ほりやまいおり)さんだよ」


 誠司「何、どれどれ」(ぼくのプロフィールシートを(のぞ)き込む)


 実「(ちな)みに、俺とアドレス交換したのは谷島嘉月さんなんだけどな」


 剛史「それで、皆さんどんな人だったの?」


 実「そりゃ、容姿端麗(ようしたんれい)の人達だったよ」


 剛史「じゃあ、芸能関係のお仕事をしていたりして」


 誠司「さすがに、芸能人ではないだろ!」


 実「そりゃそうだろ!」


 剛史「でも、美人程性格がキツいって聞くけど、その辺はどうだったの?」


 実「いや、皆さん思ったよりも優しかったよ」


 誠司「それで、結局は何の職業だったんだよ」


 実「それが、東京の霞が関にあるエリートが終結する省庁で、お茶()みのアルバイトをしてるんだって」


 誠司「あ~、聞いた事があるぞ!週刊誌に時給1500円でお茶汲みのバイトがあるって」


 剛史「ぼくもその記事見た事あるよ!何でも彼女達は選りすぐりの美人揃いなんだよね」


 誠司「それで、実際にはどうだったんだよ」


 実「3人共、(うわさ)通りの美女だったよ、お前らもお見合い回転寿司の時に見ているだろ!」


 剛史「何か、女性陣からの圧が凄過ぎて1人1人の顔なんて覚えてないよ」


 誠司「多分あれだろ、すげえ美人なのに若干顔色が悪かった女性達だろ」


 実「それでも、かなりレベルが高かったよな」


 剛史「あ~、ぼくは速攻で無理だと思って()えて外した人達だよ…」


 誠司「だったら、何でそんなお人がお見合いパーティーなんかに出ているんだよ」


 実「そうそう、それなんだけどな、実際はお茶汲みなんてのは名目上だけで国家公務員の福利厚生の一環なんだってさ」


 剛史「ん、それはどういう事なの?」


 実「早い話、国家公務員といえど男ばっかだから、其奴(そいつ)らの嫁さん候補としてお茶汲みをしてるんだって」


 誠司「それでも、いいバイトじゃないかよ」


 実「それが、そうでもないんだよ」


 誠司「えっ、どういう事?」


 実「そこにいる女性達は、安定した職業のお嫁さんになるのを夢見てバイトしているんだけど、男性職員のプライドが高くて誰も手を出してこないんだってさ」


 誠司「は~、そんな裏があったのか…」


 実「それで、嫌になってバイトを辞めたって言ってたぜ」


 剛史「まあ、仕方ないよね…、手を出してくれないんなら只管(ひたすら)お茶汲みするだけだもんね」


 実「それに、バイトは1年契約だからそうそうチャンスは転がってこないらしいぜ」


 誠司「それでも、中には1年以内に国家公務員と結婚する女性もいるんじゃないの?」


 実「いるにはいるらしいけど少ないってさ」


 誠司「じゃあ、どうすれば親密になれるんだよ」


 実「それは、どうにかしてアフターで2人きりになれるかだよ」


 剛史「成程、退社時間までじっと待つんだね」


 実「それでも、男に用事があればあっさりと断られるんだけどな」


 誠司「う~ん、なかなかうまい具合にはいかないのか~」


 実「度胸のある女の子は、お目当ての男の部署に頻繁(ひんぱん)に出入りするんだってさ」


 剛史「お役人さんは、女性だらけの給湯室にはビビッて来なさそうだもんね」


 誠司「それでも、頑張りによっては将来性は抜群なんだろうな」


 実「まあ、そうなったら羨望(せんぼう)の眼差しを向けられるんだろうけどな」


 剛史「でも、現実は(せま)き門なんだね」


 実「そのお陰と言っちゃあなんだけど、今月中にはかなりレベルの高い合コンが組んであるんだから楽しみにしておけよな!」


 剛史「うん、とってもね!」


 誠司「そんで、剛史の方はどうだったん?」


 剛史「こっちはアドレス交換3件で、3人組の1人からと2人組の2人からだよ」


 誠司「ほ~、随分と頑張ったじゃないかよ!」


 剛史「まあね、合コンの約束も今月中に2件とったよ!」


 実「マジかよ!毎週のように合コンじゃないかよ!」


 剛史「ただ、困った事に5番の女性から、カップリングにならないとアドレス交換してくれないって言われてるんだよ…」


 誠司「まあ、あれだけモテれば試されるわな…」


 剛史「それで、アドレス交換をするかどうか大いに迷ってるんだよね…」


 ぼくがそう言うと、誠司君は真剣な顔をして、


 誠司「要するに、目先のカップリングを取るか今月中の合コン2件取るかって事だろ?」


 と、言ってきました。


 剛史「まさしくそれで悩んでるんですよ~」


 実「確かに難しい選択だな…」


 誠司「だったら、俺はカップリングを選ぶから、剛史の方は合コン2件にしない?」


 と、誠司君が提案してきました。


 剛史「誠司君は合コンの約束をしていないの?」


