第4部、第2章~サクラを見分ける霊感の落とし穴
それにしても、サクラを見分けた時の違和感って…、と思いながらも、カップリング発表の時間がやってきました。
そこで、やっとモヤモヤしていた何かが判明したのです…。
ぼくは、サ-ッと血の気が引きました。
「はぁ~、何で今頃になって気が付くんだよ…」
ぼくは、自分の詰めの甘さに頭を抱えてしまいました。
果たして、その違和感とは何だったのか…?
その説明の前に、池袋会場のお見合いパーティーの流れを振り返ってみたいと思います。
1、前に行った渋谷会場の時のような男女共に際立って人気になっている方はいませんでした。
よって、会場内は比較的落ち着いた雰囲気でした。
2、男女比を調整する為か、パーティーの開始が30分程遅れました。
そうなったのは、追加のサクラか一般参加者の遅刻によるものだと思われます。
その理由は、開始時刻の後にも何人かの参加者が受付けを通って行ったからです。
しかしながら、ぼくには最初に感じ取ったサクラ以外の判別は出来ませんでした。
3、開始が遅れた為、パーティーの所要時間は実質1時間半になりました。(本来は2時間制です)
開始が遅れた場合、その埋め合わせとして終了時刻が延びるケースがありますが、この日のパーティーでは会議室予約の関係なのか、お開きが後ろ倒しになる事はありませんでした。
4、よって、本来は2回あるフリータイムが、開始の遅れを調整する為に1回になってしまいました。(酷い話ですが一部の運営会社ではよくある事でした)
以上の事から、僕ら3人だけではなく、参加者全員が不利な条件で頑張るしかなかったのです。(サクラの方々は除きますが)
参加者の皆さんは、必死に猛アタックしていたものの、空回っている感はありありと見て取れました。
そして、時間の都合上、お互いをよく知り得ないまま1回こっきりのフリータイムが終了しました。(フリータイムは10分×3回のみ)
それどころか、今回のパーティーでは、お見合い回転寿司の後に配られる第一印象カードも配られなかったし、途中退出した七奈さん達が止められる事もなく完全スルーでした。
フリータイムの後半戦があると思っていた方々が大多数だったにも拘わらず、司会者は強引にカップリングの発表に移行しました。
それには、参加者の皆さんから不満が噴出しました。
「何だよ、時間短縮で同じ料金なのかよ!」
「せっかく粧し込んで来たのにあんまりだわ!」
「クソっ!何でフリータイムが1回だけしかないんだよぉ」
「いくら何でも短過ぎるだろ!」
「そうよ、頑張ったってろくに話せなかったじゃないの!」
「これじゃあ、時間が全然足りないじゃんかよ…」
「私達だって焦ったわよ!」
「こんなんじゃ納得いかないわ!」
「どうにかしてあと1回フリータイムをやらせろよ!」
「そうだそうだ!」
すると、司会の男性が浮かない表情でこう述べました。
「言いづらいお願いで大変恐縮ではございますが、あと15分で全員が退出しなければならないのです」
「どうか、ご理解ご協力の程よろしくお願い致します」
その言葉を聞いて、皆さんは意気消沈してしまいました。
しばらくして、実君が言いました。
実「今回もカップル数は0組じゃないかな…」
場の流れを遡れば、その発言は妥当な線だと思いました。
結局、七奈さん達が途中でバタバタと帰ってしまった為、男性陣の1部はお相手に溢れて諦めムードになるし、女性2人組のサクラはそれ程人気にはならなかったし、男女のお熱いシーンはほとんど見られませんでした。
そうなったのは、このパーティーの対象年齢が広く設定されていたからなのでしょう。
なので、いつもなら人気になりそうな若い女性に男性陣が殺到するような事がありませんでした。
それは、30代の男性が人気になりそうな若い女性を避けて、確実にカップルになろうと30代の女性にアタックしていたからだと思います。
ただ、30代の女性陣の理想が高かったのか、単純にマッチングしなかったのかは不明ですが、カップルに至る迄の壁は厚かったようでした。
剛史「そうだよね、こんなに冷めたパーティーは初めてだよ」
誠司「カップルが0組だったら一部返金して欲しいよな」
実「至極同意!パーティー会社の都合で30分も損したんだからな!」
剛史「いくらなんでも、あれは待たせ過ぎだよね」
実「待っている間に一部の男女が勝手にくっちゃべっていたけどな」(くっちゃべる→あれこれと喋り続ける事)
剛史「それでうまくいくのかと思ったら、始まってみれば全然ダメだったよね…」
実「でも、何だかんだ言っても、返金を要求する奴はいねぇと思うよ」
剛史「そういう時に限って、1組位はカップルが出来るんだよね」
実「そうかなぁ、俺は流れを見る限り相当厳しいと思うけどな」
誠司「フン!どうせ今回もカップリング無しだろ!」
実「もし、0組だったら、俺が参加料の一部返金をするよう交渉をするからさ」
剛史「やるのはいいけど、手荒な真似はやめてよね」
実「大丈夫だって、その辺は分かってるって!」
誠司「でも、大袈裟にはしたくないから、うちら3人分だけでいいからな」
実「OK、任せとけって!」
うちら3人は、今回もカップル数が0組だと高を括っていました。
