【初編】第5部~3週間ぶりのお見合いパーティー 第1章~逆告白パーティーに誘われて
池袋のお見合いパーティーに行ってから、かれこれ3週間位は経った頃に、誠司君から電話がありました。
確か、その日は水曜日だったと思います。
誠司「今度の金曜日に実君も来るから、またお見合いパーティーに行こうぜ!」
剛史「今度の金曜っていうと2日後って事?」
誠司「そうそう、急な誘いだとは思ったけど、実君がなかなかGOサインを出してくれなかったからさ」
剛史「そうだったんだ…」
誠司「もう、そっちにも給料が入ったんだろうし、ここらでそろそろ始動しようぜ」
ぼくは言葉に詰まりながらも、
剛史「今までの事を思うと、あんまり乗り気じゃないんだけど…」
と、小声で言い返しました。
すると、誠司君は語気を強めてこう言ってきました。
誠司「甘いな!今度のパーティーは1ヶ月に1度の逆告白の日だから、うまくいけば男が告白されるんだよ」(逆告白→女性から男性に告白する事)
剛史「でも、今までに告白された事なんか1回もなかったよ!」
誠司「まあ、そう言うなって!しばらく振りなんだからいいじゃないか」
剛史「どうせうまくいきっこないよ!」
誠司「今まで通りのパーティーならダメかもしれないけど、今回のは趣向が違うから行ってみようぜ!」
剛史「じゃあ、今回のは何が違うっていうんだよ!」
誠司「俺も詳しくは知らないけど、逆告白のパーティーだと女性がナンパ待ちだけに徹していて、ずっと動かないって事は無さそうだよ」
剛史「それでも、うちらが人気になる事は無いんじゃない?」
誠司「でも、最初の頃と比べたら経験値は上がっただろ?」
剛史「それはそうだけどさ…」
誠司「一応、500円引きのクーポンもあるからさ」
剛史「でも、最近は疲れ気味なんだよなぁ…」
誠司「まあ、今回はいつもとはシステムが違うから、そう言わずに行こうぜ!」
剛史「う~ん」
誠司「剛史君さえOKしてくれたら、逆告白のパーティーに申し込むからさ」
ぼくは、どうしようかと迷いましたが、クーポンで幾らかでも安くなる事が分かったので、“まあ、それならいっか”と思い承諾する事にしました。
剛史「ところでさ、時間と場所は決まってるの?」
誠司「ああ、その辺はバッチリだぜ」
剛史「じゃあ、ちょっと待ってて!メモを取るから」
紙とペンの用意が出来ると、詳細を聞き始めました。
剛史「OK!メモの準備は出来たから」
誠司「会場は新宿にある雑居ビルの7階だけど、分かりにくい場所だから俺が案内するから」
剛史「了解、その辺は任せるから」
誠司「それと、開始は19時だから新宿の東口に18時30分集合でよろしく」
剛史「東口のどの辺?」
誠司「正面にあるガードレールの辺りにいてくれよ」
剛史「了解」
誠司「それじゃあ、またな」
そう言われると、電話が切れました。
そして、お見合いパーティーの当日に、いつもの3人が揃いました。
会場に向かうと、徒歩5分以内にビルの近くに着きました。
実「何か、思ったよりも着くのが早いな」
誠司「チッチッチ、このビルの入り口が見える所でどんな奴が入って行くのか観察するんだよ」
剛史「へ~、そんな事も考えていたんだ~」
誠司「当たり前だろ!もう、戦いは始まっているんだからな」
僕らは、そのビルから5メートル位離れた所で入り口付近をじっと観察していましたが、出入りが多くて参加者が誰なのかよく分かりませんでした。
それから、しばらく時間が経過しました。
誠司「ヤバい!そろそろ行かないと席がなくなっちゃうな」
実「そうだな、ここらで出陣だな」
僕らは、5人乗りのガタガタとするエレベーターに乗って7階に向かうと、そこは渋谷や池袋のお見合いパーティー会場とは明らかに雰囲気が違いました。
