第7話 VSゴブリン
ゴブリンの数は全部で十体。数はそこまで多いって訳でもないし、俺一人でも相手は出来そうだ。
ただ、全員棍棒みたいな武器を持ってるし、一度に全員で来られたら面倒そうだ。
正直ゴブリン十体なんて魔法で一瞬で倒せそうな気はするけど、あんまり圧倒的な力を人前で晒して目立つのもなんか気が引けるな。
相手はただのゴブリンだし、力をセーブしながら戦うとしよう。
「おん? なんか人間のガキが一人加勢に来たぞ。野郎ども、まずはこいつから殺しちまえ!」
「「「ひゃっほう!! 了解!!」」」
リーダーらしきゴブリンからそう指示が出ると、前の方にいた三体のゴブリンたちが棍棒を振り上げ、意気揚々と俺に殴りかかってきた。
まずはこいつらから料理してやるか。どの魔法を使おうかなあ。よし、これでいこう。
「『ライトニング』」
俺は雷系魔法の『ライトニング』を唱えた。鋭い雷撃がゴブリン三体を襲い、一瞬で黒焦げにした。
「はい。まずは三体っと」
「うげ! す、少しはやるようだな人間。だが、まだこっちは俺を含め七体残ってる。まだまだこれからだ!」
七体ねえ。別にゴブリンなんて百体いようが千体いようが大して怖くないけどな。
「うーし、みんなで一気にかかるぞ野郎ども!!」
「「「うおおおおお!!!」」」
うわー、マジで一気に来ちまったよ。やれやれ。
「くたばれ人間ーー!!」
俺は先陣を切って攻撃してきたゴブリンの棍棒を難なくかわすと、そいつの顔面に拳をぶち込んだ。加減したつもりだったのだが、パンチが当たるとゴブリンの顔がパンと音を立ててはじけ飛んだ。
俺、一応魔法使いなんだけどな。絶対魔法使いのパンチ力じゃないだろこれ。
今の俺のパンチを見てゴブリンたちもビビったようで、全員動きが止まった。
「ひ、怯むな! かかれ! かかれー!!」
しかし、リーダーの鼓舞によって再び攻撃を開始する。
もうやけくそなのか何なのか、ゴブリンたちは殴りかかるしか能がないようで、俺は次々に襲い掛かってくるゴブリンたちの攻撃をかわしてはカウンターのパンチで返り討ちにし、あっという間に残りはリーダーのゴブリン一体となった。
「あとはお前だけだぜ。どうする? 別に今からでも逃げていいんだぞ?」
「この……! 舐めやがって! 誰が逃げるものか! よくも俺のかわいい部下たちを……!! 許さねえぞクソガキがああああ!!」
激高したリーダーのゴブリンが突っ込んできた。どこぞの腰巾着とは違って逃げないのは偉いと思った。
「はい、『エアスラッシュ』」
俺はそう唱え、空気の刃によってゴブリンリーダーの首を刈り取り、勝負は呆気なく決した。