フリータイム中に、ラブラブになっている男女はほとんど見掛けなかったし、男性陣はうちらと同様に迷走気味の方が多かったように感じました。
そもそも、パーティーの最後に提出するマッチングカードを出さなかった方が大半でした。
それだけ、このパーティーが盛り上がらなかったという事なんでしょう。
ところが、司会の方がセンターマイクの前に立つと、2組のカップルが誕生したと言うのです。
それは、うちら3人にとってかなり予想外の事でした。
「それでは、本日のカップリングを同時に発表します!」
「男性NO、1の方と女性NO、6の方」
「男性NO、2の方と女性NO、7の方」
「カップリングの成立おめでとうございま~す!」
「それでは、2組同時に前へどうぞ!」
それから、司会の方はそれぞれの男女に、カップルなった経緯を尋ねていました。(その内容が以下になります)
「1番の男性は、6番の女性のどこが気に入りましたか?」
「そうですね、とにかく可愛かったので」
「6番の女性は、1番の男性のどの辺が良かったですか?」
「家が近かったのと、性格が優しいところです」
「そうですかそうですか~、いいお相手が見つかって何よりです」
「はい、それでは次のカップルにもインタビューをしてみましょう」
「2番の男性が、7番の女性を選んだ理由は何でしょうか?」
「話していて気が合ったのと、彼女の事をもっと知りたいなって思ったからです」
「7番の女性は、2番の男性を選んだ決め手は何でしょうか?」
「このガッチリした体格と、将来について真面目に考えている事かな」
「はいはい、いろいろとごちそうさまでした~!」
「せっかくですので、もう少しだけインタビューをしてみたいと思います」
それからは、デートではどこに行きたいか?とか、お互いの好きな顔の部分とかを言い合ったりしていました。
普通なら盛り上がりそうなシーンなんですが、場の空気は重いままでした。
それは、他の人にとっては、それだけこのパーティーがつまらなかったからでしょう。
カップルになれなかった人達にとっては、面白くないインタビューが続いていました。
その時に、ぼくは少なからず不信感を抱いていました。
何故なら、本来は1組ずつ行うカップルの発表が同時に行われた事に対して、
「これは何かしらの意図があるな…」
と、思っていました。
司会者によるインタビューが終わると、それぞれのカップルが握手をするように促されました。
「は~い、それではカップリングになった記念に固い握手を交わしてもらいましょう!」
「ご準備はよろしいでしょうか?」
「皆様は拍手でお願いします」
「それでは、よろしくお願いしま~す」
カップルになった2組は、ガッチリと握手をしてから皆さんより先に退場しました。
そこで、誠司君が訝しげな顔をしながら言いました。
誠司「ん、待てよ…、あのカップルになった2組はフリータイムの時に全く話していなかったよな…」
剛史「えっ、そうなの?」
誠司「それなのに、何でカップルになれたんだろう?」
剛史「そんなのよく見ていたね」
誠司「俺は周りの様子も気を配っているからな」
剛史「ぼくは女性陣しかチェックしていなかったよ」
実「まあ、普通はそうなんだけどな」
誠司「ただ、彼奴らは男性陣の中でも明らかに浮いていたから気になっていたんだよ」
剛史「それでマークしていたんだね」
誠司「ま、そういう事」
実「そもそも、1、2番の男達が女性陣の誰かと話していたのを1回も見た事がないぞ!」
誠司「そうだよな、彼奴らは奥にある席でずっと2人で喋っていたよな」
実「何の為にパーティーに来たのかと思っていたら、いきなりカップルになるんだからな」
誠司「それ、正直驚きしかなかったよ…」
実「それと、何で最後にカップリングした組がキスじゃなくて握手なんだよ」
誠司「そういえばそうだよな」
剛史「いつもなら、最後に呼ばれたカップルはキスを求められるよね」
実「偶に、頑なにキスを拒否する女性もいるよな」
誠司「まあ、ほっぺにキス位はいいと思うけどな」
実「逆に、ガバッっとキスする女もいるけどな」
剛史「それで司会者に、“はい、ありがとうございました~”って言われて止められるんだよね」
誠司「はっはっは、俺もそうなりたいものだよ…」
実「そりゃあ、誰だってな…」
剛史「あっ!何か忘れていると思ったら、あの2人の女性はぼくが見分けたサクラじゃないか!」
実「本当だ、言われなかったら忘れていたよ…」
誠司「おいおい、これは何かおかしいんじゃないか?」
剛史「そうだよね、今までに無い展開だよね」
誠司「だとすると、お見合い回転寿司の1分間トークだけでカップルになったって事なのかよ!」
実「いやいや、そんな事はあり得ないだろ!」
剛史「何にせよ、あの女性達はサクラなんだから実質的には0組なんじゃない?」
実「それが事実ならな…」
誠司「お前、またそれかよ」
剛史「結局、証拠がないと言われちゃったらそれまでだけどね」
誠司「でも、何か腑に落ちないんだよな…」
剛史「だけど、これで返金の交渉は出来なくなっちゃったね」
実「何だよ…、サクラはカップルにならないんじゃねえのかよ!」
その言葉を聞いて、ぼくは青褪めました。
そこで、ようやく以前に感じた違和感が分かりゾっとしました…。
サクラとは女性だけなんだと思っていましたが、実は男性の中にもいたという事を!
