第1話遭遇
俺達は今、イワンが言っていた教会総本山後に向かっていた。
「そういえば、ルードさんなんで総本山後になったんですか?」
「うん?俺も詳しく知らないんだ。」
「そうなんですか?」
「ああ、ある日突然総本山が変更されたんだよ。」
「そんな事あるんですか?」
「いや、今までにその一回しかない。アレスはどうだ?」
「いや私もないな。ガイルか大司教なら知っていたかもな。」
確かに父さんなら知っているかもしれないけど、日記には何も書いていなかったから、書き始める前のは不明だからな。
「この事について、先に聞いておけばよかったな。」
「確かにそうですね。残念ならが爺ちゃんは王城の教会に戻ってしまってますからね。」
「仕方ない。これは後回しで今はこれからの事だな。」
そうなんだよな。
まずは教会総本山後についたら、邪神の封印をなんとか解除されないようにしないとだし、敵であるボロンがどう攻めてくるのか、その対策を立てないといけないんだな。
「レインお兄ちゃん、目的地ってまだ遠いの?」
「ミリー、そうだな。まだ結構距離があると思うぞ。ルードさんですよね?」
「そうだな、途中で何処かの村なりで、一泊しないとダメだろうな。」
「えー、そんなにあるんですか?」
「仕方ないな、場所が場所だからな。」
教会総本山後は出発したジルド村からでも、二日はかかる距離に存在していた。
そのために一応の予定で、もし村が途中にない時のために、野宿ができるように準備をしてきた。
旅は順調に進んでいき、道中出てくる魔獣もそこまで強くなく、ジェイド達と協力しながら倒していった。
やがて夕暮れ近くになり、結局村が見つからないので、なるべく安全な場所を探して、そこで野宿する事になった。
そして、準備のためにそれぞれが役割分担をしていくこととなった。
俺は、ルードさんとともにたき火用に乾燥している枝などを探しにいく事になった。
やがて2人しかいないことを、ルードさんは確認すると俺に話しかけてきた。
「なあ、レイン。イワンが言っていた次の敵に何かあるのか?」
「どうしてですか?」
「お前は隠しているつもりだろうが、顔にでてるぞ。」
「そんなにわかりやすかったですか?」
「ああ、だいいちお前は俺の弟子だからな。弟子の異変はすぐに気づくさ。」
「そうですか。」
俺は枝を探しながら、次に待っているだろう敵について話していった。
次に待っているだろう敵、名前はボロンであり、固有スキルは体を自由自在に操れるだろう。
そして、俺の村を襲った奴らの1人で、母さんを殺した相手だ。
それらを話し終えると、
「そうだったか。メアリーさんを殺した相手だったか。」
「はい、頭では冷静になろうと考えているんですが、どうしても心では納得できないみたいで。」
「こればかりは、どうしようもないな。グレン、ユフィー、レドだってそうだったからな。」
「はい、わかっています。」
・・・・ジャリ
「!!誰だ?」
話をして油断していたのもあるが、突然に足音が聞こえた。
「ルードさん!」
「レイン気をつけろ。」
俺達は周りを警戒するが、なかなか足音をたてた人物は現れない。
「いるのはわかってる!出てこい!」
すると、前方から仮面をつけた変なやつが現れた。
そいつは、何かを喋るわけではなくこちらに顔をむけているだけだった。
「お前は何者だ?」
「・・・・・・」
「ルードさん。こいつは!」
「ああ、だろうな。お前はイワンの言っていた3人の内の1人か?」
「・・・・・・」
「まあ、流石に答えないか。」
仮面をつけた人物は、ゆっくりと剣を構えてきた。
「!!その構え、誰から教わった!」
「・・・・・・」
ルードさんの質問に答えずに、仮面をつけた人物は斬りかかってきた。
ガキン、キン、ガキン
ルードさんと仮面をつけた人物は、すごい速さで互いに剣撃を繰り出している。
俺は目で追うのがやっとなため、そこに入り込むことはできないでいた。
「この太刀筋も、あの人にそっくりだな。」
「・・・・・・」
「だんまりなのは、イワンと同じか!」
バキン!
何かが折れる音がして、俺達と離れた場所に剣の先が突き刺さった。
どうやら今ので、どちらかの剣が折れたようだ。
「ルードさん!」
「大丈夫だ!」
互いに睨み合いをしながら、ルードさんは俺に答えてきた。
どうやら折れたのは、仮面をつけた人物の方だった。
「・・・・・・」
「どうやらお前の負けのようだぞ?」
「・・・・・・」
仮面をつけた人物は、ただじっとルードさんを見ているようだった。
「さてと、目的を聞こうか。」
ルードさんが近づくと、
「・・・・・・」
次の瞬間には、仮面をつけた人物はその場所から、まるで最初からいないのかのように、姿が消えてしまった。
「なんだと?」
「これは一体?」
俺達はただ突っ立っていることしかできなかった。