知覧へ
双極性障害、どうやら僕はラピッドサイクルのようで、一年に1回ないし2回ほど躁転と鬱転を繰り返す。
躁転状態は気分が良い。色々なアイデアが浮かんでは消え浮かんでは消え。湯水の様に湧いてくる。
テンションは高く、常に楽しく感じるのだ。
一見良い状態のように見えるのだが、気が大きくなり散財してしまう。そして躁状態はやがて鬱転し、後悔する。
なぜあのような事をしてしまったのだろう…
なぜあのような事を言ってしまったのだろう…
なぜ…なぜ…なぜ僕はこんなにも苦しんでいるのだろう…死にたい、死にたい…
そして、5度目の入院は終わった。
パチンコで勝った時、義弟から50ccのバイクを買い取り、自分で修理をしていたのだが、完了した。
退院から2ヶ月が過ぎた頃だろうか、体調が良くなって来た僕は、ある夜に突然思いつく。
「そうだ、(鹿児島の)知覧に行こう。」
12月初旬の、夜中の2時の事である。
防寒着を着込み、その上から雨合羽を羽織ってバイクに跨ると、南へ南へと走り出した。
住んでいる街、北九州からおよそ380km、片道10時間ほどかけて、桜島の見える港へと到着した。所持金は余り無い。正直な所、死に場所を求めて来たのだ。
まずは退路を断とうと、パチンコ屋に入って行く。お金が無くなれば死のうと思って…だが、珍しい事に若干の勝ちで終わった。
せめて知覧特攻平和会館を見てから死のうと知覧へと行くが、無情にも閉館時間を過ぎていた為に館内に入る事は出来なかった。
ここで死んでしまえば、引き取りに来るであろう母親に迷惑が掛かると思った僕は、知覧を後にして帰路へと着く。
館内へは入れなかったが、外から零式艦上戦闘機の残骸を見る事ができ、その時に自殺はしてはいけないと強く思ったからだ。
また10時間掛けて自宅へと戻る。一睡もしないまま、僕の旅は終わった。
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