第1話 理の果てへと
初投稿です。よろしくお願いします。
「進級確定したぞ.....」
高専3年生の俺、伊丹久嵐は、担任の教職員室を出て喜びをかみしめていた。思い返せば結局、今年も進級ギリギリのチキンレースをしてしまった。毎回年の初めに謎の余裕で成績表を赤点まみれにして、そのツケを払うのに精一杯な大馬鹿だ。毎年同じような失敗をしているのにどうしても勉強する気になれない。
「今回もなんだかんだ進級できたのか、必死に再試と補講に行ってよかったな」
そういったやつの名は、岡崎光輝、みっつと呼ばれている。クラスメイトで1年の頃からの俺の友人だ。
見た目はいかついヤンキーだが話してみると、ただの能天気なアホである。その割に頭はそれほど悪くないのだから、この世界はどうかしている。
まあ、勉強していない俺がわるいのだが。
「お前もう完全に進級のボーダーになってるなw」
「まあ俺ほどギリギリを生きている人間なんてほとんどいないからなー」
「だがもう俺を縛るものは何もねぇ!!これで春休みは憂いなくソシャゲができるぞぉぉぉ!!!」
「あほくさ、俺は金が欲しいからバイトでもしようかな」
そんな話をしながら教室につくと二人の友人が声をかけてきた。黒須伶と松本大樹だ。
「どうだった?進級できた?」
「おかげさまで進級できたよ!これはまじで大樹とみっつのおかげだわ!」
大樹はクラスの中でも10本の指に入るほど頭がいい。みっつも得意な教科なら大樹にも負けないほどに成績をとっていて仲の良いこの二人に勉強を教えてもらっていたのだ。
「俺進級できたし、これでここにいるみんな進級かな?」
「今ここにいるメンバーはいいけどゲットが危なかったんじゃなかったっけ?」
そう伶くんが言った。伶くんは、みっつと同じで1年生の頃からの友人で、よく遊ぶ仲だ。わりといたずら好きでみんなをいじったりしている。
ゲットと呼ばれているのは、本名不知火月兎のことで俺が2年生に上がるときに大村ケイト、ダイソンと呼ばれている友人と一緒に留年してきたのだ。慣れるまで時間はかかったがもともと同じ部活で席が近かった伶君のサポートもあり今では二人ともこのクラスになじんでいる。
「確かゲットは英語の先生に単位認めてもらうために課題出さなきゃいけないんだよな?」
そんなことを言っていると
「なんだよ、みんないるじゃん」
とゲットとダイソンが教室に入ってきた。
「ゲット単位大丈夫なの?」
「ん?ああ、課題出して単位認めてもらったから俺も進級できるぞ」
ゲットたちにも俺が進級できたことを伝えてみんなで一緒に進級できることを喜んでいた。
「よし!それじゃあみんなそろそろやろうぜ!」
実はもう学校は春休みに入っていたのでみんな学校に来る時間がバラバラだったのである。
そもそも春休み中なのに学校に来るのは、成績を確認する以外の目的があった....
「サッカーやるかぁ!!!」
そう言って俺たちはグラウンドへ歩いて行ったのだった.....。
一つ言っておきますがこれはサッカー小説ではありません。