普通、お見合いパーティーが始まる前は、薄暗い会場内でアップテンポの曲が流れています。
それも、重低音が響き渡る大きなスピーカーで、センターマイクの左右にあるのが定番の配置です。
だから、スピーカーの近くにいると、周りの声が全く聞こえなくなってしまうので、その辺りの席は避けるようにしていました。
それが、今回の新宿の会場では、何故かスローテンポのジャズが流れていたのです。
しかしながら、会場内でよく見掛けるBOSEやKENWOODのスピーカーがある訳ではなく、低音量でジャズが流れていたのです。
会場の右側にはカウンター席が並んでいて、元々はBarか喫茶店のような造りでした。
どうやら、BGMとしてかかっているジャズは、クラシックレコードプレイヤーから流れているようでした。
その空間が、まさに昭和の雰囲気を醸し出していました。
それが、見た事も無い筈なのにどこか懐かしいような感じがしました。
うちら3人が、入り口付近に佇んでいると、そこへ恰幅のいい黒服の男性が出迎えてくれました。
「ようこそ!お待ちしておりましたよ」
「遠方よりお越し下さいまして、誠にありがとうございます」
「本日は逆告白のパーティーになります」
「開始迄15分弱ですので、左側にあるお座席でお待ち下さいませ」
僕らは、指定された座席に腰掛けました。
剛史「ふ~、何とか迷わないで着いたね~」
誠司「一応、このビルの前迄は下見に行ったからな」
そこで、実君は室内を満遍なく見回しました。
実「何だよ、今回の会場はやけに古臭いな…」
剛史「そう言われればそうだね」
誠司「あれ?思っていた感じと違うような…」
剛史「ぼくにとっては、ユーロビートがガンガンに鳴っている会場よりはいいけどね」
誠司「あれさ、微かにコーヒーの香りがしないか?」
実「そうかぁ?俺には何も匂わないけどな」
剛史「ぼくには木の匂いが強く感じるけど」
実「まあ、ここの部屋の造りはほとんど木で出来ているからな」
誠司「あれ?ここって新宿だよね…」
実「そりゃそうだろ!俺ら駅前から歩いて来たんだろ」
誠司「何か、雑誌に載ってた感じとは違うんだよな…」
剛史「照明のトリックとか?」
誠司「いや、もっと垢抜けている感じだったような…」
剛史「因みに、その雑誌って持ってきているの?」
誠司「いや、家に置いてきちゃったよ…」
剛史「何だ~、それじゃ確かめようがないじゃない」
誠司「だけど、会場の地図と住所は控えてきたから」
実「なら、それで合っているんじゃねぇの?」
誠司「俺、ちょっとビルの外に出て確かめて来るよ!」
剛史「ちょっと待ってよ!最近のパーティー会場は1度入ったら終わるまでは出られないから!」
誠司「確かにそうだよな…」
実「まあ、新宿の雑居ビルには古い所も多いからな」
誠司「もしかしたら、俺が雑誌で見たのは小洒落た他の会場の写真かもしれないな」
実「まあ、ありがちだな」
誠司「それにしても、この会場何か変な臭いがしないか?」
剛史「えっ、どんな?」
実「そうかなぁ?俺には何も感じないけど」
誠司「何だろう…、さっき絵の具のような臭いがしたんだけど…」
実「だとしても、そんなに影響ないだろ!」
剛史「そうだよ、ちょっと落ち着いた方がいいよ」
誠司「悪い、ちょっとトイレに行って来るよ」
実「どうぞごゆっくり」
誠司君は、ふらふらしながら入り口側に向かいました。
そして、受付係の人にトイレに行く旨を伝えると、入り口を出て廊下の先に向かいました。
そこで、ぼくは一抹の不安を抱きました。
もしかしたら、そのままビルの出入り口付近に行ってしまったのだろうか?
