第5話封印
「まあ、過去のことは一先ず置いておいて、今はこれからの事だな。」
「ルードさん、そうですね。今はもう1つの扉ですね。」
そうだった、今は教会の過去にあったことよりも、階段を降りた先にあった扉に関してどうするか決めるべきだな。
「けどルードさん、扉は開かなかったんですよね?」
「ああ、他の場所のはもう開いていたからな。」
「レイン兄さん、ルードさんちょっといいですか?」
「どうした?グレン。」
「その、シルフィーナの時計台の地下の事なんですけど、最初は扉があったんですよ。」
時計台の地下にあった事か、あの部屋の入り口には何も無かったんだが、グレンが行った時には扉があったのか!
「グレンそのドアはどうやって開けたんだ?」
「それなんですけど、普通に開けられましたよ。」
「本当か?」
「はい、何の抵抗もなく開きましたよ。」
「どういう事ですかね?」
「わからないな。試しに全員でやってみるか?」
「大丈夫ですか?」
「降りるのに時間がかかるくらいだな。」
それから俺達は全員で階段から下に降りて行った。
ルードさんが言っていただけあって、かなり階段を降りたけどまだまだ続いていた。
そしてだいぶたってようやく言っていた謎の扉があった。
見ていて気味の悪い扉だった。
「シルフィーナと同じ扉ですね。」
「そうなのか?」
グレンは扉を開けようとしたが、全く動かなかった。
「あれ、あの時は簡単に開いたのにな。」
「1人づつ試してみるか。」
それからルードさんの案の通りに俺達は1人づつ扉を開けていった。
「俺はダメです。」
「私もよ。」
「同じく。」
俺もリリーもジェイドも扉はビクともしなかった。
「わたしもダメみたいです。」
「無理。」
「壊すんじダメっすか?」
ユフィー、レン、ギギもダメだった。
「面白そう!ルナがやってみる!」
「ちょっと!ルナちゃんダメだよ!」
ミリーがルナを止めようとしたが、間に合わずにルナが扉を開けようと力を入れると、
ギギー!
「へっ!」
「まぁ!」
扉が簡単に開いてしまった。
「一体どういう仕組みなんですかね?」
「レイン、今は扉の仕組みより部屋の中央を見てみろ。」
ルードさんに言われて、扉の先の部屋の中央をみると、そこには小さな祠があった。
「あれは何でしょうか?」
「これが封印だろうな。」
これがそうなのだろうか?
封印というくらいだから、もっと凄い建物で厳重に守られていると思っていたんだけどな。
「これをどうすればいいんでしょうか?」
「壊されないように守るしかないだろうな。」
俺とルードさんで、対策を考えていると、ふいにリリーがふらふらと祠に歩いていった。
「リリー?」
「・・・・・・」
俺が呼びかけてもリリーは何の反応もしなかった。
一体どうしたのだろうか?
リリーはそのまま祠の前に着くと、祠に右手をかざして何かをつぶやいた。
すると祠はいきなり砂になり崩れて無くなってしまった。
「リリー!」
「おいおい!冗談だろ?」
何が起きているんだ?
これって封印が解けてしまったのか?
「ふぅ、安心して別に封印を解いたわけではないわ。ちょっと細工をしただけよ。」
こっちを振り向いてリリーが話してきたが、何故だか俺には別人に感じた。
「あら、あなたは流石に何回か会ってるから気づいちゃった?驚かせようとしたのにつまらないじゃない!」
「そう言うってことは貴方はやっぱり。」
「ちょっとこの子の体を借りたのよ。なんせこの子は私の巫女だからね。」
「おい、レイン何が起きてるんだ?」
「そうだね、レイン君私達の娘に何が起きているんだい?」
ルードさんとアレスさんが聞いてきた。
「その、なんて言えばいいのかな?」
「私が話すわ。どうもはじめましてね。私はアイリス。貴方達が知っている神のアイリスよ。」