終話切り札
俺とアレスさんで、墓参りが終わり家に戻った。
家の中では相変わらずみんな自由にしていた。
「あ!レインお兄ちゃん!」
「ミリー、みんな何してるんだ?」
「リリーお姉ちゃんとお姉ちゃんのお母さんは、料理を作ってるよ。ユフィーお姉ちゃん達はそこで話してるよ。それにルードさん達は、出発の準備してるよ。」
「男子全員で?」
「グレンお兄ちゃんは、なんかやってたよ。」
「?グレンは何してたんだ?」
そういえば、グレンは硫黄と硝石で何かを作るとかいってたよな。
一体何を作っているんだろうか。
「そういえば、グレンお兄ちゃんさっきニコニコしながら外に出てったよ。」
「なんか嫌な予感がするな。」
「たぶん大丈夫だと思うよ。」
ドカン!
「うぉ!」
「きゃ!」
いきなり爆発音が響いてきた。
「何があったの?ってレインおかえり。」
リリー達が台所から出てきた。
音からして外だとは思うんだが、一体何がおきたのだろうか?
まさか、敵が現れたのだろうか?
家にいた全員で外に出ると、
「ルードさん!」
「レインに全員いるのか?」
「家にいた人は全員です。何があったんですか?」
「いや、まだ何もわかってない。今音のした方にバルドとギギが向かってる。」
どうやらジェイドとレドは、もしもに備えて馬車の警備についているらしい。
あとは、グレンが無事かどうかだけだな。
「ルードさん!わかりましたよ。」
「グレンが原因だったっす!」
音のした方に向かった2人が、それぞれ報告をしてきた。
どうやらグレンが作ったものが、予想以上の威力だったらしく、あれだけの爆発が起きたとのことらしい。
「もうじきしたらグレンがくるっすよ。」
「わかった。2人ともお疲れ。」
そのあと、ルードさんはギギにジェイドとレドを呼んでくるようにいい、ギギはその場を後にして馬車へと向かった。
「みんなごめん!」
謝りながらグレンが戻ってきた。
「一体何が起きたんだ?」
「それがルードさん、一応目的のものができたんですが、量を間違えて大爆発になったんです。」
「なあ、グレン。作ったものは何なんだ?」
「レイン兄さん、その説明のためにルードさんと2人でちょっときてくれますか?」
俺とルードさんは、それに了承して移動することになった。
他のみんなは、家に戻って食事の準備をしていくとの事だった。
「よし、こんだけ離れれば大丈夫かな。」
「グレン、何をするんだ?」
「説明するより見てもらう方がわかるから、ちょっと見てください。」
グレンはそう言うと、何か細長い筒のようなものを取り出した。
「これがさっきの音の原因ですよ。」
「それがか?」
「ルードさん、その通りです。これについている紐に火をつけて。」
グレンは筒についていた紐に火をつけると、筒を誰もいないところに無造作に投げた。
「これで何が起きるんだ?」
「レイン兄さん、もう少し待ってください。」
・・・・・・ドカン!
いきなり筒のようなものが爆発をした。
「これは?」
「レイン兄さん、これが僕が硫黄と硝石が欲しかった理由です。」
「硫黄と硝石でこんな事ができるのか?」
「はい、前にうちのおじいさんに聞いた事があったので、試しに作ってみたらできました。」
「これは何なんだ?」
「爆弾ですよ!」
「ルードさんこれは。」
「ああ、グレン作り方は。」
「わかってますよ。硫黄と硝石の割合とかは、僕しか知りませんから他には作れませんし、僕自身教えるつもりもありません。」
やっぱりグレンも、この爆弾の危険性はよくわかってるな。
この情報が敵に伝わってしまったら、この先無差別に攻撃をされて、防ぎようがないから虐殺になってしまう。
「グレン、これの使用は最小限にしておけよ。」
「はい、それもわかってます。」
「けどるーどさん、これは切り札になりますよ。」
「レイン、その通りだ。だからこそここぞというとき以外は絶対に使うなよ。」
「はい。」
しかし、グレンが作り出したものはとんでもないな。
あんなのは、どんなに頑丈な盾を持っていても防ぎようがないな。
俺達はその場で、グレンの作った爆弾を、どんな時に使うのかをよく話し合って決めていった。
あとは、リリーの家に帰ってみんなでご飯を食べてから、これからの旅にリリーの両親も同行することを話してから、いよいよ敵がいるであろう元教会総本山後に向かうことになるんだな。
そこにはイワンの情報が本当なら、俺の母さんの仇であるボロンというやつが待っているのだろう。