第2話 覚醒
しばらくの間落ち込んでいた俺だったが、なんとか自分を奮い立たせる。
いつまでもへこんでいたってしょうがないじゃないか。とにかく出来ることをやろう。何もせずに明日を迎えたってジャックに一方的に叩きのめされて終わりだ。
せめてファイアボールだけでも使えるようになれば、きっと勝機はある。勝率が0%から1%くらいにはなるはずだ。その1%に賭けるしかない。
「よっしゃあ、やってやるぞー!」
俺は今一度気合を入れ直し、打倒ジャックに向けて修行を開始した。
しかし、その後二時間ほどずっと練習していたが、結局一回もファイアボールを発動させることはできなかった。
一応一回だけ上手くいきかけたのだが、それでも手から少し火花が飛び散る程度だった。
考えてみれば、三年も練習してきて出来なかったことが今日いきなり出来るようになるなんて都合のいいことがある訳なかったんだ。
結局いくら努力しようとも、駄目な奴は一生駄目ということなんだ。
あまりの自分の不甲斐なさに俺の怒りは頂点に達していた。
「くそっ!!!」
俺はこのどうしようもない怒りを何かにぶつけたくなり、近くの地面に転がっていた小石を思いっきり蹴飛ばそうとした。
しかし、力みすぎたのか見事に空振りして大きくバランスを崩してしまった。
なんとか体勢を立て直そうとするがそれも叶わず、後ろに転んで後頭部をその小石に強打してしまった。
「がっ!!」
そのあまりの衝撃に意識が一瞬飛びかける。全身に電気が流れた気がした。
「いててて……」
なんなんだよもう。ファイアボールが撃てないどころか、小石も満足に蹴れないのか俺は。あまりの情けなさに涙が出そうだ。
もういい。とっとと帰って飯食って寝よう。明日のことなんかもう知らん。
どうせジャックは明後日にはいなくなるんだし、明日ボコボコにされるのに耐えればいい話だしな。
あ、そうだ。帰る前に一応ステータスを確認しとくか。
二時間も修業したし、せめて少しは上がってて欲しいもんだ。まあ上がってても微々たるもんだろうけどな。
俺は特に期待もせず、ステータスを開いた。
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【名前】ノエル・マクベルト
【年齢】15
【種族】人間
【性別】男
【魔力】∞
【攻撃力】99999
【防御力】99999
【魔法攻撃力】99999
【魔法防御力】99999
【敏捷性】99999
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「…………………………へ?」
ステータスが覚醒していた。