第9話道化の終わり
「レイン、慎重に行くぞ!」
「了解です。」
「ジェイド、魔獣は任せる。」
「任せてください。」
俺とルードさんは、作戦通りに魔獣を全て無視をして敵の親玉であるボロンへと向かった。
「オヤ?アテクシオドロキ!ウツワジャナイデスカ!」
俺とルードさんが目指しているのに気付いたのか、ボロンはこちらを見て騒いでいた。
「レイン、何を仕掛けてくるかわからないから気をつけるぞ。」
「わかってますよ。」
俺達は慎重にボロンへと近づいて行く。
「アラアラ、アテクシカンドウ!アソビマショ!」
突然ボロンは俺達の方へと一気に近づいてきた。
ギン!
ルードさんがボロンの攻撃を受け止めた。
「サイコウデス!タノシメルヨ!」
ボロンは変則的な攻撃をし、ルードさんはそれを難なく受け流しながら反撃をしていく。
「お前は一体誰なんだ?」
「アテクシハアテクシデゴザイマス!ナニガイイタイノカワカリマセンヨ?」
「名前はなんだよ。」
「ソンナモノスキニヨベバイイネ。ソレヨリモットタノシムヨ!」
ルードさんは斬り合いながら、そんな会話をしていた。
やはりこいつは狂人の分類に入るのだろうな。
「ルードさん!」
俺もこの戦いに参加をする。
「ハハハハハ!ウツワオマエモタノシメルヨ!タノシイネ!コワシガイガアルヨ!」
二対一になっても奴は平然と斬り合いを続けている。
それに体が異常に柔らかいのか、時々人としてはありえない動きをしてきやがる。
「なんだこいつは?タコみたいにくねくねときみわるいな。」
「タコハキライダヨ!イカミタイッテイウベキネ!」
「いい加減くらえよ!」
「ムダネ。ウツワハマダマダタンジュンネ!」
もうどれくらい斬り合いをしたんだろうか?
まだ、どちらも致命的な傷はおっていない。
「レイン、一瞬でいい隙を作れるか?」
「一瞬ならなんとかいけますよ。」
「よし、作ってくれ。」
「アレアレアテクシムシデスカ?カナシクテコロシチャイマスヨ?」
ルードさんに隙を作れと言われたが、隙を作るには剣の力を使うしかないだろうな。
それにこいつを倒すためにも、犠牲は覚悟しなくちゃいけないからな。
「ウツワヨソミハイケナイ!」
ボロンが斬りかかってきた瞬間にクリムゾンの力を使い、やつの武器を破壊する。
「アラフシギ!マップタツ。」
「絶断!」
次の瞬間にはルードさんがボロンの右腕を斬り飛ばした!
ボロンの傷口からは、勢いよく出血をしている。
「オドロキ!アテクシキラレテル!」
ルードさんは続けて斬る姿勢をとると、
「アテクシ、イタズラ!」
ボロンは自分の血でルードさんの目を塞ごうとしたのか、左手で血をすくいルードさんに投げた。
ルードさんはそれをバックステップでかわした。
ボロンの投げた血はルードさんの目ではなく、胸のところにつくだけだった。
「アテクシショック!・・・・・・ナンテ!」
「ルードさん後ろです!」
「ちっ!」
やはり血を投げたのはフェイントで、ルードさんの後ろから斬り飛ばしたはずの右腕が剣のを握って向かってきていた。
ルードさんはそれを間一髪でかわした。
「ホウ!サスガニダメダッタカ?」
これがイワンが言っていたこいつの能力か!
こんな事ができるなら、腕を斬り飛ばした意味がないじゃないか!
「オヤ?キニイラナカッタカ?ソレジャアコンナンハドウダ?」
「くっ!」
「ちっ!」
ボロンは目の前にいるのだが、ボロンの右腕がバラバラになり俺達に飛んできた。
俺とルードさんは、それをかわしながらなんとかボロンに攻撃を仕掛けるが、ボロンは器用に攻撃をいなしてきた。
武器を破壊したのに、なんて器用なんだろうか?
これはもう1つの剣の力を使って、なんとかするしかないのかもしれないな。
俺はダークネスの力を解放していき、ボロンが左腕で剣を受け流す瞬間に力を使った。
「ガァァァ!ウツワナニヲシタ?」
ルードさんはすかさず、ボロンの心臓の位置に剣を突き立てる。
「ムダダ!アテクシニハイミガナイ!」
俺も力を使った状態でボロンの心臓の位置に剣を突き立てる。
「ガァァァ!ウツワオマエハナニヲシタンダ?」
俺をボロンは蹴り飛ばしてきた。
ルードさんは、すぐに俺の所へ来てボロンと対峙をした。
「ウツワ!ヨクモヤッタナ!」
「レインもう1度できるか?」
「はい、いけますよ。」
俺はもう一度力を使って、ボロンの心臓の位置に剣を突き立てる。
「アアアアアアアアア!アテクシノソンザイガウスレル!」
ボロンはもがき苦しんでいた。
俺はトドメとばかりに、もう一度剣を突き立てる。
「グボッ!アテクシ・・・・・・タダデハシナナイ!・・・・・・ウケトレウツワ!」
俺はとっさに身構えた。
しかしいつまでたっても何の衝撃もこなかった。
構えをといてボロンをみると、どうも完全に息絶えているようだ。
「何だったんだ?ルードさん終わりましたよ。」
俺はルードさんを振り向いた。
・・・・・・・ルードさんは胸から刃が突き出ていた。