精神と時の部屋
「キツくなった?そっかそっか。でも、命は大事にしないといけないよ。困った時は俺が話を聞くから、ゆっくりしてね。」
男性スタッフはそう言い残し、部屋を後にした。
ゆっくり休もうと横になるが、肩が酷く痛み眠れない。事故の影響かは定かでは無い。
腕を回したりストレッチしたり、叩いたり揉みほぐしたり、何をやっても痛みが取れず、イライラとしながら午前中を過ごした。
病棟内に昼食を知らせる放送が響く。
10分程して段ボールのテーブルと昼食が運ばれて来た。
「もう出たいです…」
泣きそうな声でスタッフにすがるが、医師不在の為出る事は出来ないと言う。
昼食を食べ終えて薬を飲み、昼寝でもするかと横になる。
「………ふぅ…、少しは寝れたな。」
目覚めた僕は、時計を見た。15分しか進んでいない。
「………はぁ、寝れたな。」
時計は30分しか進んでいない。
この部屋の恐ろしさに気付いてしまった…。
三日目を迎えた僕は、考える事を辞めていた。
毎朝掃除のスタッフが入って来ては部屋の掃除をしてくれるのだが、僕はマットレスに横になり、ぼーっと眺めるだけだった。
その日の午後、スタッフがやって来た。介助浴に入れるらしい。男性スタッフに介助されての風呂ではあるが、久し振りに保護室から出る事が出来た。
四日目が過ぎ、五日目の朝。先生がやって来た。
「具合はどうですか?」
「死にたい気持ちはありません。出たいです…」
先生にすがる。正直な所、希死念慮はあったが、何としても保護室から解放されようと必死だった。
「では、医療保護入院に切り替えます。一般病棟に移れますが、外出については追って話し合いましょう。」
そう言い残し、先生は部屋を後にする。
久し振りに出れた僕は、四人部屋へと引越しをする。他の患者から色々と質問を受け保護室にいた事を話すと、皆んなは笑って迎えてくれた。
順調に回復していった僕は、退院の日を迎える。
「もう二度とこんな所には来ない。」
そう誓い、病院を後にした。
退院の度に誓っているのだが、まだ実行出来てはいない…
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