第5話日記
「すっかり埃だらけになってるな。」
「ここがそうなんですか?」
「ああ、そうだ。」
やはりかなり時間がたっているために、家の中は埃がすごかった。
「少し掃除していいか?」
「手伝いますよ。」
俺とジェイドで家の中を掃除していった。
「だいぶ汚れていますね。」
「そうだな。俺は両親の部屋を掃除してくるよ。」
「わかりました。」
俺は両親の部屋へと移動していった。
両親の部屋も埃がすごかった。
俺は両親の部屋に入るのは、そういえば入るのは初めてだったな。
ここには、本棚やタンスや両親のベットがあるくらいだった。
俺は部屋の中を順番に掃除をしていった。
掃除をしていくと、本棚のところで他の本とは違い表紙のない黒い本を見つけた。
それを手にとって中を何気なくみてみると、それは父さんの日記だった。
俺は、それをベットに座って読んでみることにした。
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◯月△日
今日は俺とメアリーの念願の子供が生まれた。
名前をどうしようかかなり悩んだ。
悩んだ上でレインと名付けることに2人で決めた。
意味は人が生きるには、水が必ず必要だ。
その水をたくさんの人に分け与えるように、優しさをみんなに与えられるような子になるように、レインと名付けることにした。
やっぱり子供は可愛いな!
この子がどういう風に成長をしていくのか楽しみで仕方ない。
◯月△日
レインが初めてハイハイをした。
一生懸命な姿を見ていると、何が何でもこの子を助けてあげたい気持ちが出てくるな。
◯月△日
初めて俺をパパと呼んでくれた。
レインの運命には親父が予言したような、辛いことが待っているのかもしれないと思うとなんとかしたいな。
みんなに協力をしてもらわないとだな。
◯月△日
ルードの情報で、各地に不穏な動きがあるようだ。
用心のためにも、色々と手を打っておこう。
◯月△日
レインの成人の日まで、後少しになってきた。
あの予言まであと少しになったか。
しかし、きっと大丈夫だろう。
今のレインはもう1人ではないからな。
それに、もしもの時はメアリーと一緒に逃せばいい。
それで、俺が足止めをすれば、きっと未来は変えられる。
◯月△日
多分これが最後の日記になるかもしれない。
ただなんとなくそう感じる。
朝から嫌な予感しかしないからな。
もしものためにここに、少し記録を残しておく。
レイン、この日記が運良くお前に届くと願ってこれを残すよ。
今のお前はどんな成長をしているんだ?
俺の期待通りなら、きっとリリーちゃん以外にも惚れられているんだろうな。
まったく羨ましい限りだよ。
だからこそ、馬鹿な選択を絶対にするんじゃないぞ。
きっとこれをレインが読んでいるとすれば、俺は馬鹿な選択をしたはずだ。
お前を助けるためと、勝手に自分の行動を正当化して、死んでいるんだろうな。
だからレイン、お前は俺のようになるな。
大切な人を守りたいなら、自分も生きて共に守りあうんだぞ。
自分を守れない奴は、誰も守れなくなるからな。
レインお前は、将来どうなっているのだろうか?
お前が立派になった姿が見れないだろうことが、俺の一番の後悔だろうな。
我ながらこの内容はひどいな。
レインに向けて書きたいことが次から次に出てきて、なかなかまとめられないな。
だから次で最後にしよう。
レイン、俺はお前がどんな結果を手にしようと、お前のことを誇りに思うよ。
お前を守りきれないであろう俺を許してくれ。
レイン、俺たちの大切な宝物、たとえ肉体を失い魂すら消失しようとも、俺はお前を愛しているよ。
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日記はそこで終わっていた。
俺はやっぱり父さんの事をちゃんと知っていなかった。
あの時父さんは、こんな事を思っていたのか。
本当にいまさらだよ。
悔しいな、ただ悔しい。
「レイン?」
「リリー、どうしてこっちに?」
「お父様達と合流できたからよ。それより大丈夫?」
「いや、今は1人になりたいんだ。」
俺が答えると、リリーは俺のところに近づき抱きしめてきた。
「レイン、今1人になるのはダメよ。全部話して?」
「でも。」
「でもじゃないの!1人で溜め込んじゃダメ。」
抱きしめる力をましながら、リリーは俺に言ってきた。
そうだな、1人で抱え込めばきっと俺は選択を間違えてしまうかもしれない。
「リリー、俺の父さんの事なんだが聞いてくれるか?」
「ええ、聞かせて。レインのお父様はどんな人だったの?」
俺はリリーに自分の知っていた父さんの事と、日記で知った父さんの事を話して言った。
そうだよな。
両親の知らない事があるなら、これから知っていけばいいんだ。
この事件が全て片付いたら、この世界を旅して父さんの生きてきた軌跡をたどるのもいいかもしれないな。