だとすると、なかなか戻って来ないかも知れないな…。
しかし、その心配には及ばず、数分後には会場内に戻ってきました。
誠司「トイレの窓から見えた景気は確かに新宿だったよ…」
実「当たり前だろ!どっかにワープしていたらマジ怖いわ!」
剛史「でも、何か昔の浅草っぽい雰囲気はあるけどね」
誠司「何だ、お前もそう思ったのかよ…」
剛史「何でもいいけど、そろそろ時間じゃない?」
実「よし!あと5分後にはパーティーが始まるぞ!」
誠司「何かゴメンな、こんなに古臭い会場だとは思わなかったから…」
実「別にいいよ、逆告白のパーティーは前々から興味があったからさ」
誠司「クーポンは使えたけど、他の会場の方が断然綺麗なんだろうな…」
剛史「それでも、来たからにはやってやるか~!」
ぼくは、気合いを入れました。
実「そうそう、その意気込みだよ!」
誠司「そうだな、切り替えてやっていくか!」
ぼくは、前回の反省も踏まえながらも、そっと両目をを閉じました。
そして、深呼吸をしながら念じました。
「願わくば我にサクラの存在を示したまえ」
今回ばかりは、吐き出す息を長めにして心を落ち着けました。
ゆっくりと目を開くと、段々と気合いが入ってきました。
「よし!今回もサクラを見分けてやるぞ!」
ぼくは、そう思いながら、会場内をそれとなく見回してみました。
「ん?何だっていうんだ…、今回はサクラの気配が全くしないぞ…」
「ヤバい!ぼくにはサクラを見分ける霊感が無くなってしまったのか…」
「そうなると、今回は自力でサクラを見分けないとならないのか…」
今度は、少し焦り気味に会場内の参加者を見回しました。
「う~ん、やっぱり何も感じない…」
「いや待てよ、参加者以外も仕込みがあるかチェックをしないと…」
咄嗟に、受付係の女性を上目遣いで見ましたが、怪しい素振りはありませんでした。
そこで、今度は霊感を使わずに会場に集まっている皆さんを隅々まで見回してみました。
すると、予想外な事が判明したのです。
その時のぼくの心の声が以下になります。
「は~ん、成程ね~」
「サクラが見分けられなかったのはそういう事だったのか~」
「やっとこの状況が分かったよ!」
「今回はサクラを入れる必要がないお見合いパーティーって事なのか~」
「マジか!こんなのは初めてだよ」
逆告白のパーティーでは、ざっと見た感じでも圧倒的に女性が多かったからです。
男女比でいうと、男性20人に対して女性は60人以上いました。
これまでのお見合いパーティーでは、男女同数だった事はあっても、女性の人数が男性を上回る事はありませんでした。
ぼくは、場の雰囲気に飲まれつつも、今までのパーティーに参加していた女性陣はこんな比率で過ごしていたのかと思い、とても感慨深いものがありました。
因みに、男女比で女性が多い時にはサクラは不要なのです。(参加女性が多いのですから、当然と言えば当然なのですが)
逆に、男性が多い時には何人かのサクラが登場するのです。(ここでのサクラは女性に限定します)
何故なら、男性の参加者が多数の時に女性のサクラを入れないと、司会者や会場係の方が男性陣の一部からタコ殴りにあうかもしれないからです。
男女比のクレーム対応については、大概の場合一部返金をする事で収まります。
しかし、高飛車な態度で返金を拒んだりすると、会場係の方が室外に連れ出されて4~5人の男性に囲まれ殴る蹴るの暴行を受けたりするのです。
これが原因で、パーティー会社を辞める司会者もいました。
やはり、運営側が利益を出したところで、負傷者が出てしまっては元も子もありません。
それに、やられた側はいつまでも覚えているので、そんな所に職場復帰はしたくないでしょう。
一方、女性参加者が多数の場合は、司会者や係員を数人で囲って暴力行為をする事はないので、男性のサクラを入れる事はしていませんでした。
他には、サクラが女性ばかりなのは何故かというと、高額な男性の参加費からその費用を捻出する事が出来るからなのでしょう。
それにしても、ここまで女性陣が多いパーティーは初めてでした。
そうなったのは、恐らく上記の理由からなのでしょう。(女性が多くてもサクラを入れない事)
あとは、女性のドタキャンが特に多かった時期があったので、際限なく参加を認めていたからなのかも知れません。
それと、逆告白のお見合いパーティーだからこそ、女性から遠慮せずにアプローチが出来るのが魅力だったのかも知れません。
