塔に囚われた少女 あるいは 青褪めた怪物
少女は塔の上から景色を眺め、馬に乗った二人の騎士がやってくるのを待ち続ける。
町の外れ
つやつやとした
若草色が目に入る
涼しい風
馬車を停め
道を訊くのは
遠い町の人
欄干に釣り竿
雲は流れ
止まることはない
ただゆっくりと
ゆっくりと
遠くはない
近くもない
すぐそこにある
眺め
塔の上から、少女は望む
いつか、二頭の馬が
黄色い砂を立てながら
この身を救いに来ないかと
塔の上から、少女は望む
塔に住みつく青い涙を
勇敢な、二人の騎士が
追いだしてはくれぬかと
けれど、彼方の丘からは
救いの使者は見えてこず
代わりに哀れな足音が
ゆっくりと
ゆっくりと