 誠司「それが残念ながら…、全部勢いで取ったアドレスなんだけどさ、1人1人のプッシュが強すぎて合コンに誘うとかっていう空気じゃなかったんだよね」


 実「それはご馳走(ちそう)さまでした」


 誠司「でも、その中に気になる人がいるんだよね」


 実「だったら、その人を選べばいいじゃんかよ」


 誠司「剛史もそれでいいか?」


 剛史「そんなの言うまでもないでしょう!それにうまくいったら初の白星だしね」


 誠司「悪いな、剛史は合コン経由で彼女を作ってくれよな」


 剛史「いいっていいって!その代わり合コンはフル出場でよろしく」


 誠司「OK!任せとけ!」


 ぼくは、最初にアドレスを貰った(ひかる)さんがなんとなく気になっていたので、それでOKする事にしました。


 カップリングの発表前に、アドレス交換をした女性がお互いに被ってないかどうか、念の為チェックしてみました。


 その結果、僕ら3人が交換した9件のアドレスに被りは1件もありませんでした。


 更には、アドレス交換した女性のお友達との被りもありませんでした。


 ここで初めて怪しまれずに合コンが組めそうだなと思いました。


 すると、誠司君は目を輝かせながらこう言いました。


 誠司「被り無しでけっこうアドレス取ったね~」


 実「まあ、今回は平均でアドレス3件取ったから御の字でしょう」


 誠司「それじゃ、俺はカップリングにチャレンジするから、剛史君と実君は合コンのセッティングを頼むよ!」


 そう言うと、カップリングカードに相手の番号を書いて会場係の方に渡しました。


 ぼくと実君は、お相手の番号を無記名にしてカードを渡しました。


 司会者がセンターマイクの前に立つと、会場係の方が集計結果が書かれた紙を渡しました。


「うっほん!」


「それでは、カップリングを発表します!」


「男性3番、女性16番の方!前にどうぞ~」


(2人が前に出て来る)


「え~、それではお2人にインタビューをしてみたいと思います」


(1~2分間インタビューをする)


 と、いった具合で発表は進んでいき、次々とカップルが誕生しました。


 6組目の発表になった時、次は誠司君じゃないかと思いましたが違いました。


「という事は最後の組か!」


 思った通り、7組目に誠司君の番号が呼ばれました。


「男性18番と女性48番の方!前にどうぞ~」


 それが、本日最後のカップリングでした。


「カップリングが成立致しまして、誠におめでとうございま~す」


「それでは、お2人にインタビューをしてみたいと思います」


「まずは、男性の方から番号とお名前と簡単な自己紹介をお願いします」


 誠司「はい、18番の篠原です!今日はここに来て本当に良かったと思っています」


 誠司「年齢は25歳で会社員です」


 誠司「趣味はスポーツ観戦と走る事です」


「はい、ありがとうございます」


「続きまして、女性の方の番号とお名前と簡単な自己紹介をお願いします」


 女性6「私は48番の河野絵美佳(かわのえみか)といいます」(以後、絵美佳さんと表記します)


 絵美佳「年は24才で、この近くで事務員をやっています」


 絵美佳「あとは、料理と裁縫(さいほう)は得意なので男性の方には喜んで頂けると思います」


「はい、ありがとうございました~」


「え~、最後のカップリングになられた方は、恒例(こうれい)のキスとなっておりま~す!」


「それではどうぞ~」


 と、司会の男性が言ったところで…、


 照明が暗くなり、中央にあるミラーボールが回転し始めました。


 そこに濃いピンク色のスポットライトが照らされました。


 それに合わせるように、ゆったりとしたムードミュージックが流れ出しました。


 誠司君と絵美佳さんは、(うなが)されるまま恥ずかしそうに軽くキスをしました。


「はいどうも~!」


「恒例の最後のキスにご協力頂きありがとうございました~」


「え~、本日のカップリングは7組でした~」


「今回、残念ながらカップリングにならなかった方も、またパーティーに参加して下さいね」


 その後、司会の男性は次回のパーティーの宣伝を一頻(ひとしき)り伝えてきました。


「それでは、これにてカップリングパーティーを終了致しま~す」


「お帰りの際は、エレベーターですと定員に限りがございますので、なるべく階段をご利用下さいませ」


 会場内の照明が通常通りに戻り、パーティーはお開きになりました。


 ぼくは、今までの光景を思い浮かべながら、


「やっぱ、カップリングって魅力的(みりょくてき)だなぁ」


 という感想を抱きつつ、ゆっくりと会場の出口に向かいました。

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