そして、時間通りに逆告白のパーティーはスタートしました。
司会者は、先程僕らを迎えてくれた恰幅のいい黒服の男性でした。
「え~、皆々様、大変長らくお待たせしました~」
「私は本日の司会進行を務めます岡辺と申します」
「え~、本日は逆告白のパーティーでございます」
「つきましては、今回ばかりは男性側のリードに期待されるのではなくて、女性からの積極的な行動がキーポイントとなります」
「どうぞよろしくお願いします」
その言葉を聞いて、ぼくは思いました。
「逆告白といっても、いいところ最後のカップリング発表の時に女性から男性に告白するだけだろう」
そう思っていたら、その考えは根底から覆されました。
通常のお見合い回転寿司では、女性が内側の円になり、男性が外側の円になるのですが、男女比が逆転してしまった為に円の陣形も逆になりました。
ここで、初めて内側の円でお見合い回転寿司をする事になったのですが、外側にいた時よりも断然圧を感じました。
それは、外側にいる人数の方が圧倒的に多いからです。
因みに、外側の円になった場合だと何人かはお話しが出来ないので、会場内には待機席が用意してあります。(会場の四隅のどこかには待機席があります)
いつもなら、四隅に行く度に待機席で待たなければならないので、イライラしつつも小休止が出来たのですが、今回のパーティーではその逆でした。
男性陣は、休む事なく全ての女性と話し終えると、喉がカラカラでした。
その時に、直ぐにでも水分補給が出来れば一息つけるのですが、間髪容れずにフリータイムに突入されると辛いものがありました。
そんな不安を抱いていると、2人のボーイさんがトレーに乗せたドリンクを、全員に振る舞ってくれたのです。
「これより、ドリンクのサービスを開始致しま~す」
「冷たいジュースかお茶はいかがですか~」
「2つ下さい」
「こっちもこっちも!」
このタイミングでのフリードリンクは大好評でした。
実「ふ~、これで何とか生き返った~」
誠司「この後は、フリータイムで嫌われ続けるだけなんだろうな…」
実「おいおい、この男女比でそれはないだろう」
剛史「でも、男女比に不満を募らせた女性陣が半分以上は帰っていくんじゃない?」
誠司「そうなったら、俺の予想通りになるんじゃねぇの?」
実「まあ、それは始まってから考えようぜ」
そんな事を話していると、司会の方がフリータイムの開始を高らかに宣言しました。
「それでは皆様!フリータイムのスタートでーす!」
ぼくは、多くの女性陣が途中退席するものだと思っていました。
しかし、この時点で出口に向かった女性は1人もいませんでした。
「あれれぇー、このままの人数でフリータイムを始めるのかな?」
「だとすると、どんな展開になるのかな?」
ぼくは、固唾を飲んで見守りました。
すると、フリータイムの開始から数秒も経たないうちに、お洒落な服を着た女性3人組から、
女性1「今、お話ししてもよろしいでしょうか?」
と、うちら3人に声を掛けてきたのです。
それも、フリータイム開始と同時に3人で走って来たのです。
それには、僕ら全員が面食らいました。
誠司「えっ…、あ~、全然OKっすけど」
誠司君は、何とかそう返答したものの、戸惑いは隠しきれませんでした。
女性1「私は51番の赤松美夜で、こっちにいるのが52番の高代葉月で、53番の子は真崎妙子っていいます」(以後、美夜、葉月、妙子さんと表記します)
美夜「どうぞよろしくね」
誠司「どうも、こちらこそ」
葉月「あの、皆さんはどんな繋がりの方なんですか?」
誠司「うちらは、大学時代の同級生ですよ」
妙子「へ~、大学に行ったんだ!いいな~」
誠司「でも、散々先輩に飲まされたし、卒論は原稿用紙300枚以上だよ」
妙子「え~、よくそんなに書けましたね」
葉月「頭いいんだ」
誠司「まあまあかな、ほとんど良だったらね」
美夜「それで、大学時代はモテたんですか?」
誠司「それが、今に至るまで全然ですよ…」
葉月「でも、今だけはモテると思うわ!」
美夜「そうよ!私の見立てだと今日の一番人気は確実だわ」
誠司「そうかな~、全く実感ないんだけど…」
と、いった感じの会話が、女性3人組の主導で交わされていました。
実君は、雰囲気の違いを察して、ぼくにこう言ってきました。
実「今回の男女比は圧倒的に女性の方が多いし、うちらでもいい勝負が出来んじゃないかな」
