第3話 夢じゃない
「な、なんじゃこりゃ…………」
俺は自分のステータスが信じられず目を疑った。
魔力が∞? そんでその他のステータスが99999だって? そんな馬鹿な。
確か世界最強クラスの魔法使いでも各種ステータスは平均30000程度だって聞いたことあるぞ。こんな狂った数値あり得ないだろ。
あり得ない? そ、そうか! これは夢に違いない! そうに決まってる!!
俺は夢かどうか確かめるために自分の頬をつねってみた。普通に痛かった。
「夢じゃない……だと……!」
これは間違いなく現実に起きていることだった。
俺のステータスは世界トップの魔法使いたちでさえ度肝を抜かれるような化け物じみた数値になってしまったのだ。
でも、一体なぜ…………?
いや、思い当たる節は一つしかないじゃないか。さっき後頭部をぶつけた衝撃で俺の中の何かが覚醒したんだ。そうとしか思えない。
……待てよ。じゃあもしかして魔法を使うことだって出来るのでは?
俺は離れたところにある自分の背丈くらいの岩に狙いを定めた。
「『ファイアボール』!!」
俺がそう唱えると、轟音を上げて右手からファイアボールが放たれた。ファイアボールが直撃すると、岩は跡形もなく消し飛び、更にその衝撃で辺りの地面も半径数十メートル吹き飛んだ。
「で、出来た……。うおおおお! 初めてファイアボールが撃てたあああ!!」
俺は嬉しさのあまり飛び上がった。
遂にファイアボールの発動に成功し、更には威力もとんでもない超火力。こんなに嬉しいことはない。
そうだ。他の魔法も試してみよう。
俺は魔法を全く使えなかった分、魔法の知識だけはやたらと身につけてきたからな。少なくとも百種類以上の魔法は知っている。
仮にこれがすべて使えるようになってるとすれば、もう言うことはない。
「とりあえずこれでも使ってみるか……『エアスラッシュ』!!」
空気の刃によって対象を切り裂く風魔法『エアスラッシュ』。
これも難なく発動させることができ、近くにあった木を真っ二つにすることに成功した。
「や、やった。じゃあこれはどうだ。『ロックブラスト』!!」
ジャックの得意技でもある『ロックブラスト』を使ってみた。
これももちろん成功し、ジャックが使うよりも遥かに高い威力で発動できた。
や、やべえ。ファイアボールに手こずっていたのが嘘のようにポンポンいろんな魔法が使えるぞ。
俺はその後、他の魔法も十種類ほど試してみたが、すべて問題なく使うことができた。
「か、完璧だ……」
これなら明日のジャックとの勝負は120%俺の勝ちだ。負ける要素なんて微塵もない。
ふふふ……、覚悟しろよジャック。明日は目にもの見せてやる。