せっかくのサクラを見分ける霊感も、その固定観念から男性のサクラの存在を暈してしまったのです…。
「あの時に感じた嫌なオーラは、僕らと同列にいた男性陣の中からだったのか…」
「クっ…、もう少し周りにいた男性陣をじっくりと観察していれば…」
「クソっ!前だけしか見ていなかったぼくの失態だ…」
「運営側からしたら、その仕込みがあったからこそフリータイムが1回でもカップリングする自信があったのか…」
そう考えると、合点がいきました。
その後、ぼくは何で男性のサクラがいるかを考えました。
もしかしたら、多くの日本人がパーティー慣れしていないから、平均的にカップリング数が少ないのではなかろうか?
パーティー会場によっては、係員が手持ち無沙汰の男女を引き合わせてくれる事もありますが、それを拒否する方もチラホラ散見します。
今までろくに男女交際をしてこなかった適齢期の独身者が、いきなりお見合いパーティーに行ったところで、短時間でお相手を見極めマッチングに持っていくのは至難の業なのではないだろうか?
人を疑うのか信じるのかどうか?
人に嘘を言うのか、真実を言うのかどうか?
人の情報や肩書きを納得するまで集めないと気が済まないのかどうか?
第一印象でピーンときた人に心を開くのかどうか?
フリータイムでは、男女共に優良人材の奪い合いなので、その中に割り込んでいけるのかどうか?
お見合い回転寿司でお相手を把握出来ずに頭が混乱する→異性の番号を投票しない(出来ない)→異性から投票用紙が回って来ない→フリータイムの前から自信を無くしてしまう。
というパターンに陥ってしまうと、そのループからなかなか抜け出せないのです。
因みに、お見合い回転寿司の後に第一印象カードを投票しない人ほど、何人かの異性が自分に投票してくれているものだと思っていたりもします。
フリータイム→積極的に動けない→話し掛けてくれる異性を待つ→待っているだけになる→いい人がいない(と思う)→つまらない(と思う)→最終投票をしない(特に女性の場合)。
この流れになってしまうと、帰りたいの一択になってしまいます。
戦略もなく、最終投票すらしないと、何の為にお見合いパーティーに出たのか分かりません。
フリータイムでうまくいっている人を見る→自分ではそんなにうまく話せないと思って途中で諦めてしまう→戦意喪失する→異性を探すのを止めてしまう→現実逃避すれば楽になると思ってしまう→うまくいっている奴らは特別な人なんだと思い込む。
という事が連鎖すると、カップル数が0組なのは避けられない事かもしれません。
ただ、運営側はカップル数が0組なのは避けたいのではないでしょうか。
何組かはカップルが出来ないと、お見合いパーティーにお客さんが来てくれなくなるので、自作自演が必要になる時もあるのでしょう。
そのリスクを考慮して、男女共に無難な顔立ちのサクラを入れたのでしょう。
今回も、彼女ゲットはダメでしたが、新たな発見がありました。
それは、男性のサクラの存在に他なりません。
「次回は何とかしたい!」
とは、常々思っていました。
しかし、その半面では、
「次もダメなんじゃないか…」
という気持ちも正直ありました。
「それにしても、男性の参加料は高いよな…」
「それに、毎週末にお見合いパーティーに行くとなるとお金がキツいし、心身共にかなり疲れるよな…」
ぼくは、散財を抑えるのと精神的に追い込まれていたのもあって、しばらくの間お見合いパーティーを控えて休養する事にしました。