剛史「そうだね、今日はこれまでにない展開だよね」
実「これだよこれ!こういうのを待っていたんだよ」
剛史「そうそう、女性の方からこんなにも積極的に話かけてくれるんなら、それだけでもここに来た価値があるよね」
実「俺なんて、いつもパーティーの前にはフェロモン香水をつけていたのに全然だったからな」
剛史「あ~、あれか~、ぼくと誠司君にもつけていたよね」
実「まあな、効果はなかったけどな」
誠司「お前らな~、無駄話してないでちゃんとこっちに来て話せよ」
剛史「ご、ごめ~ん」
実「悪い、つい浮かれちゃって…」
その数分後、うちらにとってもは初の出来事が起こりました。
それは、うちら3人に順番待ちの女性が並んでいるのです。
こんな事は、圧倒的な1番人気にでもならない限り、見る事がない光景でした。
僕らは、目の前にいる女性から目をそらしてしまうと、後ろに並んでいる女性達と目があってしまうので、今話している女性とはお互いを見つめ合うようにして話していました。
ただ、うちら3人にとっては、何をどうしても断られ続けた過去が引っ掛かってしまい、交際を申し込めずにいました。
そして、残念そうに去っていく女性の後ろ姿を見送るのみでした。
そのタイミングで、ぼくは他の男性陣が気になったのでチェックしてみました。
すると、驚いた事に男性陣は皆50~60歳位のおじさんばかりで、濃紺または茶色の背広を着ていました。
彼等は、額に脂汗を滲ませつつ、頭を掻きながら話していたものの、女性陣からの受けはいまいちでした。
「ふーん、成程ね」
「だから、うちらでもいい戦いが出来ていたのか…」
「ここは、遠慮している場合じゃないな」
「一気に勝負を決めないと」
ぼくは、そう思い直しました。
お見合いパーティーも中盤に差し掛かった頃、やっと僕らに並んでいた列が捌けました。
そこで、この合間を待ち兼ねていた誠司君が、ぼくと実君に小声で話してきました。
誠司「剛史君、実君さ~」
剛史「何、どうしたの?」
実「何だよ、気持ち悪いな~」
誠司「まあまあ、ちょっと聞けって」
実「それで何なんだよ」
誠司「今日みたいな日はさ~、滅多に来ないからさ~」
実「まあ、そうだな」
誠司「だから、ここらで荒業に出ようぜっ!」
実「はっ?それはどういう事」
誠司「分からないかな~」
剛史「残念ながら全く…」
実「いいから、勿体付けずに言えよ!」
誠司「それはな、カップリングの発表を待たずに片っ端からアドレス交換するんだよ!」(アドレス→ここではメールアドレスの事)
剛史「えっ、そんな事が出来るのかな?」
誠司「俺らがこんなにも人気になのに、出来ない訳ないだろ!」
実「成程な!今日の感じなら出来るかも知れないな」
誠司「いいか!1人ノルマ3件だからなっ!」
そこまで話したところで、早速、誠司君は近くにいた女性から声を掛けられていました。
女性2「ねえねえ、ちょっとお話いいかしら」
誠司「ちょっとじゃなくてもいいですよ」
女性2「えっと、私は11番の小森瑞季っていいます」(以後、女性2は瑞季さんと表記します)
誠司「あっ、どうも~、18番の篠原誠司といいます」
瑞季「さっきまで、凄く並んでいたからダメかと思ったわ」
誠司「そんなそんな、全然ですよ!俺なんて今までにモテた事なんか1度もなかったんですよ」
瑞季「あら~、そんな事を言って~、貴方の事をいいって言っていた女の子は他にもいたのよ」
誠司「マジで!それは嘘でも嬉しいね!」
瑞季「嘘じゃないわ!」
誠司「おおっ!俺も捨てたもんじゃないんだな」
瑞季「それより、奥のカウンターに置いてあるドリンクでも取りにいかない?」
誠司「それはいいけど、ちょっと待ってもらえないかな?連れに向こうに行く事を伝えてからでもいい?」
瑞季「いいわ、でも他の人に取られたくないから私も一緒に行くから」
誠司「大丈夫だよ、数秒だけだからさ」
誠司君は、僕らの方を横目で見ると、
誠司「じゃ、そういう事だから頑張れよ!」
と言い、小さくガッツポーズをしました。
その直後、ぼくにも話掛けてきた女性がいました。
女性3「あの~、今お話してもいいですか?」
剛史「ええ、大丈夫ですけど」
女性3「やった~、やっと男の人と話せた~」
剛史「え~、そうなんだ」
という感じの会話から始まり、ぼくはノルマの1件目を果たす為にスタートを切りました。




