終わりの始まり
上手く誤魔化せた。大丈夫だ。バレてない。
ドキドキしながらも夜は更け、僕は睡眠導入剤を飲み、眠りに着く。
翌朝、いつものように出社。前日に引き続き、前工程での遅れの為、また15時くらいで仕事が終わってしまった。
昨日は二万円勝ったし、一万円だけ遊んで帰るか。一万円で負けたら、さっさと帰って定時で終わった事にしよう。
そう思いながら、昨日と同じパチンコ屋へ。
昨日出た台は今日は出ないだろう。と、他の台を探す。目に止まったのは、またしても懐かしい台であった。
一万円札を両替してその台に座り、サンドに千円札を投入する。古い為に千円札専用だからだ。
ジャラジャラと音を立て、メダルが50枚貸し出された。
30分後。僕は一万円札を両替していた。
更に30分後。僕は再び一万円札を両替する。
更に30分後。大きな溜息をつきながら、再び一万円札を両替する。
こんなハズじゃ無かった。ここまで注ぎ込んだんだ、そろそろ大きな当たりが来るハズ!
「遅くなってゴメンね。残業終わったから今から帰るよ」とメールを送り、帰路につく。時刻は午後9時。
僕の財布には、千円札が数枚だけ残っていた。
僕にとってパチスロは、ストレス発散のつもりだった。だが、中々当たらずストレスだけが溜まって行く。吐きそうになりながら、泣きそうな顔で、どんどんとお金を注ぎ込んで行く。
大きな当たりが来る。その瞬間、僕は幸福感に包まれる。よっしゃ取り戻すぞ!!
ART機で、500ゲームの上乗せが確定した。三万円相当は出る計算だ。
その10分後、またしても吐きそうになりながら、泣きそうになりながらゲームを消化して行く。苦痛しか無いのだ。
当たるまでストレス。当たってからもストレス。嬉しいのは当たりが確定した瞬間だけであった。
辞めたいのに辞められない。ストレスしか溜まらないそのゲームに、僕は大金を注ぎ込んで行った。
数ヶ月後。み空さんは何とか外に出れる状態に回復した。み空さんを突き動かしたのは、AAのミーティングだった。自身の回復の為に再び活動を始めたみ空さんに、もやもやした気持ちが湧く。
僕達は話あった。
僕がみ空さんをコントロールしようとしていた事を
コントロール出来ない事に苛立ち、焦り、諦め、疲れてしまっていた事を
み空さんの回復を心から望んでいる事を
その為には、今の状態ではお互いに悪影響を与えてしまう事を
二人で話し合い、納得し、最後は今までありがとうと、心の底から感謝して、僕達は別れた。
それぞれの回復を願い、己の回復に専念する為に。
翌日、病院に行った僕は、先生に全てを話た。
その日、僕は再び入院する事になった。
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